ラブソング6
【森田社長の巻】
「ギリギリセーフだったなっ」サテライトスタジオ裏の通路で正徳
「なんだよっその清々しい顔はぁ、こっちの身にもなってみろよぉ」
服を着ながら拓都
「一時はどうなるかと、ハラハラ辰則」満足そうな面持ちでピエロメイクを落としながらゴットシン
「結局さぁ、拓都も鈴原が気になってんじゃん」オチョクル口調で正徳
「なっ、そんなつもりでココに来るかってんのぉ」
「じゃ拓都殿は、どうしてココに来たのでゴザルか?」ゴットシンも少し驚いた表情で聞く
「あっ、あぁぁーーーーーーーー」拓都は何か思い出した という表情であたりを見渡す。
そしてギターケースを見つけると、ひったくるように手に取り
小走りでエスカレーターで2Fに向かう。
それを見て正徳とゴットシンは顔を見合わせ【 ? 】の様だ。
【M7スタジオ】
『バタン★』
「遅くなってスイマセンん星野さん!!」
密閉されたスタジオの扉を勢良く開けてM’7スタジオの中に入ると
星野さんがディレクターチアにすわり笑顔で出迎えてくれた。
「おつかれさま★面白かったわ」
「面白かった?・・って何で知ってるんですかぁ・・・・
「各スタジオ内のモニターで局内の収録番組が見ることが出来るのよ(笑)」
「って事は、サテライトスタジオもって事ですか?」
「もちろんよっ フフッ」
「参ったなぁ〜」
「あらっ、あれも私の誕生日プレゼントかと思ったわ★」
「えっえぇぇ〜」
「藍ちゃんと すり替わった瞬間も絶妙だったわよっ、ほとんど画像じゃ解からない」
「そうでしょぉ(^o^)自分の筋力が回復したから出来たフットワークつーかぁ・・・ってぇ、なっなんで鈴原の名前を・・・・」
「藍ちゃんから聞いてなかった? 病院に居たときにイロイロ相談に乗ってあげたのよ」
「そんな話、聞いてません(驚)」
「あらっ内緒にしておく理由があったのかしら・・・」
【ガチャ】スタジオの扉が開き長谷川修が入ってくる。
「川崎君はきているか?」
「ええ到着ずみよ★」
「お騒がせして申し訳ありませんでした。」
「本当にハラハラしたよっ、まさかあんな演出を用意しているなんてなっ」
「演出なんてとんでもない、またゴットが仕組んだ事ですよ(汗)」
眼鏡の位置を直しながら、笑を堪える長谷川
「長谷川っ会場は紀子にちゃんと頼んできたの?」
「ああ大丈夫だよっ、愛が言ってたNo,6の鈴原くんを指名する様に言ってあるから」
「鈴原を長谷川さんの事務所にですか?」
「そっ指名したプロダクションが数名いた場合は、本人が逆指名出来る制度なんだ」
「そしたら私のいる森田プロを藍ちゃんが指名してくれるってワケ、フフッ」
「もちろん優勝が条件なんだけどね」
「鈴原が森田プロ・・・・」
「森田プロは健全なプロダクションよ、私が保証する★だから藍ちゃんの事は安心してちょうだい」
「あっそうだ、その森田プロの社長から これ預かってきたんだった。」
そう言って、長谷川が差し出したのはギブソンのギター
「えっ何で? これって僕が壊したギター・・・・?」
「そうなのかい? 渡せばわかるって森田社長に言われてたんだが」
(社長ってベンツのおっさん・・・・・・・ウソぉ・・・・?)
「あらっでも川崎くん ギター持ってきてるわよ」
「前に使っていた親父のギターが修理から戻ってて、今日はこのギターを使おうかと」
「見てもいいかい? 」長谷川修に言われ拓都は頷いて答える。
【ボロロロン】
ギターケースを開けて弦を弾くと長谷川の表情が変わる。
「こんな程度のイイのは初めてみたよ・・・」
「 ? 」拓都は意味が解からずにいると星野さんが口を開く
「懐かしいわね、やわらかくて優しい響き・・・それ鈴木バイオリン製のギターね」
星野愛が昔を懐かしむ様な表情で答える。
「さすがだな愛、正解だよ・・・お父さんもこれ使ってたんだよな。」
「ええぇ、日本製のギターにはない音色だって何時も父が言ってたわ」
「・・・・・・」
「父のギターは、しばらく放置したせいか、修理も出来なくなっちゃってね・・・」
「だったらパーツを組みなおせばいいんじゃないんですか?」
僕が聞くと長谷川さんが答える。
「そうも行かないんだよ川崎君、鈴木バイオリンって会社はもうないんだ。」
「そうよっ 中古市場に出回ってはいるけど、程度のイイ物はほとんど無いわ。だからここまで程度のイイものは稀なのよ・・・」
「そんな凄いギターなんですか?」
『すごいギターなんです』長谷川さんと星野さんが同時に答える。