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ラブソング5

【セカンド☆アピールタイムの巻】





「おい聞こえたか大柳っ」


「ええっ聞こえましたよ」




「距離があるから、話してる内容まで聞き取れなかったが・・・」


「私も内容までは聞こえてませんが、男の声でしたよ」




「マスクの候補生は間違いなく男性だよな」


「ええ・・間違いありません」




「チューコッタ踊りの件といい、A級品のネタ素材発見だな」


「種子島での一件も、これでカラクリが解るんじゃないですか?」




「よし、ナンバー6の候補生から目を離すなよ大柳っ」


いやらしい笑みを浮かべてマスコミブースに戻る2人




一方、審査会場ではダンサブルな楽曲と共に水着の候補生が磨かれたボディーを披露していくセカンドアピールが開始され様としていた。



『さぁお待ちかね!! 水着審査セカンドアピールタイムです。』司会のマイケルが力の入った声で叫ぶ


『エントリーナンバー1番から元気よくお願いします! それではどうぞぉ★』今度はナカジーが候補生に向けてアナウンス




そのテンションの高さと裏腹に審査員は水着姿になってない鈴原藍(拓都)を見て固まっている。



(どぇーこの状態、大丈夫なワケないでしょう・・・ゴットォ・・・)



ただ一人、水着姿じゃない鈴原藍(拓都)に審査員の視線が痛い。





モデルなみのボディがリズミカルにそしてしなやかにエントリーナンバー順に披露され

とうとう鈴原(拓都)の順番に回ってしまう。




(この状態で、どう切り抜けろってんだよっゴットシン!?)




会場の観客もマスコミブース陣、さして審査員、スカウトたちも鈴原に化けている拓都に視線が集まり、ダンサブルな楽曲だけが宙を舞う。




(くっくっそぉーーもうヤケクソだぁ)



そう思い拓都が踊り始めようとすると会場から誰かが叫ぶ。




『もう茶番はヤメタラどうかね!!』叫んだのはスッポンの梨木




(げっすっスッポンの梨木っ!!)




突然の発言に会場がザワつきだす。


『スイマセンが審査中に発言は控えてください。』

司会アシスタントのナカジーが梨木に向けて言うが、梨木はお構いなしで続けて話す。




『だいたい水着審査で覆面に戦隊ものの衣装のままなんて可笑しいと思わないのか?』




梨木がイイ終わると続けて審査席の如月英治が喋る。


「だからさっきから俺も言ってるじゃん、あんなんで審査なんか出来ないってさぁ」




言い終ると会場の観客からも、同意賛同の声が飛び出す。




それを受けて

司会のマイケルとアシスタントのナカジーが少し耳打ち


『このままでは審査の続行が困難になりかねので、ナンバー6の鈴原藍さんには、ここで覆面を取っていただきましょう。』とマイケル


『どうしても覆面を取れないと言う場合は、ここで棄権とみなします。』ナカジーが続けて話す。




審査席から坂本あけみが心配そうに鈴原藍(拓都)を見つめる。



(くっ・・だから無理だっていったんだよ・・・)

拓都はどうしてイイのか判らなくなり、その場で立ち竦んだままだ。




すると

たたみ込む様に、またスッポンの梨木が口を開く。


『覆面を取るワケにはいかないよなぁー、中身が男なんだから!!』




(何で梨木にバレテいんるんだぁぁぁ!!)拓都の頭の中が真っ白になる。




梨木の発言を聞いて会場のザワツキは最高潮に膨らみだし、【取れっ取れっ】のコールが出る始末。




司会の2人も如何してイイのか顔を見合わせたまま・・・・・・。




最悪の状態になってしまったぞぉ、取りあえず棄権させて事態を収拾しなくては)


スカウト席の左端に居た長谷川修が司会の2人に声をかけよう手を上げるが

その前にエムベックスの社長、水上が声を張り上げた。



『面白いっ!! 覆面をしてるとはいえ、どうどうと女性のコンテストにやってくるとは大した度胸、ボキに素顔を見せてほしいしょ』




『ちょっと待ってください、覆面を取る取らないより審査を進行させるのが先決ではないでしょうか』あわてて長谷川が話す。




『この状態で覆面を取らないで、話が済むハズはないしょ長谷川くん。 先日、超特ダネを放送した芸能リポーターの梨木くんがマズ納得でんきんしょね』




会場の観客席からも賛同のヤジが飛び始めてしまい、審査席の坂本あけみは頭をかかえている。




そのとき、ダンサブルな楽曲が消え

マジックショーに使う様な奇妙な楽曲に音楽が変わると

会場右袖からピエロ風に顔をペイントした男性が大きなマントを持って現れた。




(しっ慎也さん、このタイミングでどうして?)ピエロ風の男はゴットシンこと神谷慎也




ピエロのゴットシンは大きなマントを裏返して見せ、種も仕掛けも無いだろう?という表情


仕組まれた様に手際のよい演出に、会場にいる人がみんながその行く先を見つめる。


大きなマントを大きく広げ鈴原に化けている拓都を大きく包み込むと


絶妙のタイミングで舞台の後ろから誰かが滑り込んできた。





〔おまたせ拓都★〕


〔すっ鈴原ぁ!!〕




〔遅くなってゴメンネ〕


〔って、何でこのタイミングなんだよぉ〕




〔色んな話は後っ、それ覆面も衣装も脱いでちょうだい〕


〔・・ったく〕




モソモソと蠢くマントにピエロのゴットシンが呪文を唱え

大きなアクションでマントを取り上げると、ボンっと小さめな発光と共に女性が現れた。




現れたのは、本物の鈴原藍


「みなさん、勿体ぶってスイマセン。 水着忘れちゃってぇ えへっ★」




【おおおぉぉっ!!】


覆面と衣装を脱いで現れたのが男性じゃなく女性だったこともあるが

ソフトボールのユニフォームをカットして、水着風にしている格好が結構際どく

色っぽさを醸し出していたから、会場が盛り上がるのはムリもない。




司会の2人が唖然としているのをよそに、鈴原が大きくコールする。


「ミュージックッ スタートぉ!!」


ダンサブルな楽曲が開始され、ノリノリで鈴原が踊りだす。





〔くくっ面白いしょ、里香っあの子を絶対ウチに獲得するしょね〕





エムベックス会長の水上は、娘である社長にそう言って会場を後にした。





マスコミブースでは梨木と大柳が混乱状態



「どっどう言うことだ」梨木が考え込む


「確かに男の声だったハズですよぉ」助手の大柳も困惑状態で舞台の上で踊る鈴原を見つめる。



「ワシの顔に泥を塗りやがって・・・・・・・。」梨木は歯軋りしながら舞台を睨んだ。

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