ラブソング9
【最後の1人巻】
カレンダーは9月に替わり
TVでは、キラリン美少女を探せ!! 優勝者たちが画面を賑わしていた。
清原麗華は小村鉄馬のプロデースで早速、楽曲をリリース
要所要所で演歌的なコブシの効く軽快なポップス『弾けるラブ・スマイル』を発売
既に化粧品のCMソングに決定している。
長谷川さんのいる森田プロで獲得した品川翔子は
ジャーニィ坂野の強力なプッシュもあり9月下旬には写真集を発売
その発売日に合わせて曲のリリースする企画も進行中だ
楽曲は、小村鉄馬のライバル中田ヤスオに依頼しており
楽曲名も写真集の表題と同じ『恋の空手チョップ!!』に確定しているようだ。
上戸まや・中川涼子・下村真琴の3人は
如月英治のプロデュースで【スシネタ】と言う名のユニットを結成
歌いながら踊るディスコチューン『オスシdeデイスコ』は
メリハリのあるメロディに寿司ネタ名を歌詞に乗せ、子供からお年寄りまで受けそうな出来映え
小学校ではオスシdeデイスコの振りマネが流行りはじめていた。
一方、エムベックと契約を結んだ 鈴原藍は
意外にも、未だTV露出も楽曲・写真集やらの発売発表もなされていなかった。
たたみかける様に売込み企画を連発するエムベックスでは
異例中の異例である。
【拓都が通う高校】
「うぃぃ〜ス」
「おっ正徳っ」
「流石に夏休み明けはテンションさがるよなぁ」
「ああぁ」
「でっどうなんよ?」
「ん? 何が」
「何がじゃないだろう拓都君」
「鈴原の件かぁ・・・鈴原なら連絡とれてないゾォ」
「えっマジ」
「マジもマジッ、携帯の電源入ってないんじゃねのぉ?!」
「一度も連絡とれてないのかよっ」
「忙しいんじゃねーのぉ?」
「忙しいってぇ・・・・おかしいなっ」
「何がだよ?」
「キラリンの優勝者3人は、かなりのメディア露出しているのに 鈴原だけ音沙汰ないんだよ」
「言われてみればそうだけど、今夜バラエティ番組【めちゃくちゃイイ感じ】に出るみたいジャン」
「そりゃそうだけど、弱小プロダクションでもあるまいし やっと今日のバラエティ番組出演だけってことはないでしょう?」
「ふぅ〜ん、そうなのかぁなぁ〜」
「あたりまえだろっ、天下のエムベックスと契約したんだよ 鈴原は」
「そこんところは、ゴットシンに確認すれば解かるんじゃねぇの?」
「ゴットのところにも情報が入って来てないんだよ」
「って 確認ずみかいっ!!」
「これは、何かあると俺はみたぞぉ」
「あのなぁー、お前は芸能リポーターかってんのぉ!?」
「うむっ・・・」
【森田プロ事務所】
「どうだっ曲のオケは上がってきたか?」
「バッチリよっ、私の美貌があれば中田ヤスオなんてチョチョイのチョイよ」
「美貌ったって簡単に引き受けないぞ中田さんは、どんな手を使ったんだい?」
「企業・ひ・み・つ・よ・★」
「秘密?・・・まっいいか・・・紀ちゃんっ 品川君のメロの合わせ、ヨロシク!!」
「OKっ 長谷川はこの後、愛のところに行くんだったっけぇ」
「ああっ 愛の所に行ったら、ガモウさんにスタイリストの契約に行ってくる。」
「じゃ私も夜に行くって、愛に言っといてっ」
「了解」
【エムベックス本社内 スタジオB】
「そうそうっ もっと顎をひきぎみに」
「はいっ」
「もっと自然な感じで遠くを見るように歩くのぉ」
『ワン・トゥ・サン・シィ ☆ ワン・トゥ・サン・シィ』
「いいわっ、すっごくイイっ!!」
【ガチャ】
社長の水上里香が入ってくる。
「鈴原藍の状態は、どうかしら? 」
「ええっカナリ上達が早いですね、イイですよっすっごくイイ」
「そうっ、さすが世界のガモウだわっ」
「いえっ、今回は素質がイイと言うか 彼女の持ち味ですわぁ」
「フフッ、そうね。 この後はメイクチェックも宜しくね。」
「えっでも、この後は浜田未来のツアー衣装打ち合わせだったんじゃ」
「浜田の件は大丈夫、それよりも今夜初出演のバラエティは生なんだから、鈴原さんの笑顔が際立つ様に仕上げて頂戴っ」
「承知しましたわっ 初出演が生放送でも、この娘なら大丈夫♪」
「ふふふっ、そんな事 最初から解かってることよガモウさん」
「・・・そう言う事ですか・・・」
「この娘は会長からのお墨付きなのよ、イロイロと念入りにたのむわね」
「心します。」
【エムベックス本社内 スタジオA】
コンサートツアーリハーサル中の浜田未来
「何で、あんな小娘に入れ込んじゃってるワケよっ」
「まぁまぁ未来ちゃん、そんな興奮しないでぇ」
「うっさいわねぇ!! トータル・コーディネイターのガモウは、この私が指定したのよっ!!
なのに今更変更ってどう言うことぉ? 私のコーディネイトを任せられるのは、世界のガモウだけでしょっ、そうでしょ?!」
「しゃ社長からの指示らしいので、皆目見当がつきません」
「何それ 高田ぁ、そんなんで私が納得すると思ってんのかよ」
【ドガッ】スタジオのスピーカーボックスを力強く蹴りこむ未来
「と申されましても・・・・・・」マネージャーの高田は汗を拭きながら答える。
「使えねーマネージャーだなぁ、明日から来なくていいよっ」
「・・・・・・」
「誰かっ煙草買ってきてくれない? メンソールキツイやつ」
空になった煙草の箱を手で握りつぶしながら、後ろにいるスタッフに声をかける。
「みっみっ未来ちゃん それ以上吸ったら喉に影響が・・・・」
「うっさいわねぇ私に命令しないで頂戴っ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
【ドカッ!!】【うおっ!!】
黙り込むマネージャー高田の腹に無言でケリを入れ
未来はスタジオ隅にある、ビル内専用電話から会長へ連絡をいれる。
『どうした? ツアーのリハ中じゃないのか?』会長の水上が答える。
「どうして代えたのよぉ〜」
『何のことだ?』
「私が指定したコーディネイターよっ」
『知らんよ、ボキが未来ちゃんにそんなことするワケないしょ』
「だったら世界のガモウを私の処に戻してぇよぉ」
『・・・・・』
「ねぇ 水上会長ぉん、未来の一生のお願いっ イイでしょ」
『ガモウ君の代わりに付いたコーディネイターは・・・ダバ君か・・・・』
「そうよぉ、ダバよぉ くねくねダンスの ダバちゃんよぉ〜」
『ダバ君なら今回のツアーの趣旨に適役ではないのかな?』
「くねくねが適役なワケないでしょ!!最悪よぉ〜」
『今回のツアー内容は、ダンスチューンメインのアルバムしょ』
「だからって、くねくねくダンスをしろってんの (怒)」
『ダバ君にダンスの真髄を叩き込んでもらうイイチャンスしょ』
「だってぇ会長ぉ」
『彼が本気で踊ったところを見たこと無いだろ未来ちゃん』
「・・・・・ないわよっ」
『なら見ておくしょ、歌姫・浜田未来が次のステップに行くには必要しょね。』
「・・・次のステップに必要?・・・必要かぁ・・・必要かもね・・・」
(ん? まてよ・・ホントに必要なのぉ・・・・)
【PM8:00ムジテレビ】
ムジテレビのロビーに
ハンディカメラと照明&音声という最小での放送クルーが待機
時報と共に生放送が開始された。
『木曜の夜は、めちゃくちゃイイ感じ!!』
何時ものタイトルバックが流れ
進行役のナカジーこと中島富美とお笑いコンビ【ナインナイン】が
高いテンションで現れる。
「ナインナインのムラオカでーす!!」
「同じくタナベっちですねんっ」
「そしてテレビに咲いた一輪の花 ナカジーです♪」
「一輪の花って、ナカジー言い過ぎちゃう」
「うふっ、そうかしら」
「まっ花は花でも団子っ鼻ですなっ」
「何を言っちゃってるんですかぁ〜タナベっち」
「ハイッ、そんな二人はほっといて お台場探偵団のコーナースタートしますよ!!」
「そっそうなんです!ムラオカさんっ、お台場探偵事務所に調査依頼書がとどいてるんです。」
ナカジーが胸の間から依頼書を取り出し、ナインナインのムラオカに手渡す。
「おっとホッカホカの依頼書ですよぉうひょょっ」
「なんやねんっ、その依頼内容ちゅーのは?」
タナベっちがナカジーとムラオカの間に顔を入れ、突っ込みを入れる。
「キラリン美少女優勝者、最後の1人の情報をゲットせよ★」
「えっ、最後の一人って誰ぇ?」
「みんなっ歌とか出したんちゃうのぉ?」
ナインナインの二人が相次ぎ発言
「そーなんですよっ、みんな歌とか写真集の発表がされているのに音沙汰なしのキラリン美少女が一人いるんですよぉ〜」
「何で知ってるんや、ナカジー?」
「そりゃしってるわぁ、キラリン美少女コンテストの司会がナカジーやもんなぁ」
「そんなんでーす!! 結構お仕事バリバリこなしてるんですよぉー」
「あんたの仕事の話は聞いとらんやろ」
「あれれぇ〜失礼いたしました。 その最後のキラリン美少女が鈴原藍さんなんですぅ。」
「鈴原藍ちゃん?」
「あれっ聞いたことあるでぇ〜、梨木リポーターが怒っとった娘やわなっ」
「梨木リポーターが怒っていたかどうか別にして、かなりインパクトのある美少女なんですよぉ」
「ほなっ早速その美少女を拝みにいきましょかぁ〜」
「行くたってぇ、どこにいるやねん」
「ハイハイ、そこんところもナカジーが調査済みでーす!!」
「局アナは仕事がはやいわなぁ〜」
「ほなっカメラさん、ナカジーに後についていきましょかぁ」
番組撮影の一行はムジテレビ2Fフロアから1Fへと階段を使いどやどやと下りて行く
【森田プロ事務所】
【ガチャ】
「あら社長、韓国から戻るの今日でした?」
「おおっ藤原くん お疲れさん、早めに契約が済んだんで一日切り上げてきた。」
「そぉですか、私ならその一日をソウル観光にしちゃうのになぁ」
「遊びじゃないんだぞぉ藤原、それでどうだ新人の品川くんは?」
「私が見たところナカナカ筋が良いわよっ社長ぉ、長谷川は別な娘を獲得して欲しかったみたいだったけどぉ」
「別な娘?」
「そぉ、覆面とかチューコッタダンスとか奇抜な演出した・・す・鈴原って名前だったかな・・」
「鈴原?・・・」
「えっ社長、知ってらっしゃったんですか??」
「いや・・・・」
「あっそう言えば、今日のムジテレビに生出演だったと・・」
そう言って藤原紀子が事務所のテレビをつける。
するとナインナインの2人とナカジーがタレント控え室に突入するところだった。
【バタン】
「はじめましてナインナインでーーーーーーす!! って誰も居まへんがなぁ〜」
「どう言うことやねん、ナカジー」
「あれれれぇ〜」
「クスクスクス」
「何笑ってんのぉカメラさん」
「あっ」
カメラさんがカツラと口髭を取ると
なんと鈴原藍
「なんやねん!!」そう言ってタナベっちが鈴原の代わりにカメラを操作
「初めまして、エムベックス所属の鈴原藍です!!」
「こりゃ一本とられましたわ」
「今、テレビに映っている娘が長谷川の言ってた娘なのか?!」
森田社長が愕然とした表情で藤原紀子に聞き返す。
「そっ、この娘よっ 確かにカワイイけど、たいしたことないでしょ」
「むむむっ 所属事務所はどこだっ藤原ぁ!!」
「エッエムベックスだけど・・・」
「なにぃ所属事務所がエムベックスだとぉ・・・・・・」
「しゃ社長どうしちゃったのぉ????」
公式ホームページ
www.okbabyok.com