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空行く月の末の花橘  作者: アサミズ
埋れ木之章
7/25

 呆れるくらい長い緑の黒髪と、明るい笑顔をした雪乃(ゆきの)は、村の祭主だった。

 孤児の彼女は、村人たちに大切に育てられていた。聞けば、幼い頃に両親を亡くしたのだと言う。父は村の出身だったが、母は何者とも知れぬ流れ者らしい。けれど、美しく気立ての良い働き者だった母は、皆に好かれていたそうだ。

 雪乃と親しくなった御蔭で、彼女は立派な住処を得ることが出来た。

 だって、神様なんてここにはいらっしゃらないもの。

 そんなふうに笑って比売を社へ招き入れた雪乃は、ヒトにもあやかしものにも平等に優しい娘で。社に同居していたあやかしものたちも、気の善いモノたちだった。

 彼らと共に村の様子を見守ることも、何もせずただ在った頃に比べれば、変化に富んでいて楽しかった。

 春を迎え讃える祭、秋の実りを喜ぶ祭。

 住処の前で開かれる宴は、見ているだけで心が躍った。

 残念ながら、雪乃の子はその力を受け継がなかったが、二人目の孫とは友達になった。祖母譲りの優しい面立ちと、明るい瞳の色。長い黒髪の奇麗な子供は少し身体が弱かったけれど、次の祭主と村人に目されていた。

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