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4話 今回はどんなネタですか? 成長痛ネタです

 

 剪定の儀から1週間が経った。

 最近はどうも身体の状態が良くない。

 特訓の時にロドリゴとミラにも聞いてみたけど、2人とも同じく体調が良くないみたい。

 今日は夕方から俺たち3人と家族が村長の家に呼ばれている。

 何でも、村から1年に3人も戦闘系センス持ちが出たのが凄い事なので、お祝いしてくれるみたいなんだ。

 美味しいものが食べられるのは嬉しいんだけど、体調が良い時にしてもらいたかったな。


 今日の特訓を早めに切り上げて、一旦家に帰って余所行きの服に着替えた。

 ウチは父ちゃん、母ちゃん、ゴア兄ちゃん、マチルダ姉ちゃんの5人で参加する。

 ラック兄ちゃんは外に働きに出ているので、残念ながら参加出来ない。

 ロドリゴの所は父ちゃんのミスコスさん、母ちゃんのバルハさん、兄ちゃんのドエスとドエムが参加するみたい。

 ミラの所は父ちゃんのダグラスさんと母ちゃんのエルメさん、兄ちゃんのセルス、妹のダダが参加する。

 3人の家族で合流して、村の中心に有る村長の家に向かった。


 村長のベルジニさんの家はウチの家の10倍くらいあるお屋敷だけど、とても古びている。

 領主様が来た時や、別の村のお客さんが来た時の為に間取りを広くしているみたいだけど、村自体が貧乏だから傷んだ所の修理まで余裕が無いみたい。

 俺たちがお屋敷に行くと、お屋敷の庭にまで村の人たちがいる。

 沢山の人がお祝いに来てくれて、お屋敷の大広間に入りきらないらしく、庭に茣蓙を敷いて家族ごとに座っているみたいだ。


 俺たちは家族とお屋敷の大広間に通されて、ベルジニさんが座っている大きなテーブル席に呼ばれた。

 俺たちの他には村の助役さんや、農家の組合の偉い人たち、豪農の一家もいる。

 テーブルには見た事も無い大きな魚を丸ごと焼いた料理や、イノシシ肉を煮込んだ料理、焼き立てのパン、お酒も並んでいる。

 ベルジニさんは立ち上がって、お酒の入ったグラスを手に取ると、俺とロドリゴとミラの3人を呼んだ。

 ベルジニさんの横に俺たちが並ぶと、グラスを片手に挨拶を始めた。



「今日はこちらの小さな英雄達を祝う宴に集まってくれて本当に嬉しく思う。

 我が村から冒険者学院の特待生が3人も出るなんて奇跡的な事じゃ。

 これも創造神様のお導きに違いない。

 ホセの3男フリオ、ミスコスの4男ロドリゴ、ダグラスの長女ミラ。

 こちらの3人の英雄達の輝かしい活躍を願って、乾杯。」



 ベルジニさんがグラスを上げて、お祝いの宴が始まった。

 俺たちは早くご馳走を食べたかったんだけど、色々な偉い人たちが集まってあいさつをしに来るので、中々食事にありつけない。

 ベルジニさんが気を利かせて偉い人達の対応を代わってくれたので、その隙にご馳走にがっついた。

 ウチの父ちゃんやミスコスさん、ダグラスさんは偉い人達に煽てられてヘラヘラしながらお酒を飲んでいる。

 いつも怒ってばっかの父ちゃんとは思えないな。


 俺たちがご馳走でお腹いっぱいになると、ベルジニさんは庭にいる村人たちにも声をかけてやってくれと言う。

 軽い気持ちで庭に行ってみると、顔馴染みの農家の人達に囲まれてしまった。



「いやぁ、悪ガキだと思っていたお前らが冒険者学院に行くなんてなぁ。」

「俺はお前らがそこいらのガキとは違うって分かってたぜ?」

「嘘つけ!それよりロドリゴ、お前本当にウチの娘を嫁に貰ってくれるんだよな?」

「男前のロドリゴがお前の娘なんて嫁にするわけねえべさ。」



 なんかみんなガヤガヤと好き勝手に話しかけて来るのでちょっと引いてしまったけど、好意的に思ってくれているのが分かる。

 村の人たちは荒っぽい口の利き方をするけれど、心根は優しい人達ばかりだ。

 ロドリゴは色んな女の子と結婚の約束をしているので、異質な感じの話をされているけど。

 皆んな最後には王都で頑張れと言ってくれた。


 一通り集まってくれた人たちと話をし終わると、どっと疲れて来た。体のあちこちが痛いのに無理をし過ぎたのかも知れない。

 お屋敷の庭の隅の方で休んでいると、衛兵のドルフさんがやって来た。

 ドルフさんは昔冒険者をしていて、俺たちの事を何かと気にかけてくれているとても優しいオジサンだ。

 勇者に憧れる俺たちに剣の稽古をしてくれたり、冒険者時代の話を聞かせてくれるので、俺たちは師匠だと心の中で思っている。



「まさかお前らが本当に冒険者学院に行っちまうなんてなぁ」

「ドルフさんから離れてしまうのは寂しいけどね」

「俺もおっちゃんに会えないの寂しいや」

「私もドルフさんのお話もっと聞きたかったな」



 しんみりする俺たちの額をドルフさんは軽く指で付いて優しい笑顔を向けてくれた。



「これから冒険者になろうって奴らがそんなに甘ったれてちゃいかんぞ。

 冒険者は舐められたらダメなんだから、いつもビシッとしてないとな」



 ドルフさんの言う通りだ。勇者にはなれなかったけど、最強の冒険者パーティーになる夢があるんだからウジウジしてられない。



「あ、そうだ。ちょっと相談があるんだけど、俺たち3人とも最近体の調子が悪いんだ。

 何だかあちこち痛くなったり、頭がズキズキしたり。」



 俺は最近の悩みをドルフさんに打ち明けた。今のままだと特訓に集中出来ない。



「ほう。お前ら相当強力なセンスを授かったんだな。」

「え、どういう事?」

「強力なセンスを授かると、普通の人の倍以上ステータスが上がるんだ。

 でも、子供の体格だと無理がかかるから、体の成長が早まってるんだな。

 まぁ2週間もすれば痛みは無くなるだろう。」



 知らなかった。やっぱりドルフさんは頼りになる俺たちの師匠だ。

 更に教えてくれたんだけど、頭の痛みは精神力が急成長して起こるらしい。

 強いセンスを持つ子供は他の人よりも2年くらい成長が早くて、40代になっても若々しい状態の人が多いようだ。

 過去には50歳まで第一線で冒険者を続けていた人もいたんだとか。

 ミラはいつまでも若くいられるとはしゃいで居た。


 もっと色々話したかったけど、夜も遅くなって帰らなくてはならなかったので、ドルフさんにお礼を行って父ちゃん達と村長さんのお屋敷を後にした。


 帰り道、いつも喧しいロドリゴの兄ちゃんのドエムとドエスが、何かシュンとしている。

 どうやら、ロドリゴの兄という立場をひけらかしてナンパした村の女の子に、無理矢理お酒を飲ませようとしているのをミスコスさんに見つかって、こっ酷く怒られたらしい。


 ロドリゴの兄ちゃんだけあって女の子に目が無いんだね。

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