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空行く月の末の花橘  作者: アサミズ
片糸之章
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 その地には、闇さえも明るく照らすと讃えられるほど、美しい女が在った。

 彼女を、輝夜火比売尊(かぐやびひめのみこと)と言う。

 これは厳密には名ではなく神号で、天津神が持つ特権の一つだ。嘗て全ての神々が持っていた神号を国津神から取り上げたのは、高天原におわす主たる男神である。

 ……と、伝わっているのが、現在の通説だ。男神自らが語ることなどないし、それはあまりにも古い話なので、真相を知る者は、最早いないだろう。

 彼女がこの地に封じられてから、呆れるほど長い歳月が過ぎた。ただ無為に過ごした日々は飽くには充分長く、ここに封じられた理由すらも思い出せなくなってしまっていた。

 過ぎ去った日に出会った幾人か、それこそ数える程の彼女と語らうことの出来た人間も、ただ彼女の前を通り過ぎていくモノでしかなかった。

 彼女は神で、彼らに取っては崇め奉るモノだったのだから仕方がない。

 永遠とは、かくも退屈なものなのか。

 歳月を顧みて悲嘆に暮れ、それすらも仕方のないことだと飲み込んでしまった頃。彼女を見つけたのは、雪乃(ゆきの)という名の娘だった。

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