表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
短編集まとめ  作者: 岩ノ森
18/19

元号売ります

 「なんでちゃんと言われたことができないんだ。だから平成生まれはいやなんだ」

 俺の上司は昭和生まれである。ゆえに脳が高度経済成長期と黄金のバブル世代のままなのだ。失われた10年の責任を若者に押し付け、今の世を形作ってきた自分の失態を顧みようともしない。俺は上司が昭和生まれであることを恨んだ。自分が平成生まれであることを呪った。

 俺は会社からの帰り道、とある店によった。あるものを買うためだ。

 「すいません。元号売ってますか」

 「ええ、今日市場から仕入れてきた採れたてのが売ってますよ。どの元号にします?」

 「ええと、じゃあ大正で」

 「もう少し古いのはいかがですか?慶応とか」

 「いえ、あんまり古いと高いので」

 

 翌日、私はいつも通り会社へ向かった。

 「相変わらず仕事の出来が悪いな。これだから平成生まれは」

 「おい、俺は今日から大正生まれだ」

 「ああ、すいませんでした」

 

 「おい店主、大正より古い元号をくれ」

 「はい、でもあんまり古いとお値段が張りますよ」

 「明治くらいでいい。売ってくれ」

 「まいど」


 翌日、わしは会社へ出社した。

 「おい、態度が悪いぞ。これだから昭和育ちは」

 「わしは明治生まれだ」

 「申し訳ございません」

 

 「おい、大化の元号を寄こせ」

 「いつもありがとうございます」

 

 「大正うまれだから考えが甘いのだ」

 「我、大化の時代にこの世に生をうけり」

  

 「貴殿、明治生まれより、頭がからすなり」

 「ウホホホホッホ、ウホウホ」

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ