運命の日
チュンチュン。チュンチュン。
「ふぁー、もぅ朝か。」
なーんか、変な夢を見た気がするけどなんだったかなぁ、ま!いっか!!
「鳴海様。朝食の用意ができました。」
「ありがとう、氷雨。」
この物語の主人公、姫島鳴海 は水城学園の高等部2年でA型、チョコが大好物!
今は市民街で執事の氷雨と二人で暮らしている。
王族のしきたりで学生の間は市民街で街の暮らしを体験することになっているのだ。
水城学園は、この国の王が学園長を務める王立学園。
そして、この国の王が鳴海の父、 姫島海斗 である。
この国、つまり 海生王国は海の化身である九頭竜を祀っており、海に愛されている国。
代々、年に一度行われる九竜際では王族、市民、問わず誰でも参加でき、盛大な宴が行われる。
国民の前で舞を踊り、九頭竜に日頃の感謝と海生王国のこれからの発展を祈る伝統的な祭事である。
演舞者は毎年、海の精霊達の長である セイレーン様がお決めになる。
そして、今年の演舞者が 鳴海と日葵に決まった。
その大事な大事な九竜際が今日、行われようとしていた。
「鳴海様、そろそろ日葵様がいらっしゃいます。」
ピーンポーン
「あ、本当ね。じゃあ、行ってくるわ」
「いってらっしゃいませ。今日のご活躍、楽しみにしております。」
「うん! ありがとう、氷雨。」
ガチャ。
「日葵、おまたせ! いこっか」
「うん。行こう。今日、頑張ろうね」
まちにまった"九竜際"。お父様もお母様も見に来てくれる。
なによりずっと支えてくれた氷雨の期待にも応えなくちゃ。
頑張れ自分、やりきるんだ。
日葵も一緒に踊ってくれるし、大丈夫だよね
日葵は初等部からの友達でずっと一緒にいる大切な幼馴染だ。
黄色の長い髪がいつも輝いていて、たれ目ですっごいかわいい。
口数は少ないし、いつも眠そうだけどすっごい頼りになる。
舞を披露する大広間にぞくぞくと国民が集まってきた。
国王様も王妃様も揃ったようだ。
『こっちにきて』
「ん?日葵、何か言った?」
「え?何も言ってないよ。」
なんだろう、変な胸騒ぎがする。誰かに呼ばれている気がする……
「鳴海!!!始まるよ、」
「あ、うん」
始まる、。
『ほら、こっちにおいで、はやく』
「うあああああああ、なに、だれ、だれなの!頭に直接声があああ!」
「鳴海!?どうしたの!?おちついて!!!」
頭に響く。誰かが呼んでる。いったい、あなたは誰……
「鳴海!なるみ!な……る……み……!!」
誰かが私を呼んでいる。日葵?どうしたの、そんな必死な顔して……
あぁ、もぅだめだ、眠い、眠くなってきた。
そこで私の意識は途切れた。




