ラブソング3
【コンテスト10分前 の巻】
【トントン】
扉をノックして拓都と藤川が病室に入る。
「ヒーローの登場ですよ星野さん」
「何言ってるんですかっ裕子さん!!」
「あらっ川崎くん」ベットから少し顔を上げて星野さん
「この子が噂の坊やね」パイプ椅子に腰掛けた藤原紀子さんが品定めするかのように僕を見つめる。
その横で長谷川さんが右手で口を抑えている。
どうやら笑いを堪えている模様
「意外と可愛い顔してるじゃないぃ♪」藤原紀子がそう言って、僕の顔を右手で撫で回す。
「私の拓都くんを誑かさないでもらえますぅ?」看護師の藤川裕子が拓都の手を引き戻す。
「あらっ川崎くんは私の恋人よ★」と星野さん
「えっえぇぇぇぇー」この状態に僕は言葉にならない。
「クックックック(笑)」長谷川さんは涙を流して笑っている。
「ハイハイッ病人をそんなに興奮させないでぇ(笑)」
病室に入ってきたのは婦長さん、どうやら星野さんの点滴の時間らしい。
僕は、星野さんと明日の演奏の場所を確認
「明日は何処で演奏するんですか?」
「この近くのスタジオを借りようと思ったんだけど、空いてないみたいなのぉよぉ」
結局、長谷川さんの顔が利く
ムジテレビ内のスタジオを手配してくれたとのこと。
「むっムジテレビ・・ですか・・・」
「ハイッ、これがムジテレビのゲスト・パス」
「パス?」
「これがあれば、昨晩の様なマネをしなくても正面玄関からどうどうと入れるわよ」
そんな話を先に聞いてしまい、ギターを壊して手元に無いことを話せない。
「別にスタジオで演奏しなくてもイイんじゃないですか?」と星野さんに聞く
「私の誕生日なんだから、特別にスタジオ確保よ★」とのこと。
それを言われると、もう何もいえなくなってしまった。
(もう演奏出来ないなんて言えないぞぉ・・どうしようギター・・んっ待てよ!! 前に正徳がギターの話してたよなっ)
「正徳っギター持ってなかったっけぇ? あっあれぇぇ?」
今になって、ようやく正徳がいないことに気づく
「連れの子なら、慎也さんの仕事部屋にいったわよ」と裕子さん
「マジすか!!」
正徳を呼びに(帰る為)慎也さんの仕事部屋へ行くと
中は物凄い数の機械や物で溢れている。
ゴチャゴチャしているが、慎也さんの考えた規則によって配置されているらしい。
「このヘンテコな機械は何に使うっ・・・・」僕が聞くが
「コラァ触るでナイナイ!! 全て企業秘密でアルアル大辞典」と即効で怒られる。
終始、正徳と慎也さんはコソコソと小さな声で話し、相槌をうっている。
(なんだか異様な雰囲気なんですが・・・)
こんな状況なもんで
正徳を慎也さんから奪回して帰るのに一苦労したのは言うまでもない。
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翌日 午後1時
ムジテレビの正面玄関脇に設置されてあるサテライトスタジオでは
【キラリン美少女を探せ!!】公開審査のオープニング始まっていた。
『みなさ〜ん! こんにちは司会のナカジーこと中島 富美でぇーす!!』
『同じく司会のマイケル寺岡デス!!』
人気コンテストということで、報道関連のスタッフやスカウトはもちろん
一般のお客さんもぎっちり
『いよいよ最終選考に審査員のみなさんも気合十分で会場に駆けつけておりマスヨォ〜!!』
【ワァァァァァァー】
『さぁ会場のみなさんもご一緒にお願いします。 キラリ〜ン美少女をさがせっぇぇぇ!!』
会場も含めたタイトルの号令とともに、審査員が入場し席に着く。
『さぁナカジー、今回最終選考に残った美少女候補生ですが、いかがですか?』
『先ほど生でチラッと見てきましたが、ものすっごく綺麗ですよぉーマイケルさん!! 審査が終わったら連れて帰っちゃ駄目ですからね♪』
『それでは、早速キラリン美少女候補生の紹介と行きたいところですが、その前に審査員のみなさんの紹介から』
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ムジテレビ正面玄関内
総合受付カンターに川崎拓都
「あのぉ〜M7スタジオに行きたいんですが・・・」
「スイマセンお客様、入局パスを拝見させて頂きます。」
「これですよね」
拓都から受け取ったパスを機械で確認「ハイありがとうございます」
「いえ」そう言ってパスを受け取る。
「スタジオM7の道順ですが、右手にあるサテライトスタジオの後ろ側に連絡通路がございます。」
「はい」
「その連絡通路を真っ直ぐ行くと突き当たりにエスカレーターがありますので、そのまま2Fに上がってください。」
「2Fですね」
「2Fには幾つもスタジオがありますので、扉にM7と明記されてる場所が目的のスタジオとなります。」
「わかりました、ありがとうございます。」
「お客様!!」
「 ! 」
「その背中の荷物を確認させてもらいますか。」
「えっ これですか? ギターですよ」
「大変申し訳ございませんが、危険物の確認をさせてもらっております。」
「ああぁー、どうぞぉ気が済むまでチェックしてください。」
昨日は病院からの帰りに正徳の家に向かい、ギターを探すことに
結局 ギターは正徳の家にはなく、あったのはウクレレ(笑)
最悪の場合はそのウクレレで演奏しようと思って借りてきたのだけれど
家に帰ると
親父のギターが修理から戻ってきていた。
随分と古いギターなんで時間がかかったようだが、タイミングよく
昨日、修理からあがってきたのだ。
「ハイありがとうございます!!」
無事(当たり前だが・・・)危険物ののチェックも終了
受付のお姉さんの作られた笑顔に見送られM7スタジオに向かう
(凄い盛り上がってんなぁ〜)
サテライトスタジオ裏の連絡通路を通ると
通路壁から外の熱気が中に伝わってくる。
(お笑いでも収録してんのかぁ?)
突き当たりのエスカレーター手前まで来ると
キレイドコロの女の子が数名
どうやらサテライトスタジオ出演者の控えフロアらしい。
横目でチラリと見ると
顔もスタイルも当然といった感じでモデルクラス
「んっ!」
「んっっ!!」
「んっっっ!!!」
「何でいるんだよぉ!!!!」
そこにいたのはゴットシン
「おおっ拓都殿」
「おおって 何故に慎也さんがここに?」
「正徳殿と待ち合わせしてるのだが、現れんのだよ」
「えっ正徳?」
「正徳殿と一緒に応援しにキタノクニカラ」
「オウエン? 何の応援?」
「未来のアイドル鈴原殿ですよぉ」
「鈴原?って、今日はキラリンなんとかのコンテストとかじゃなかったの?」
「はい正解なりケリ」
「えっ?」
「ここがキラリン美少女を探せの控えフロアでございマッサル」
「コンテストってムジテレビでやるのぉ? じゃ鈴原は何処?」
「それが肝心の鈴原殿もお見えになってないんでゴザル」
【ドスコイ!! メールでごわす♪】←着メロ音
するとゴットシンの携帯にメール
イソイソとメールを確認するゴットシン
「ギョェェーーーーーー」
「どうしました慎也さん」
「鈴原殿をバイクで輸送中なんで、コンテストに遅れるってぇ ジーサス」
あまりのショックにうな垂れるゴットシンこと神谷慎也
「慎也さん、少し遅れるくらいなら大丈夫じゃないのぉ?」
「ノンノン、時間にルーズなのはNG そしてゲームオーバーざんす。」
僕は間髪入れずに正徳の携帯に電話
『はいこちらバイク便 正徳(♪)』
「何時からバイク便になったんだよ(怒)」
『ぐははは、本日からだよ(笑)』
「何でお前が鈴原を宅配してるわけ?」
『およっ、ゴットしか知らない情報を知っているなっ?!』
「そのゴットシンの横に僕がいるんだよ!!」
『そうだったんだっ、なら話は早い 鈴原が着くまで何とか持ちこたえてくれぇ』
「持ちこたえるったって、何で鈴原が時間まで来てないんだよぉ」
『ソフトボールの決勝で投げたんだよぉ』
「ええっ出ないって言ってなかったかぁ」
『エースの里中が怪我して投げられなくなったんだとぉ』
「なんだってぇ」
『もちろん完封勝ちだけどね!!』
「 ! 」
『ごめん信号青になるから切るなっ 後は宜しくぅ!!』
【ピッ】
「後は宜しくって言われても・・・・・・・」
《キラリン美少女を探せ最終審査出場のみなさん、入場10分前です》
控え室にアナウンス
「じゅ10分前って、ヤッベーじゃん」
「拓都殿、こちらに来てチョ」ゴットシンが控え室脇のトイレに手招き
「慎也さん、もうムリですよぉ」
「イイ考えがあるある大辞典っ」
【バタン】
トイレに2人が入室して扉が閉められると中から拓都の叫び声
「ちょっちょっとぉ〜慎也さんやめて下さぁぁぁよぉぉぉぉぉ」




