あいドルのフェロモン3
モニター室では
長谷川修の携帯に、スッポンの梨木から連絡が入る。
『すまん長谷川君、ワシの不手際で星野愛のネタが流されてしまった』
「ええっ今モニターで確認しました。このタイミングってのが参りますねぇ」
『これで星野くんの希望したことは出来なくなってしまったなっ、本当にスマン』
「大丈夫ですよ梨木さん、バージョンBがありますから」
『バージョンB?』
「ええっバレた場合のバージョンもあるんです。」
『バレた場合のバージョンだとぉ!?』
「もちろん梨木さんの事を信用してますが、どこからバレるかわかりませんからね」
『ぶはははっ何て女だ星野愛』
「ところで梨木さん、川崎君は大丈夫ですか?」
『大丈夫ではなさそうだな、さっきから黙りこくっているよ』
「そうですか・・・・」
『それに』
「それにどうしました?」
『何故か道路が大渋滞で車が動かん』
「渋滞ですか・・・う~ん、バージョンBがあっても、どうにもならないか・・・」
すると、梨木と長谷川の会話に藤原紀子が割って入る。
「だったら中継カメラをそこに持っていけばイイんでしょ」
「でも紀ちゃん道路が渋滞中なんだぜ」
「渋滞中でもバイクなら行けるんじゃない?」
「バイクか・・・」長谷川がポツリと言うと
『渋滞のすり抜けかぁ・・・だったら間に合う。長谷川君、詳しい場所を言うからメモってくれ!!』
梨木が早口で答える。
「でもバイクって誰が乗っているんだよ?」
「ウチの事務所の坂本あけみ!!」
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再び
生放送中のスタジオフロア
ゲスト席後側で本番まちの鈴原藍と浜田未来が
モニターに流れたニューステロップを見ていた。
「あれぇ、星野さんの件ってマスコミに話してないって言ってたわよね鈴原さん」
「ええぇ、長谷川さんと梨木さんから聞いていた話とは違っちゃってますよねぇ」
「なんかワクワクしてこない?!」
「何楽しんじゃってるんですかハマミク(浜田未来)さん、不謹慎ですよ」
「予測不可能な展開って言ったら、星野さんのチューコッタ事件みたいなったりしてね」
「予想不可能だなんて、生放送中なのに怖くないんですか?」
「ふふっ、あんたを水上の爺から助けた時からもう怖いもんなんてないわよ」
「あの時は本当にありがとうございます」
「しかし鈴原さんも罪な女よねぇ、私に助けられた事をまだ彼に言ってないんでしょ」
「ワザとじゃないですよ」
「解ってないなぁ、あんたの王子様は責任感じちゃってると思うよ」
「あの後、拓ちゃんが入院していたりお父さんとお母さんがエムベックスの会長を血祭りにしたりとイロイロありすぎてタイミング逃した感じですよ」
「ホント鈴原さんって真面目なのか不真面目なのか謎だわ」
【ツカッツカッツカッ】
会話中の2人の前を藤原紀子が横切り、早速ゲスト席の坂本あけみと話し込む。
『・・・事情はそう言う訳、だからバイクで川崎君の所に向かって!!』
「わかったわ」
そこに、ジャーニィー坂野の胸ぐらを掴んでいた如月英治がやってくる。
「どう言う事だっ!! 星野が死んだだとぉ」
「ごめん如月君、今詳しく話してる時間が無いの」
「中継カメラは、このリュックに入ってるから早く行って あけみ!!」
【タタタッ】
「待ってぇ坂本さん!! 私、バイクの後ろに乗って行っちや駄目ですか?」
そう言って鈴原が、スタジオをでようとする坂本あけみを静止する。
「何言ってるのよっ、次の歌う出番はあんたじゃないの?」
「でも、如何しても行かなきゃ駄目なんです。」
「だったら歌いながら行けばいいんじゃない?」二人の言い合いにハマミクが答える
「はぁ~?」
「私が撮ってあげるわ」
「移動しながら歌うか・・・いいアイデアだと思うけど、バイクで移動中の鈴原さんをどうやって撮るのよ?浜田さん」坂本あけみがハマミクに聞く。
「如月さんって、パパラッチ対策でバイクに乗ってましたよねぇ」
「ああぁハーレーに乗ってるよ」
「じゃ決まりぃ~早速いきましょ★」
「ちょちょちょっと待ってくれよぉ、何で俺までぇ」
「星野さんの件を詳しく知りたいんでしょ」
そんな感じで話は無理矢理まとまり、4人は地下駐車場にイソイソと向かう。