ラブソング8
【スカウトの巻】
【M7スタジオ】
スローなテンポから入ったメロディは中盤で軽快なサウンドを奏で
エンディングでは激しく
そして情熱感を讃え
印象的なフレーズで幕を閉じる。
拓都と対面に座っていた星野愛の瞳には涙が溢ていた。
拓都の演奏が終わったスタジオ内は静まりかえっていたが
星野と長谷川の心は演奏の出来映えに興奮を抑えきれずにいる。
「ありがとう・・・川崎君・・・。」星野さんが涙を拭う。
(楽曲の完成度も高いが、ギターの腕前が前回とは比べ物にならないくらい上達している・・・さすがに愛が入れ込むだけはあるな・・・)長谷川は顎を擦りながら関心する。
「よかったっ、巧く演奏出来て・・・」
拓都はそう言うと安心したように大きく息を吐いた。
長谷川修が拓都の傍に来て肩を叩く
「プロ顔負けだったよっ川崎君、ギターもいい音で鳴ってたし」
「そっそうでしたか?」
「長谷川が言うんだから間違い無しよ川崎君」
驚いた顔をしつつ顔を赤らめる拓都
「川崎くんに誕生日プレゼントも貰ったことだし、病院にもどるぞ 愛」
「演奏してもらったそうそうで、追い帰すみたいになっちゃうわね川崎君」
「そんなことないですよっ星野さん、体が一番大事ですから」
僕は完成した曲を披露できた満足感でイッパイだったし
長谷川さんに演奏を褒められたこともあり、かなり舞い上がっていたんだと思う
そんなんだからサテライトスタジオでの結果が重大だなんて考えもしなかった。
サテライトスタジオでは、最終審査が発表されていた。
審査は審査員4名による投票で決定するのだが
如月英治の発言によりエントリー者が4グループとなってしまた為なのか
見事に投票も4つに分かれたのである。
『こっこれは、見事に4つに分かれてしまいましたぁ』
『と言うことは、会場の皆さんに決戦投票のボタンを押してもらうことになりますね』
【わあぁぁぁぁぁー】
『そうです!! 皆さんのお手元にあるボタンを押す時がやってまいりました。
キラリン美少女に相応しいと思うエントリーNoを押してください』
『押した集計結果が、あの画面に表示されます!!』
『それでは、キラリン・ボタン スイッチオンッ!!!』
会場の観客それぞれが投票ボタンを次々と押しはじめと
スタジオ中央のスクリーンに集計結果がグラフの様に積みあがっていく。
【ジャガジャーーーン♪】集計終了のSEが鳴ると
大きく結果が表示された。
『えっ』
『えっ』
『ええーっ!』
画面に表示された集計結果は、4グループ共に同票
『こっこんなことがありうるのでしょうかっ?!』
『未だかつてありえない結果となりました。』
司会のマイケルとアシスタントのナカジーが審査員席にて
暫しどうするか話し合う。
『えーっ審査員とも話し合ったけっか、会場投票でも決着がつかなかったと言うこともあり、4グループ共に優勝と致します。』
『よって、プロダクションによるキラリン美少女のスカウトは少々ルール変更の上で行うこととなります。』
【M7スタジオ】
「どうする? もう一回やるか?」
「気持ちよく出来たと思うけど、もう一回したいなっ」
「でも体がもたないだろう愛」
「これを逃したら、次に何時出来るか解からないでしょ」
「わかったよ、だったら今度はもう少し口を大きく開いてやってくれないか?」
「わかったわ、今度はもっと出るかしら・・・」
【バタンッ】
M7スタジオに血相を変えた藤原紀子が入ってくる。
「あららっ 取り込み中だったかしら」口に手お当て藤原紀子
「おっとぉ、紀ちゃんスカウトの方はどうだった?」テーブルのコーヒーを手に取り長谷川
「本当にゴメンなさい!! 何故なのか空手娘をスカウトしちまったわ」
「へっ? 何だってぇ」
「覆面娘のスカウトができなくなってしまったのよね」
「どうゆうことよぉ、優勝者がアノ空手の娘って事なの?」星野愛が聞き返す。
「うぅうんっ 全員優勝」
「全員優勝ってぇ????・・・だったら全員スカウト可能だったんじゃないの?」
「うんっだからNo,1とNo,6をスカウトしようかなぁ〜と思って指名したら2人目の指名は駄目だったんですってぇ」
「紀子っ司会の説明ぇシッカリ聞いてなかったんでしょ」星野愛が溜息まじり
「へへっ」
「へへって、紀ちゃん」呆れ顔で長谷川修
「でっNo,6の藍ちゃんは 何処のプロダクションがスカウトしたのよぉ?」
「エムベックスっ」
「やっぱり水上のおっさん所かぁ・・・・厄介だなぁ」
「ホント厄介ね・・・・・・・・・・・・。」
長谷川も愛も顔を見合わせて黙り込む
サテライトスタジオ観客席の傍らでは
正徳とゴットシンが大騒ぎ
「バンザーイ、バンザーイ、バンザーイ!!」
「天下のエムベックスでござるよ、正徳殿」
「凄い!! 凄い!!、エムベックスって事はもちろん歌も歌ったりするんだよなぁ」
「もちろんでござる!!」
「もちろんだよなっー(笑)」
「むふふふっスカウト前のお宝写真を撮っておいて、良かったザンス」
「俺も同級生として、鈴原を育ててきた甲斐があるってもんだっ」
「わっははははははっ」
「誰が鈴原を育てたってぇ・・・・」
大喜びの2人の前に僕が合流
「おっと拓都くんも一緒に育ててきたんだったなっ」
「アホか正徳っ、只の同級生だろうが」
「拓都殿は鈴原殿の恋人なんで、複雑ザンショ」眼鏡を光らせ意味深なゴットシン
「なっ何いってんですか慎也さん」
「ぷっ ムキになっちゃってぇ拓都ちゃん」
「お前まで何言ってんだよ!!」
2人のペースにハマッタまま
鈴原にお祝いを言おうと控え室に向かったのだが、会うことは出来なかった。
早速、エムベックの社長と本社に契約にいったらしい。
(星野さんたちの事務所に鈴原が入る手筈だったと思ったんだが・・・何故にエムベックス??)
仕方ないので3人で祝勝会をひらく羽目に・・・・・。
どうでもイイのだが、この日の2人のテンションは高かった。
何時の間にか、鈴原のファンクラブが結成され
会員No,1〜No,3まで確定してしまった。(笑)
この後の鈴原といえば
翌日から夏休み明けまでの数日間、僕らは連絡がとれていない。
公式ホームページ
http://www.okbabyok.com