アイドルの価値17
【アイドルの価値 の巻】
《エムベック本社ビル 会長室内》
「結局、番組放送されちゃったじゃないぃ」
「わるかったしょ、こんな事のないように社員を教育し直すしょね」
「そんな事より・・・星野愛が火星人? どう言うことよぉ・・・」
プロジェクター画面に映る巨大なTV映像を観ながら呟く浜田未来
「梨木の番組が星野愛の番組になっちまったにゃ〜、さすがしょぉ星野愛っ」
『カチンッ シュボッ』
ベットサイドで葉巻に火をつけながらエムベックス水上会長
「番組ってぇ水上会長ぉ、テレビのスタジオには見えなかったし種子島上空に円盤も消えたわよ」
「ボキもスタジオには見えなかったし、星野愛の流した涙も演技には見えなかったしょ」
「だったら星野愛はやっぱり・・・」
「宇宙センターの発射台に映っていた円盤(宇宙船)は、木スペで使ったセットしょ」
「えっ? でも木曜スペシャルのセットなら、ムジテレビのスタジオにあるんじゃぁ・・・」
「TV関係者で放送設備をいじったことがある人物なら
中継箇所を瞬時に切り替えるなんざぁ容易に出来るしょ、たとえば・・・長谷川くんとかね・・・。」
「長谷川って、エムベックスの元アレンジャーだった」
「そう、ヒットしそうもない曲でも、長谷川くんがアレンジした曲はすべてヒットさせた伝説の男だにゃ」
「そんな伝説の男が何で星野愛のマネージャーしてるワケよぉ」
「ボキが2人ともクビにしたからしょ」
「クビ?」
「そして2人を森田が拾った。」
「星野愛はイイとしても、どうして長谷川をクビにしたのよぉ?」
「ボキとの【顔会わせ】を星野愛が断り、その手助けを長谷川修がしたしょ」
「・・・・・・・。」
「ボキの事務所で【顔会わせ】を断った人間は星野愛だけっしょっ」
「・・・・・・・。」
「だから、許すことは出来なかったしょね」
「・・・・・・・。」
【顔会わせ】とは会長の水上とベットをともにすることを指していた。
社長を退いた今でも、絶大の権力を握る水上と顔会わせすると言うことは
芸能界で売れる歌手やタレントになるということであり、断れば芸能界から
抹殺される事を意味していたのだ。
エムベックス本社ビル最上階から見る夜景はとても綺麗だった。
その夜景を浜田未来が空虚に眺める。
(断るって選択もあったのよぉね・・・・)
振り返り、葉巻を深く吸う水上会長に目をむけ
会長の若作りした顔とは裏腹に狼狽した体型を見つめ溜息をつく。
(この男を利用しようと思っていたけどぉ・・・逆に利用されていたのかもね・・・)
「んっ? ボキの顔に何かついてるかい未来ちゃん」
会長を見つめる浜田未来に気がつき会長が聞く
「うぅうぅん 会長は若々しいなぁって思っちゃってぇ」
「もう一回戦なんて思っちゃってるんじゃないしょねぇ?」
「フフフッ」
「これ以上、エムベックスの歌姫が夜更かししたら駄目しょ」
「あら今夜は会長がお誘いしたのよぉ」
「未来ちゃんの肌に影響でたら社長にボキもどやされるしょね〜」
「あら会長も怖い人がいたのかしら?」
「それはないしょ、ちっと急な仕事ができたしょ」
「急な仕事?」
「朝の11時にリムジンを下につけるから、それまでココでユックリしなさい。
明日からのアルバム発売イベント・スケジュールはマネジャーから伝えるしょ」
そういうとガウンを羽おり、隣部屋の書斎に移動し
早々に電話をかける。
【トゥルルルル・・・ガチャ】
「社長の里花につないでくれっ・・・・」
『・・・・こんな遅くどうしましたお父様』
「会長と呼びなさい、ビジネスの話しょ」
『失礼しました・・会長ぉ・・』
「明日以降、タレントを補充するしょ」
『はっ? 先日 ヤングヤングマガジンでの募集で3名補充したばかりじゃ・・・』
「駄目しょ、あの娘らじゃ本当のアイドルになれないしょね」
『お父様も太鼓判を押してくれた3人じゃないですか?』
「会長とよびなさい」
『かっ会長も大手を振って了承したタレントですよ?』
「たしかに」
『だったら・・・・』
「真のアイドル 星野愛を超えるタレントを作る為しょ」
『星野愛を超えるタレント・・・』
「ボキが彼女を手放したのは失敗だったしょ」
『でも、あの娘たちだって磨けば星野さんを超える可能性が・・』
「顔・スタイル・トーク・振る舞い、この要素をすべて兼ね備えていることが売れるアイドルの条件だしょ?」
『ですから会長、あの3人だって教育すれば・・・』
「それだけじゃ駄目しょ、星野愛は別の要素 存在感 がある!!
存在感のオーラ。
いやっ
フェロモンがスーパーアイドルを作るしょね」
「そのフェロモンこそが、本物のアイドルの価値だしょう!!」