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夏空に叫ぶ  作者: 鹿島 コウヘイ
第1章 初夏
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 それから一週間が経った。


 夏休み中であっても、僕の一日は学校に行っているときとほとんど変化がない。アルバイトをするか、勉強をするか、家で時間を過ごすかだった。

 友人という定義に当てはまるかどうか微妙な関係である篠原を除くと、僕には友人という存在がほとんどと言っていいほどいない。必然的に、休みの日はひとりで過ごすことになる。それを苦だと思うことはなかった。集団でいるよりも、ひとりでいる方が僕は好きだった。


 その日は僕がちょうど夏休みの課題を全て終わらせた日だった。

 近所のスーパーで買い物をした僕が家に帰ってくると、リビングのテーブルに置きっぱなしにしていたスマートフォンが小刻みに振動していた。

 手に取って見てみると、クラス替えの際、半ば義務的に招待されたクラスのグループラインに、何件ものメッセージ通知が届いていた。

 明後日、学校で緊急の学年集会がある。特別な事情がない限り必ず出席すること。メッセージに書かれていたのは、そういった旨の内容だった。

 そのまま画面を下にスクロールすると、次々と『なんで?』『めんどい』といったクラスメイト達の返信がついていた。僕も同じ気持ちだった。


 夏休み中の、突然の全校集会。

 少なくとも、どこかの部活が優秀な成績を収めたとか、何かそういった良いことがあったというわけではなさそうだ。もしそうだとしたら、わざわざ緊急に生徒を集める理由がない。学校のホームページにでも掲載すればいいだけの話だ。

 ということは、起きたのはおそらく悪いこと。生徒か教師の誰かが犯罪や事件にでも巻き込まれたか、それともなにか不祥事を起こしたのだろうか。どういった事情にせよ、休み期間に学校へ行くのは気が進まない。面倒だ。

 当たり障りなく欠席できるような理由を考えていると、ポン、というとても軽い音とともに、ひとつのメッセージが書き込まれる。


『うちの学年に、自殺しようとした生徒がいるんだって』

 

 僕の予想は、犯罪や事件に巻き込まれたという意味では半分当たっていたかもしれない。

 同じ学年の生徒の男女がふたり、心中を試みていた。


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