アイドルの価値11
【確認 の巻】
「どうする正徳?」
「どうするって、でなきゃ駄目だろ?」
「今度は正徳でてみないか?」
「いっ 今更でれる訳ないだろっ!!」
「だよなっ・・・・・・」
僕はリズミカルに札幌一番を鳴らす携帯電話を取り
通話のボタンを押す。
「もしもし梨木隆弘ですがぁ〜」と いきなり濁声の梨木の声
僕は忘れずに鼻を摘み喋りだす。
「こちらから連絡すると言っただろっ!!」
「あっあ〜スイマセン恐縮してます。」
「なら電話をきるぞぉ」
「ちょちょっちょっと待ってください!! あのぉ〜星野愛さんの声を聞かせてもらえませんかね〜ちょっとダケでいいんです、ちょっとダケで・・・」
「それは出来ない」
「でも・・それじゃ・・ホントに星野さんがそこに居るのか分からないじゃないですか?!」
「・・・・・。」
「要求以前の問題ですよ、星野さんがそこに存在しているかどうかの証拠がほしいんです。」
「・・・・・。」
(別に要求も考えて無いつーのぉ、どうしよう星野さんは寝ているし・・・・)
「代わるわよ川崎くん」ベットの方から声がする。星野さんだ
僕は咄嗟に受話器を押さえて状況を説明しようとすると、星野さんが優しく微笑む
「さっきから聴いていたわ★」そして僕から電話を受け取って話し始めた。
「ご無沙汰してます梨木リポーター」
「 ! 」
「御免なさい、時間まで伺えなくて」
「ほっ本物かぁ〜、本当に誘拐されていたんだな星野くん」
「バッチリ誘拐されちゃってるみたいよ、わ・た・し★」
「そうかバッチリ誘拐されちゃってるんだなっ」
「こんなシチュエーション、スッポンの梨木の得意分野でしょ」
「くくっ人質が何言ってんだか」
「日本一の特ダネリポーターなら、番組盛り上げて私もサッサと助けなさいよ★」
「さすが星野愛 この状況をわかってらっしゃる、頭の良いアイドルはワシは好きだよ。」
「ここまでだ!!」
【ピッ】僕は携帯電話の通話をきる。
テレビ画面上では梨木が考え深めに、通話がきれた携帯電話を見つめたまま
「星野さん スッポンの梨木を煽ったら駄目じゃないですか?」
「あらっ川崎くんのお手並み拝見出来るんじゃなかったのぉ★」
「ぐぉ」
「フフフッ冗談よっ」
(うわぁ〜ヤッパ間じかで見る星野愛さん、笑顔 超カワユス)正徳が見とれていると
「そっちのナイスガイは、正徳くんだったかしら」丁寧に星野さんが聞く
「何時の間に名前を?」
「一度耳に入ったものは記憶する癖があるのよ、フフフッ」
「星野さん、体調はどうですか?」僕が聞く
「点滴がまだ残っているけど、もうピンピンよ★」
ドリフの中本工事バリにガッツポーズしてみせる。
「どうします星野さん、六本木に向かいますか?」
「何いってんのよっ、ここまで話作ったんなら最後までこのネタで行きましょう」
「さっ最後までって・・・・」この発言に正徳が目を丸くする。
「要求の電話をしなきゃならないんです、星野さんは要求の希望とかありますか?」
「要求の希望ねぇ・・・・私の引退ってのは どう?」
「いんたいっ(驚)」正徳が声をあげる。
「引退って星野さん・・・」
「そうね〜そんなの要求になる訳なかったわね(笑)」
「目が覚めた様ね」
そこに婦長さんが飲み物を持って戻ってきた。
「先ほどは失礼なことを言ってすいませんでした。」星野愛が丁寧に挨拶する。
「仕方ないわよ、プロたるゆえんだもの」そう言って星野さんに白湯を渡し
僕たちにも麦茶を差し出される。
「あの事件の後、藤川(藤川裕子)の見舞いに佐藤(星野)さんが行ってくれたそうね」婦長さんが改まって聞く
「フフッ★元気にしてますか、藤川さん」
「裕子さん・・・」その名前に反応して思わず反応してしまう。
「佐藤(星野)さんが来てくれるまでは、喚き散らしてたのよ 何で死なせてくれなかったんだって」
「私が助けたんじゃ無くて、そこの川崎くんが藤川さんの病気を治してくれたんです」
「ふふっ川崎くんがナイトだったのね」
「いえっ僕は別になにも・・・・」
「あらっ藤川さんの仇討ちしてあげたじゃないの」
「拓都ぉお前っ仇討ちもやってたのかぁ?」
「藤川、あなたに会いたがってたわよ」
「僕がお見舞いに行ったときには、既に裕子さん退院してたみたいで・・・」
「明日会えるわよっ、彼女 ここの病院で働いているの」
「えっそうなんですか?」
「あらっ、こんな話ばかりしてられないわよね」
婦長さんが真面目な表情になり話題をかえる。
「役に立つかどうかしれないけども、私の家のバカ息子」
そう言って現れた男は、アキバ系を絵に描いた様ないでたちの男だった。