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第28話 最終話

 「どうぞ、今回は私の奢りだから」


 ニーナはグレイブとマルクスに言った。

 ニーナが二人を伴ってやってきたのは、帝都にあるそこそこ高いレストランだ。

 一等奴隷昇格と、二人へのお詫びも兼ねて連れてきたのだ。


 「ところでマルクス。あそこ、大丈夫だった?」

 「……処置が遅ければ、オレで末代になってたぜ」

 「それは良かった。潰す気で蹴ったから」

 「やっぱり潰す気だったのか!」


 幸い、ニーナの蹴りでマルクスの睾丸が潰れることはなかった。

 が、傷ついた上に少し“捻じれてしまった”ようで、クリスティーネが治癒魔術をすぐに掛けてくれなければ、マルクスの家系はマルクスを最後に潰えたことだろう。


 「それを言われても……だって負けたら輪姦されるし? 必死になるのも当たり前じゃない?」

 「いや、だってお前、潰れたらもう二度と治らないんだぞ……」

 「私の処女膜だって、治りませんよ」


 ニーナからすれば、マルクスの睾丸よりも自分の貞操を優先するのは当然のことだった。


 「それに、そっちだって私を斬ったじゃないですか。グレイブに斬られた傷、あれ、もう少し処置が遅ければ大量出血で死んでたかもしれないし、痕も残ったかもしれないし」


 ニーナがそう言うと、グレイブは眉を潜めていった。


 「お前さ……」

 「何?」

 「……あれ、わざとだったろ」

 「あ、バレた?」


 テヘペロ、と、ニーナは舌を出した。

 ニーナには確信があったのだ。


 グレイブは必ずニーナが死なないように、途中で手を止めると。

 無論、勢い余って太い血管を切断してしまえば死ぬわけだが……


 そこはグレイブの力量を信じた形になる。


 「少し卑怯じゃないか?」

 「それを言ったら……そもそも、どうして私の最後の試合相手になんか、なったの?」

 

 最終的には勝てたが……

 ニーナの手の内をある程度知っている相手と戦うのは、やはり大変だった。


 「剣闘士ってのは、原則として試合を拒否できない。まあ……できないこともないが、それをすると評価が下がる」

 「それに嬢ちゃんに対して、下手な相手を当てられるよりは、俺らが行った方が良いと思ってな」

 「……まあ、それもそうか」


 レベル100の触手大蛞蝓に比べれば、グレイブやマルクスの方が数十倍はマシだ。

 

 「そう言えば、嬢ちゃん」

 「何?」

 「レベル、いくつになった?」

 「50」


 



レベル:50


生命力:600+45

旋律力:800+45 

筋力:450+45 

魔力:800+45

耐久力:450+45

耐魔力:800+45



魔力質:A-

魅力:A-

直感:A

理性:B+

幸運:A

運命:E


称号・加護・技能

・格上殺し×3……レベル差分の三倍の数値がステータスに加算される

・打たれ強い疾風の短剣使い+20……短剣装備時、筋力、旋律力、耐久力に+10の補正が掛かる

・打たれ強い疾風の槍使い+20……槍装備時、筋力、旋律力、耐久力に+10の補正が掛かる

・打たれ強い疾風の剣使い+20……剣装備時、筋力、旋律力、耐久力に+10の補正が掛かる。

・雷使い……雷の魔術を使用したとき、使用魔力三割減、威力三割増加、電気耐性三割増加。

・放電……雷を全身から発した時、使用魔力二割減、威力二割増、電気耐性五割増加。

・魔物殺し+20……敵が魔物の時、全ステータスに+10

・オーク殺し+2……敵がオークの時、全ステータスに+2

・ゴーレム殺し……敵がゴーレムの時、全ステータス+1

・ヘカトンケイル殺し+5……敵がヘカトンケイルの時、全ステータスに+5

・スライム殺し……敵がスライムの時、全ステータスに+1

・蛞蝓殺し……敵が蛞蝓の時、全ステータスに+1

・怒りの一撃……憤怒時、攻撃力倍加

・男の敵+20……敵の性別が男性、または雄の時、全ステータスに+20

・腹パン(され)マスター……腹部(内臓)に攻撃されたとき、ダメージ二割減。

・腹パン(される)天才……腹部(内臓)に攻撃されたとき、ダメージ半減。

・露出性癖+15……履いていない時に全ステータスに+15

・被虐性癖+15……性的興奮時、耐久力に+15

・変えられてしまった体+15……全身の感度上昇、性欲増進。全ステータスに+15

・媚薬中毒+15……媚薬摂取時、全ステータスに+15

・屈辱の背徳+10……屈辱を感じた時、全ステータスに+10、および性興奮。

・戦闘狂+15……戦闘時、全ステータスに+15、および性興奮。

・ゲロイン+10……吐瀉後、全ステータスに+10

・魔力操作……魔力を呼吸するように操作できる

・属性付与……呼吸をするように武器に属性を付与できる

・二重属性付与……呼吸をするように二重属性の付与ができる

・心眼(洞察)……敵の本質を見抜く

・心眼(攻撃)……攻撃時に最適解を導き出す

・心眼(回避)……回避時に最適解を導き出す

・心眼(防御)……防御時に最適解を導き出す 

  

 

 


 「ニーナ、お前ここに来た時はレベルいくつだった?」

 「1だね」 

 「……よく短期間でそんなに上がったな」 

 「あれだけ、格上の相手と戦わされたらね……」


 今でもグレイブやマルクスの方がレベルが十五も多い。

 ここまで来れたのはニーナの武術もあるが、それ以上に運の要素も大きい。


 「そういえば嬢ちゃん。闘技場には残るのか?」

 「ええ、二年契約を結んで……あと二年。十五歳まではここにいようかと思ってます」


 理由はオーナーに語ったものと同じ。

 お金が必要だからだ。


 「そんなに金がいるのか?」

 「ええ、まあ……それなりに、ね」


 それしかお金を稼ぐ方法をニーナは知らない。

 というのもあるが、それ以上に大金が必要という大きな理由がある。


 「何に使うつもりだ、嬢ちゃん」

 「……笑わないですか?」

 「笑わねぇよ」

 「何だ、気になるじゃないか」


 マルクスとグレイブは興味津々という様子でニーナに詰め寄った。

 ニーナは髪を弄りながら答える。


 「その、ですね……」

 「うんうん」

 「何だ?」

 「……大学というものに通ってみたいなと、思ってます」


 少し恥ずかしそうにニーナが言うと……

 グレイブろマルクスはきょとんとした顔になった。


 「大学?」

 「何で?」

 「何でって……勉強したいからですよ。何? 元奴隷がそういうこと言うのは、やっぱりおかしい?」


 ニーナが少し不機嫌そうに言うと、グレイブとマルクスは首を左右に振った。


 「いや、そんなことは思わないが……」

 「オレたちには縁のない話だと思ってね。……どうして勉強したいんだ?」

 「どうしてと言われても……まあ、教養があった方が職業選択の幅が広がるかなと……また奴隷になるのは嫌だし」


 今のニーナの実力ならば、剣闘士や傭兵、冒険者として生計を立てていくのは不可能ではない。

 が、怪我をすれば途端に暮らせなくなる。 

 戦闘・戦いを生業とするのは、そういうリスクがある。


 ニーナは戦いが嫌いではない、むしろ好きな方だが……

 それとこれとは話が別だ。


 「ニーナって、文字の読み書きできるのか? あと計算」 

 「計算はできます。読み書きは……勉強中です」


 前世の知識のおかげで、計算に関してはかなりの自信がある。

 一応、ニーナの前世の人物である■■■■さんは日■の高等教育までは受けていた。

 四則演算すらもまともにできない人間が多いこの世界では、■■■■さんの受けた教育はかなり高度なものになる。


 もっとも文字の読み書きとなると、話が変わる。

 当然だがこの世界では日■語は話されていない。


 「そんなんで、いけるのか? 嬢ちゃん」

 「クリスティーネに聞いたところ、入学するのは学費さえ支払うことができれば、そんなに難しくはないらしいです。最低限の文字の読み書きができれば」


 日■と違い、この世界は識字率が低い。

 そのためそもそも大学のような、高等教育を受けようとする人間そのものも少ない。

 

 つまり入学に難しい試験を課して、学生を選別する必要はない。 

 無論、最低限の基本的な教養は必要だが。


 「もっとも、卒業するのは難しいらしいですが」


 入口が広いが、出口が狭い。

 それがこの世界の大学の特徴だ。


 ついでに学費も高い。


 「というわけなので、しばらくはお世話になります。……いろいろと教えてくださいね、先輩」


 ニーナは笑みを浮かべて言った。








 それから二年後のことだった。

 帝都の大学のとある建物の入り口で、金髪の少女が一人で立っていた。

 修道服に身を包んだ美少女だ。


 「あ、クリス。待たせてごめんね」


 クリス、という金髪の少女に声を掛けたのは……

 建物から出てきた、桃色の髪の美しい少女だった。

 どこか神秘的な雰囲気を醸し出している、絶世の美少女だ。


 「いえ、私も先程終わったところです。……どうでしたか? ニーナさん」


 ニーナと呼ばれた少女は髪を掻きながら答えた。


 「まあ、ギリギリなんとかなった感じかな? 最低限、入学はできると思うよ。クリスは……まあ聞くまでもないか」

 「私も何とかなりました」


 クリス――クリスティーネ――はニーナに笑いかけた。

 二人は一緒に歩き始める。


 「入学許可が出たら、あと数年間……よろしくおねがいします。ニーナさん」

 「うん……まあ、私は基本的にクリスに教わってばかりになると思うけどね」


 そう言って二人は笑い合った。


はい、以下あとがき

読みたい人だけ読んでね





というわけで終わりです

続きなんてものはないです。そもそも考えていないので。

ただ、ひたすら女の子が血と泥塗れになって戦う話が書きたかっただけです。

まぁ、初期案では技術の差で華麗に「当たらなければどうということもない」という感じの無双チートモノだったんですが、ちょいちょいニーナちゃんを苦しめたくなる欲求に駆られた結果、こうなりました

どこかで負けさせて大人の階段を上らせる予定もあったのですが、いろいろと面倒なのでやめておきました。


以下、裏設定


種族:人間/????……????のところには『フェッチ』。つまり妖精の取り替え子が入る。つまりニーナは人に堕ちた(堕とされた)妖精。変わった髪色や高い魅力、魔力関係のステータスが良いのはそのため。ちなみに妖精は魔物の一種なので、オークやヘカトンケイルとかとは近い。ヤレばママになれる。

尚、取り換えられた先は王族(または貴族)だったので、妖精であると同時にお姫様でもある。


魔力質:A-……Bで一流の魔術師になれるということを考えればAは破格。無論、Aなのはニーナが妖精さんだから。ただし、人に堕ちているのでマイナスが入っている。


魅力:A-……Bでアイドルクラスということを考えると、Aは人間のレベルを超えているほど。上述の通りこれはニーナが妖精だからだが、やはり人に堕ちているためマイナスが入っている。


直感:A……妖精は人間よりも自然に近い。そのため第六感が優れている。本来ならばマイナスが入るはずだが、ニーナの性質の一つが『獣』ということもあり、マイナスが入らなかった。


理性:B+……生まれ持っての性質と、悲惨な育ちで現実主義的になった。良くも悪くも冷めている。


幸運:A……人間には堕ちたが、妖精としての加護は健在。幸運を司る妖精に愛されている。


運命:E……人間に堕とされた時点から、すでに不運は始まっている。ちなみに孤児院に捨てられたのは取り替え子であることがバレたから。


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