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豆まきをするまめ その②

 倒れる鬼さん。鬼さんに心配そうに近づくきたあかり姫。


「鬼さん、やだよ! 目をつぶらないで」

「姫、私は.....どうやら」


 鬼さんはゆっくり体を起こします。


「痛くもかゆくもないオニ」


 驚くカキーンとにんじんくん。


「さっきのキック決まってたぜ!」

「僕のキックが効かないなんて」


 ピスオは土の上にコロンと横になり、鬼さんたちを見ます。


「カキーン、鬼さんはピスオよりも弱いから大丈夫まめよ」


 カキーンは少しだけ驚きましたが、平気そうな顔をします。


「まだ必殺を出してないからね!」

「そうであーるか! 安心したであーる! とっととやっつけるであーる」

「わかった!」


 カキーンは腰を深く落として、パンチをする構えをします。


「僕の必殺技! ビタミンCパンチ!」


 鬼さんのお腹にカキーンのパンチが当たり、すごい風が吹きました。


「すごいパンチだぜ!」

「勝ったのであーる」

「鬼さん!」


 心配そうに見ているきたあかり姫。

 メークイン王女はピスオの隣に行き、スイートポテトを食べています。


「メークイン王女のスイートポテトはおいしいまめ」

「ピスオ王子に褒めていただき光栄ですわ」


 カキーンはパンチに手応えがありました。そして鬼さんを見ると鬼さんは無傷です。


「鬼さん! 痛くない?」

「ええ、全く痛くないオニ」


 鬼さんはカキーンを見てこう言います。


「カキーン様、手加減をしないでオニ。私を倒してほしいオニ」


 カキーンは鬼さんから少し離れてゾッとした顔をします。


「......僕のパンチが効かないなんて」


 カキーンは落ち込んでしまいます。その時、お空がキラーンと光りました。


「カキーンよ! まだ諦めるのはハヤイ!」


 カキーンが空を見ると、干し柿の顔をしたロボット【干し柿ング(ほしがきんぐ)】が飛んできました。


「干し柿ング!」


 にんじんくんとじゃがいも男爵は大興奮しています。


「なんだあれ! すごいぜ!」

「あれは伝説のロボット、干し柿ングであーる!」


 ピスオとメークイン王女は湯のみでお茶を飲んでいます。


「すごいまめ。干し柿ングまで来たまめ。今日はいい豆まきまめ」

「そうですね。フフフ」


 ピスオとメークイン王女は微笑みながらみんなを見ています。

 干し柿ングがカキーンの隣に来て、カキーンを勇気付けます。


「ここは二人で協力して、倒ソウ」

「うん! そうする」


 カキーンのやる気が戻り、鬼さんを見ます。


「カキーンよ。あの必殺技ヲ」

「OK! 干し柿ング」


 干し柿ングは左手をカキーンは右手でパンチをするように構えます。


「出るであーる。合体の必殺技!」

「合体! すごいぜ!」


 カキーンと干し柿ングは同じ速さで走り、鬼さんにパンチします。


「これが俺たちの合体技! ビタミンAパンチ!」


 カキーンと干し柿ングの手が【A】になるようにパンチをします。

 先ほどとは比べものにならないくらいの風が吹きます。


「すごいのであーる!」

「鬼さ〜ん!」

「決まった! 僕たちの勝ちだ!」


 と、カキーンと干し柿ングは顔を合わせます。

 干し柿ングは親指を立てます。

 が、鬼さんは無傷です。


「あの、申し訳ないオニ。優しさはいらないオニ。お願いだから倒してほしいオニ」

「えーーーーーーー!」


 カキーンと干し柿ングはすごく驚いてしまいます。

 メークイン王女はピスオに話しかけました。


「ピスオ王子、鬼さんは少し強すぎではありませんか?」

「ごめんまめ。ピスオよりめちゃ弱くしたまめ。カキーンもすごく強いまめだけど、ゲキヨワにしなきゃいけなかったまめね」


 ピスオは鬼さんよりもめちゃ強いということがメークイン王女は知ってしまいましたが、それは心の中にしまっておくことにしました。

 ピスオより弱いということが頭から離れているにんじんくんとじゃがいも男爵はオロオロしてしまいます。


「どうするんだぜ! めちゃ強いぜ」

「この世の終わりであーる」

「僕たちの合体技まで効かないのか」

「かなわない相手なノカ」


 ピスオがとことこ歩いてきてカキーンの近くに行きます。


「ピスオも混ぜるまめ」

「ピスオ! 危ない! ここは僕たちが」

「一緒に戦いたいまめ」

「でも!」

「カキーン、ここはピスオくんの力を借てミヨウ」

「......わかった。でも無理はしないでくれ」

「ありがとうまめ」


 にんじんくんとじゃがいも男爵はさらにオロオロしてします。


「ピスオ! 危ないぜ!」

「そうであーる! 戻ってくるのであーる」


 カキーンとピスオ、干し柿ングは顔を合わせております。


「カキーンと干し柿ングはさっきのパンチをするまめ。鬼さんは実はダメージを受けているまめ」

「ピスオくんはどうするンダ?」

「ちょこちょこ歩いて最後にパンチするまめ。まあ二人のパンチで倒せると思うけど、ピスオもヒーローになりたいまめ」

「OK! そういうとこなら。行くぞ干し柿ング!」

「わかっタ!」


 カキーンと干し柿ングはビタミンAパンチを鬼さんにします。

 ですが、鬼さんは無傷です。

 ピスオはちょこちょこと歩いて行き、鬼さんとツンツンと触ると、鬼さんは倒れてしまいます。


「ぐはあああ。やられたオニ」


 喜んでいるにんじんくんとじゃがいも男爵。


「僕たちのパンチが効いた! やったぁ!」


 カキーンは干し柿ングにグータッチをします。

 きたあかり姫は鬼さんに近寄ります。


「鬼さん!」

「姫よ。土の私に優しくしてくれてありがとオニ」


 きたあかり姫はポロポロと涙を流します。


「やだよ! もっとお話ししたいよ」

「泣かないでオニ。また来年、ピスオ様に作ってもらうオニ。そしたらまた会えるオニ」

「本当?」

「本当オニ。だからその悲しい涙は、嬉しい涙にしてほしいオニ」


 きたあかり姫は何度もうなずきます。


「わかった。絶対だよ!」

「絶対オニ」


 と鬼さんは土になりました。

 きたあかり姫は涙を拭いてピスオを見ます。


「また来年も鬼さん作ってくれる?」

「もちろんまめ。来年もまめまきするまめ」


 きたあかり姫はニコッとして土を見ます。


「また来年ね!」


 カキーンと干し柿ングはにんじんくんとじゃがいも男爵に近づきます。


「すごかったぜ!」

「なかなか強い相手だったけどね。これからもベジアイランドの平和は僕たちに任せてね!」

「任せるであーる。本当にありがとうであーる」

「では、カキーン行くゾ」

「うん! さらばだ!」


 カキーンと干し柿ングはお空を飛んで行きました。


 ピスオ、きたあかり姫、メークイン王女はじゃがいも男爵の近くに行きます。


「きたあかり姫、大丈夫であーるか? 怪我はなかったであーるか?」

「ピスオ! まめまき楽しかったぜ」

「ピスオも楽しかったまめ」


 きたあかり姫は下を向いています。


「そんなに怖かったのであーるな。でも、もう大丈夫であーる」


 きたあかり姫はじゃがいも男爵を見てムッとします。


「じゃがいも男爵きらい!」


 と言うときたあかり姫はスタスタと歩いて行きました。

【嫌い】という言葉に口を大きく開けて固まってしまうじゃがいも男爵。

 メークイン王女はピスオとにんじんくんに挨拶をしてきたあかり姫に付いて行きます。


「どうして、我輩が嫌いであーるか?」


 じゃがいも男爵はわかっていないようです。

 にんじんくんは固まってしまったじゃがいも男爵をブンブンと揺らしています。


「じゃがいも男爵どうしたんだぜ!!」


 ピスオはじゃがいも男爵を呆れた顔で見ています。


「きたあかり姫には鬼さんの思い出が内に入って、じゃがいも男爵は蚊帳かやの外に出されたまめね」


 と固まっているじゃがいも男爵を置いてピスオはえだまめのお城に帰るのでした。


 おわり。


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