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第2話 大蛇と再転生

  俺は相変わらずブーブーと悪態をついていた。

  「…ったく…。俺はただのおっさんだぞ…?蛇の魔物とやらに勝てるわけが無いんだ…。普通の蛇でも逃げる自信がある!」

  などと自分でも訳の分からないことを言いながら渋々と奥地へ足を進めていた。

  「…人間様…着きましたよ。」

  「はぁ…。着いちゃったよ…。あれ?でもその蛇はいないようだが…。」

  「そのようですね…。仕方ありません。暫く辺りを散策してみましょう」

  「い、いやいや!もしかしたら死んだかもよ!?その蛇!一旦逃げ、じゃなく帰ってさ、また現れるのを待てばいいんじゃないかな??」

  「そうは行きませんよ!村の皆が安心して過ごせるように俺達が討伐してみせますよ!」

  達?と内心この兎には腹がたったがそれと同時にこの兎と違い1!一番に、逃げようとした自分の不甲斐なさにも腹がたった。

  「…エサが自分から来てくれるとは。」

  声のした方に目をやると、例の蛇の魔物と思われるいかにも強いです!と言わんばかりに巨体な魔物が逃げ道を塞ぎ立っていた。

  「この世界来てからろくな目に合ってないな…俺。」

  「行きますよ!人間様!」

  「い、いや本当に俺はただのおっさんなんだよ!」

  「大丈夫です!人間族は皆何かしら"神に匹敵する"と謳われる程の才を持ち転生してくるのです!貴方自信に覚悟や勇気が無くとも!その身体にはしっかりと、刻み込まれているのです!」

  「そんなこと言われたって俺にはできない…。昔からそうなんだ…。親友に好きな女取られた時も、会社で後輩のミス背負って上司に説教された挙句その後輩にありがとうございます。の一言さえ言われなかった時も…。あの日、会社をクビになった時だって俺はただ、自分の意見なんか言わずにその場をどう乗り切るかしか考えてなかったんだよ!生まれながらの敗者なんだ…!」

  大粒の涙が草が生い茂る地面に落ち湿らせていく。涙でぐしゃぐしゃになった顔を上げるも、霞んでしまって何も見えない。いつまで経っても、どれだけ年齢を重ねても、変わらずガキのままだったと惨めに思えた。

  「人間様ッ!!!危ない!!」

  「はっ…!」

 

  瞬時に向いた方向には大きな牙、そして、生暖かい風が吹いていた。その場で俺は事切れた。


  「…っは!」

  目が覚め瞬時に自身の身に起きたことを理解した。

  「お目覚めでしょうか。」

  髪の長い花のように綺麗な女性がこちらに向かい歩いてきた。

  「あっ…。はい…。俺は死んだのですね…。」

  「はい!死にました!」

  うわーかるー。と思った。が彼女が何者なのかを問いたださずにはいられなかった。

  「あのー…あなたは?」

  「申し遅れました!私は、神直属天使が1人、名はフィリアと申します。貴方様は死んでこの天界と下界の狭間にいるわけです。」

  「…狭間?」

  「えぇ!実は貴方様は転生に失敗しているのです。」

  「……んん?」

  「本来ならばスキルの一つでも与えられた状態で転生するはずなのですが……こちらのミスであの日死んだ別人と間違え転生してしまったのです…。ですので、あなたは何のスキルも持たない一般人となってしまったわけです…本当にすみません…。」

  「あーなるほど。いえいえ!お気になさらず!

  じゃねぇだろ!気にするだろ!ミスで転生させられてオマケに一般人だし!死ぬし!何だこの人生!何だこの世界!」

  「本当にすみません!!…今から貴方を正式に転生させます…先程死んだ場、時へ。」

  「いやいや、どうせ死ぬしこのまま天国連れてって下さいよ…。」

  「ただし!後からスキル等を付与することは出来ないので…私から一つプレゼントを送ります。元はこちらの責任ですしね!」

  「…あーはい……え?」

  「このプレゼントはあなたの全ての身体能力を向上させます。身体能力だけは神々と同等に…。」

  「え?ちょっ!なん…」

  「それでは!頑張って下さい!」

  「えええええええええ!!」

  こうして再び俺は転生したのであつた。


  「…てくだ…さい!」

  なにか聞こえる。

  「起きて…ください…!!!」

  なんだ…。

  「起きてください!!!」

  「はっ!」

  「よかった!!しかし、無傷とは…。流石人間様ですね!」

  無傷?そうか、また転生したのか…。それが本当なら俺は…。

  「我の攻撃を受けて無傷とはな…中々やるようだ。」

  「…ホップ…。少し下がっていてくれ。」

  「え?…は、はい!頼みます!」

  「なんだ?2対1というハンデを捨てるのか?お前さては賢くないなぁ…。」

  「うるせぇ。俺はキレてんだよ…。」

  「今度こそ!八つ裂きにしてやろう!!」

  右腕に全ての力を込め、大地を揺らしながら近づいて来た蛇を殴り飛ばした。

 

  バキバキ


  「ぐぉぉッ!!!」

  蛇はその場で消え崩れた。

  「俺は何で…。」

  「やりましたよ!人間様!」

  「なんで!元の世界に戻れないんだバカヤロー!!!」

  「…え?」

  こうして、イリニの森に巣食う大蛇は転生したら死んで、再度転生したおっさんにより消滅することとなった。

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