ラブソング14
【エムベックス スタジオB】
レッスン中の鈴原のところに浜田未来がやってくる。
『ガチャ』
「・・・・・・・。」
「どうしたのよ 未来ちゃん」
レッスン指導中の世界のガモウが、驚いた表情で浜田未来に声をかける。
「どうもこうも無いわよっ、なんでカモウさんが新人のレッスンしてるってのよぉ」
「こっこれは社長が決めたことなのよぉ、鈴原さんもワターシも決定件は無いのよぉ」
「何言っちゃってんのよっ、ガモウさんは私が指定したコーディネイターなのよっ!!」
「そんな事言われてもねぇ・・・・」
「ガモウさんから社長に直訴してちょーだい。」
「ワターシから、ちょ直接直訴?!」
「失礼ですが貴女って 本物のハマミク(浜田未来)さんなんですか?」
鈴原が口を開く
「だったら何だってっんのよぉ(怒)」
「ホントにぃ?・・・ホントにハマミクさん?」
「くどいわねっ、本人の私が言ってるんだから本物に決まってるでしょ!!」
「本物のハマミクさんなら・・・私 かなりショックです」
「シッョクって、私が指定したコーディネイターを取られるのが怖いのね」
「・・・・・・。」暫しの沈黙
「返事が出来ないって事は、図星って事ね」
鈴原は左右に首を振りながら答える。
「違います・・・私は昔からハマミクさんのファンだったけど、そんな人じゃなかった。」
「あなたが知らなかっただけで、こう言う事も言うのよ イメージ壊して悪かったわねぇ 新人さん」
「いいえっ、言葉とかそういう話じゃなくて・・・・・」
「新人のブンザイで何ナマいっちゃってるのよぉ」
「最近のハマミクさんの歌・・・聴いてて心が苦しくなります」
「こっ心が苦しくなる?・・・なんなのよぉ この娘っ」
「ハマミクさんだって、本当は自分で気づいているんじゃないですか?」
「私の何がワカルってんのよぉ!」
「歌に華やかさや完璧を求めても無意味だってことです!!」
「クッ・・・・・・・・・・・。」
「前のハマミクさんの歌は自由で伸びやかだった。」
「・・・しっ新人のアンタに、そんな事言われたくないわよぉ」
【バタン】そこに社長の里香が入ってくる。
突然現れた社長の登場に驚きながらも気丈に喋る浜田未来
「ワタシは正当な話をしに来ただけですからね」
そう言い放つが社長は顔色変えずに答える
「あなたに用がある訳じゃないのよ」
「何よっ、また新人にエコヒイキしにきたってのぉ」
「鈴原さん、今日19時にレッスンの総仕上げよ」
「総仕上げですか?」
「そっ、最後のレッスンは 会長と顔合わせなの」
「顔合わせ!!」浜田未来が驚いた顔で鈴原を見る。
「本日19時に、横浜グランデューナ国際ホテルのスゥイートルームで会長がお待ちになってるわ」
「フッ」嫌な笑みを浮かべるハマミク
(どう見てもウブウブ処女の新人が顔合わせなんて、耐えられるワケないわよ・・・これでこの娘も終わりね)
「わかりました今日の19時ですね」
「このレッスンが終わったら早速支度して頂戴、下に車を回しておくわ」
「ワターシ以外の最後のレッスンって、社長っいったい何なんですか?」
ガモウが社長の里香に質問する。
「それは・・・・行ってからのお楽しみ・・・ですわ」
そう言いながら、横目でハマミクを見る里香
内容を話すなよと目で訴えているのだ。
「・・・・・。」里香に睨まれ複雑なハマミク
(あの目、あの時と同じ目つき・・・嫌な感覚だわ)
当時の顔合わせを思い出し、気分が悪くなる
「鈴原さん、時間に遅れないようにね」
【バタン】
「じゃ準備もあるでしょうから、レッスンはここまでね」
そう言ってガモウさんが椅子に座る
「ガモウさん、会長にお会いするならフォーマルな格好ですよね?」
「正解ね」
そのやり取りを見ていた浜田未来は
「せいぜいオメカシして会長と会うといいわ・・・ふふふっ」
「あら浜田さん 社長に直訴って言ってたけど、鈴原さんから担当をワターシに変更しなくてよかったのかしら?」
「もうイイわっ、気が変わったのよ・・・ふふふっ」
「嫌な笑い方ねぇ・・・」
「じゃあねぇ~」そう言って浜田未来がスタジオを後にする。
「それじゃ私も準備して横浜に向かいます。」
浜田未来を追う様に鈴原もスタジオを出ようとするとガモウが呼び止める。
「あっ鈴原さん、全部のレッスン終了まで渡すなって言われてたけど携帯電話返しておくわ」
待ってましたと言う表情で笑顔になる鈴原藍「ありがとう★ガモウさん」
(参るわねぇ~ホント笑顔がイイ娘だわ・・・改めて真のアイドル素質を実感させるわね)
世界中のモデルを手がけた、世界のガモウを鈴原の笑顔が魅了していた。