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ラブソング19

横浜グランデューナ国際ホテル

最上階スゥイート・シャワールーム内

鈴原藍



シャワーのノブを回し

バスタブにお湯を向けて出しっぱなしにすると

バスルームに入る前に鞄から抜き取った携帯電話を開く


(よかった・・・何とかアンテナたってるわね・・・)


アドレスから選び出した相手は川崎拓都

(お願いだから電話に出て頂戴、拓ちゃん・・・・・)


::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::


中華街近くのラブホテル【ランラン】




「めっめぐるちゃん俺っ俺さぁ」


「拓都さん・・・・・・・・・」




「俺もめぐるちゃんの事・・・」


【ピッポロピッポロピッポロビッピー】




突然、拓都の携帯から札幌一番の着メロが鳴り出す!!


僕は言いかけた言葉を飲み込み

着メロの鳴っている携帯電話のある場所を見つめた。




「出ないで・・・・・・・」


そう言っためぐるちゃんの顔を見ると

真剣な眼差しで僕の目を見つめる顔がある。




僕が携帯電話に出るか躊躇していると

携帯電話は自動的に留守番電話にかわった。



自動で応対する留守番メッセージが

微かに、そして無機質な機会音声で流れているのがわかる。



僕は、携帯電話には出ないよ と言葉で言う代わりに

めぐるちゃんを抱きしめる。



抱き返してくるめぐるちゃんは

耳元でありがとう と静かに呟いた。



留守番電話のメッセージ応答が終わり

一瞬部屋に静けさが漂うと

僕らは見つめあい軽くキスを交わした。



もう電話が来ても出ないよ と暗黙の約束にも思えるキスだった。



すると、暫しの沈黙をやぶる様に

また着メロが鳴り出す。



ドキっとした表情で僕を見るめぐるちゃん


僕は瞳を見ながら、大丈夫という意味で相槌をかえす。



鳴りっぱなしの着メロは止み

また微かに留守番メッセージの声が聞こえる。




「また鳴っちゃうとウルサイから電源切るよ」

僕はそう言って携帯電話に手を伸ばす。


めぐるちゃんは全裸のまま

僕の胸に顔を埋めている。


二つ折りの携帯を開き、電源を切ろうとすると

3度目の着メロが鳴り出した。




慌てて電源を切ろうとすると

液晶画面に表示された名前は【鈴原藍】




僕は電源OFFボタンではなく

通話ボタンを押してしまった。




「拓都ぉっ助けてぇ!!」


「・・・・・・・・・・。」

僕は状況的に言葉を発する事が出来なかった。




「拓都・・・ねぇ拓都なんでしょ?」

鈴原の声は何時もと違っていた。


2度、留守電になってもまたかけて来た事で

普通の状態じゃないことは推測出来てしまう。




「ねえぇ、どうして答えてくれないの?」


「・・・・・・・・・・・」




僕の胸元では

電話にでてしまった僕を不安そうな面持ちで見つめるめぐるちゃん居る。




「このままじゃ私・・・エムベックスの会長に・・・体を・・・お願い助けて・・・」


「・・・・・・・・・・・」

僕の前で泣いた事の無い鈴原が泣いていた。




「・・・一生守るって・・一生守るって言ったくせに・・・拓都のバカ・・・」


「それって幼稚園の時言った言葉だろ・・・」

僕は鈴原に答えていた。




「訂正してないんだから、今も有効・・・・」


「有効か・・・ならしかたない、何処にいるんだ」


すると

鈴原は簡潔に経緯を話し場所を話す。




「わかったっ直ぐ行くから時間かせげよっ!!」


僕は携帯をきり、即効で服を着る。



「拓都さん!!」

部屋を出ようとする僕の後ろから吉田さんの声



「拓都さん行かないで!!」



「ごめん・・・めぐるちゃん」

僕はめぐるちゃんの方を振り向くことが出来なかった。


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