フェロモンの香り12
【誰か助けて の巻】
バンド名が【怒れポンチ】とは誰がつけたのだろうか?
演奏がイカレポンチだからだろうか?
あまりにもグルーブ感の無い演奏とボーカルの絶叫の多さに
僕のテンションが下がったままなのは言うまでもない。
隣の正徳とガッキーニこと由美ちゃんは、肩を揺らして
辛うじて、この演奏についていっている。
愛の力がそうさせるのか・・・?
3曲目に突入した時点で、正徳に一声かけてトイレに向かった。
本気で演奏に耐えられなかった訳でもなかったし、別にトイレに行きたかった訳でもない。
来る筈だった鈴原が来ていないことが気になっていたのだ。
とは言うものの アテがある訳でもなく結局トイレに向かう。
歩きながら
松葉杖が必要ないほど回復している事に気づく
(結局、普通に歩けんじゃん・・・)
トイレを済ませ、出口脇の自動販売機で瓶のコーラを発見
(瓶のコーラ 目面しいじゃん) そう思い早速購入
【プシュー】と心地よい音を上げて王冠を抜く
ひとくち 口に運ぶと
瓶コーラならではの強烈な炭酸とコーラ独特の香りが気持ちいい
(あ〜あっ なんか来ないほうが良かったかなぁ)
コーラの爽快感とは裏腹に、そんな後悔の念がひょっこり顔をだす。
販売機の隣にあるベンチに腰を下ろし
このまま帰るか思案してみるが、正徳の好意に水をさすようで決めかねてしまう。
僕はこんなに優柔不断だっただろうか・・・
そんなことを考えながらコーラを飲んでいると
トイレ対面にある倉庫から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「いい加減にしてよっ ブッ殺すわよっ!!」
(ブッ殺す? 随分物々しいなぁー)
僕は倉庫の扉を少し開けて、様子を伺うと
「 ! 」
そこには、男2人に羽交い絞めにあっている鈴原がいた。
「あんたたちっ! こんな事して警察が黙っていないわよぉ!!」
「けいさつぅ〜 そんな人、ここに居ないみたいですけどぉ?」
鈴原の両腕を後ろから羽交い絞めにしている男が、もったいぶる様に言葉を吐く。
「今いなくったって、ここの騒ぎを聞きつけて誰かが来るわ!!」
「へ〜っ 只今 大音量でライブ開催中でございま〜す。」
鈴原の前に立っている男がおどけて言う
「そっ 誰にも聞こえませ〜ん」続けて羽交い絞めしている男
そういい終わると鈴原の前に立っている男が、ブラウスを前からボタンごと引きちぎる
全てのボタンが床にパラパラと音を立てて飛び散り
胸元のブラが丸見えになってしまう。
それを見て顔色を変える鈴原
もがきながらブラウスを引きちぎった男にケリをいれようとするが
あっさりかわされてしまう。
「ちくしょぉー ちくしょぉぉー ちくしょぉぉぉー」
両足をジタバタと動かして暴れまわる鈴原だが、前の男にかすりもしない。
「ふっふーんっ 顔に似合わず 結構なじゃじゃ馬さんですなぁ」
前にいる男が、
鈴原の両足をアッサリと掴んで足の自由さえも簡単に奪ってしまった。
「こんな娘って、オレっ結構燃えるかも ククッ」
「オレーもぉ 燃えちゃうっ 燃えちゃう」
その2人は羽交い絞めにした手と足を保ちつつ
巧みに上着やスカートを脱がしはじめる。
「誰か助けてぇ!!」初めて悲痛な声で鈴原が叫んだ。