あいドルのフェロモン2
僕を乗せた梨木の車は、神奈川から都内に入り
首都高速から一般道へ、そして台場に向かっていた。
「ところで間に合うんですか? 」
渋々演奏をする気になった僕は、前で点灯した赤信号を見て呟く
「ああっ大丈夫だ」
「大丈夫ったってぇ、もう5位の楽曲ですよ」
車載TVで生放送中の【夜のカウントダウンスタジオ】を見ながら答えると
「ワシが言ってるんだから間違いない」とスッポンの梨木
「だって、スポットコーナーで演奏するんなら4位の後でしょ?」
「何の考えも無しに川崎君を迎えにくると思うか?」
「スッポンの梨木がそんな打算はするハズ無いか・・・・・・」
「しかし長い赤信号だな・・・・」
スッポンの梨木が青信号が変わらないのに苛立っていると
TV画面の上に突然テロップが流れる。
【星野 愛さん 一週間前に病死していたと関東スポーツ記者の証言】
(えっ!!)
「どうかしたのか川崎君」
顔色が変わった僕の顔を見てスッポンの梨木問いかける。
「嘘つき」
「どうした? 川崎君」
「嘘つきって言ってんだよ」
「どう言うことだ?」
「星野さんが病死したって・・・」
「なんだとぉ、バッバカな!?」
動き出した車に急ブレーキを踏み、車を路肩に駐車
車載TVを確認して形相が変わる。
「くそっ、誰だこのネタ上げたのは!!」
携帯電話で自社の関東スポーツに電話する。
「もしもし梨木だ、誰だ星野愛の死亡ネタを上げたのは!!」
電話に出たのは助手の大柳
『どうしたんですか梨木さん?そんなに慌てて』
「おっ大柳っワシを裏切ったのか!?」
『あぁ~星野愛の件ですかぁ』
「あぁってなぁー、あの話はお前とワシとのオフレコだろっ」
『こんなスクープをオフレコだなんて、梨木さんは頭が可笑しくなっちゃたんですかぁ』
「くそっ裏切ったな」
『裏切る? 私たちは芸能リポーターじゃないんですか?』
「もういい」そう言って梨木は携帯の通話終了ボタンを押す。
(確かにお前の言う通りだ、ワシがお前に話したのがバカだった・・・)
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夜のカウントダウンスタジオ
生放送中のスタジオフロア
『ハイっ、ランキング5位と4位を続けて聞いてもらいました。』
『5位のスシネタの演じる【オスシdeデイスコ】はあんなに激しいダンスでよくクオリティ高い歌声が出せるのか不思議としか言いようがないですね』
『4位に入った清原麗華の【弾けるラブ・スマイル】、さすが小村さんのプロデースですねぇ、曲のサビと清原さんのコブシが絶妙です』
『清原くんの声はコブシだけじゃなく声量もあるので楽曲が激しくても、サウンドに負けないんですよ』ゲストの小村が答える。
『声量ならウチの3人が上でしょ、あれだけ動いて歌のクオリティを崩さないんだぜ』続いて如月英治が発言
『バカ言うなっ!! 清原麗華はお前のおちゃらけユニットと違って格が違う格がっ』
小村の発言に如月英治が反撃しようとするが、ゲスト席のモニターを見て顔色が変わった。
(何っ? 【星野愛が 一週間前に病死していたと関東スポーツ記者の証言】どう言うことだ)
『そう言う訳でCMの後はベスト3の発表です!!』
生放送中のメインカメラのランプが青に点灯し、CM中の合図に変わる。
『ガタッ』
「何だこの速報ニュースは、星野愛が死んだだとぉ!? 長谷川は何にも言ってなかったぞぉ」
ゲスト席を立ち上がりモニター室に行こうとする如月にジャーニィー坂野が声をかける。
「お前が何かしたら星野愛が生き返るのか?」
「煩いっ!! お前に俺と愛の何がわかるってんだっ」振向きざまにタンカを返す。
「星野愛って言ったらマネージャーとデキテたんだろ、お前の出るまくもないじゃないか」
間髪入れずに小村鉄馬が応戦する。
「くくくっ、片思い男がトチ狂っちゃおしまいだな」
口元を押さえながらジャーニィー坂野が不適な笑い
「うるせいなぁ、クソジジイ!!」如月は物凄い形相でジャーニィー坂野の胸ぐらを掴んだ。