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あいドルのフェロモン6

【大渋滞で身動きの取れない梨木の車】


車の前で救急車のサイレンが止まる。

僕と梨木はサイレンの音に気づきつつも言い争ったままだ。




「頼むから演奏してくれないか」


「星野さんがいないのに、意味がわからない!!」




「星野愛にはTVモニター越しに会える、だからこの場所でも川崎君と一緒に演奏できるんだぞ。」


「星野さんは死んだんだ、そんなビデオに撮った偽物の星野さんと一緒に演奏なんて出来るか!」




「偽物だってぇ? ビデオでも星野愛は星野愛だ!!」


「僕は納得できないっ」




「納得できなくても星野愛が川崎君と競演したいと言い残したんだよ」


「信じられるかっ!」




「頼むから信じてくれないか?」


「信じる?だったら始めっから星野さんの事を教えてくれてもよかったじゃないか」




「はじめから知っていたら100%の演奏が出来たのかい川崎君」


「・・・・・・。」




「100%とは言わん・・・だからギターを弾いてくれないか?」


「本物の星野さんじゃないのに・・・一緒に演奏なんて出来る訳ないだろうぉ!!」




「ワシの為じゃない、星野愛の為に弾いてくれ・・・頼む!!」


「星野さんが死んじゃってるのにこんな事するなんて、みんなオカシイよっ」




「・・・・・・。」


「悲しすぎて辛くて・・・なのに、こんな馬鹿げたこと出来るワケないだろぉぉ!!」




『ガチャ』


僕の座っている席のドアが外から開かれると そこには鈴原。




「拓ちゃんっ! 何時からそんな意気地なしになっちゃったのぉ!!」


『バシっ』そして鈴原は僕の顔を平手打ち




「すっ鈴原っ・・・。」


「馬鹿げた事だとか悲しすぎて辛だとか!! 拓ちゃんだけがそう思っていると思うのぉ!!」




「・・・」


「一番悲しくて辛いのは、恋人の長谷川さんでしょ!! それなのに長谷川さんは泣き言一つ言わずにやってるのよっ、拓ちゃんもしっかりしてよっ」




「長谷川さん・・・。」


「だから長谷川さんの為にも演奏してちょうだい、そしてみんなの為に成功させて!!」




「・・・・わっわかった・・・わかったよ鈴原、演奏するよ」


「そうこなくっちゃ★」




「・・・・・・ゴメン鈴原」


「謝ることなんて無いわっ、星野さんと拓ちゃん2人でアイコンタクトなんだからね」




「いや・・・謝ったのは、そのことじゃなくて・・・」


「え? どういう意味よ」




「僕は鈴原を助けることが出来なかった・・・」


「ほ~らぁ、言った通りに責任感じちゃってんじゃん」

両腕を腰に据えてハマミクが偉そうな素振りで2人の会話に割り込む。




「だってぇ、色々あったって言うか、何て言うか・・・だからアノ話は・・・」


鈴原はシドロモドロで答えにならない、すると見かねたハマミクは


「そんじゃカメラがこちらに切り替わる前にワタシが全部説明してあげましょうかぁ!?」

そう言って、イヤラシイ目つきで鈴原を右腕で突っつく。



:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


【夜のカウントダウンスタジオのフロア】


いよいよランキング1位の発表


『今週の1位はぁ、アイコンタクトが歌う 【ラブソング】 です』


『トップテン圏外からイキナリの1位獲得したアイコンタクト』


『謎に包まれたユニットの正体が今日、この夜のカウントダウンスタジオで明かされます!!』




男女のVJが興奮気味で紹介


4位の後にやる筈だったスポットコーナーを省略し

1位にランクインしたアイコンタクトにスポットをあて

このユニットの謎について解説していく。。




一方、モニター室の長谷川修は真っ二つに割られた2枚のディスクを見て放心状態

グッタリと肩を落とし床に座り込んでいた。


「愛・・・残念だがゲームオーバーだ・・・。」



(・・・川崎君には申し訳ないが、スタジオに行って詫びるしかないな・・・)



長谷川修はそう言うと決心したように立ち上がる。



【ガチャ】



長谷川がスタジオの扉に向かうと、反対側の扉が開く

先ほど黒尽くめの男たちが入ってきた扉だ。

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