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アイドルの価値8

【バー ギロッポンの巻】


PM10:30


六本木




栗の木を切り抜いた一枚板の頑丈なカンターテーブル


ダウンライトで妖しく照らされ、使古された客元のカンター袖が艶かしく光る。


ブランデーやバーボン・ウィスキーなどのプレミアムボトルがカンター背面に並び

オールバックに白髪を束ねたバーテンダーが慣れた手つきでシェイカーを振る。



芸能人がお忍びでもつかう会員制の高級バー【ギロッポン】



その店内で

関東スポーツ社の芸能人専門リポーター梨木(通称:スッポンの梨木)と

森田プロ所属の星野愛マネージャー長谷川修が打合せ中




「生で突撃取材なんて、ホントに了解してくれるとは思ってなかったよ 長谷川君」


梨木さんだから引き受けたと思ってもらえれば、光栄です。」




「ふふっ そうなると、あの少年には、よっぽど価値がありそうだ・・・。」


「彼の記事は絶対出さない、それが条件ですよ 梨木さん 忘れないで下さい。」




「わかってるよっ、詮索したくなるのは職業病っとこかな」


「約束は守ってもらいます。」




「約束もなにも、VTRも写真のデータもキミに渡してしまったんだから少年の記事は書けやしないよ」


「ありがとうございます。」




「それより、本当に星野愛は来るのかね?!」


「大丈夫です、彼女は約束は守ります。時間までには来るハズですよ。」




「クドイ様だが、今夜は生放送って事を忘れないようになっ 長谷川君」






--------------------------------------------------------------------------------




同時刻


拓都と正徳を乗せたバイクが、国道246号線を青山方面に走行中




『ピピィーーーーッ!!』


『パァァァーーーーーン!!』


「こぉらぁ気つけろやぁ!!(激怒)」




「ちっょとぉ正徳っ 安全運転しろよぉ!!」


「バカッ 時間に間に合わなかったら意味ないんだよぉ拓都」




「何でギリギリになって連絡してくんだょ、も少し早ければ余裕で行けるのに・・・」


「しょうがないだろっ極秘情報なんだから」




「そんな極秘情報とやらは、どっから仕入れんだよぉ?」


「アイドルブロガーのゴットシンだよっ」




「ゴットシン?」




「もともとアキバのローアングラーで有名らしいんだけどぉ、それよりもアイドルのレア情報に詳しくて正確なんだっ まさに神、ゴットなんだ!!」


「ろっ ローアングラー?! 何だよっそれってぇ」




「ホントにその手の情報に疎いな〜拓都ぉ〜」


「うっせーっ正徳が詳し過ぎるんだよ!!」




「ありがと♪」


「つーかっ褒めてないし・・・・(汗)」




「仕方ないな〜教えて進ぜよう!」


(仕方ないって・・・なんだよ・・・。)



「ローアングラーとは、新手のカメラ小僧みたいなもん」


「カメラ小僧・・・・」




「そっアイドル専門のカメラ小僧ぉ〜ローアングル専門のね♪」


「ローアングル専門って それぇて」




「そっ パンチラ!! パンチラ専門ってことさっ♪」


「ぱっぱっパンチラ☆」




「ムフフッ♪」


「ムフフッって、何でそんなヤツ知ってんだよ正徳っ(困)」




「拓都ぉ その説明は後っ!! もう少しで外苑東通りに入るから運転集中させてくれ」


「ああっ 渋滞すり抜けするのね・・・」




「 ! 」




「ちっちょっとぉ 正徳っ バイク止めてくれっ!!」


「えっ どうした拓都?」






--------------------------------------------------------------------------------





『間もなく本番でーす!!』


バーギロッポン店内




カンターテーブル左後方の席に陣取ったTVクルー


一応変装した格好だが、TV関係者のそれと分かる風貌だ。


店内は生放送開始前の独特の緊張した雰囲気に包まれている。




「長谷川君っ 星野君は時間までに来るって言ってなかったかな?」


「いやっ彼女に限ってそんな事は無いハズです」




「ハズじゃ困るんだよっ 放送は生だよ生っ 全国放送だよ!!」


「ちょっと外 見てきますんで、繋いでて貰えませんか」




「繋ぐったって、せいぜい10分がイイとこだよ長谷川君」


「大丈夫です、梨木さんの顔は潰しませんから」イソイソと店の出入り口から店外に出て行く。






『4・3・2・1 ・Qです!!』女性スタッフのタイムキーパーがQを出すと番組のオープニングが流れる


ジャジャーーーン『特ダネ 特捜部隊っ!! 特捜部隊 特捜部隊ぃぃぃぃ!!』






「こんばんわっ 突撃リポーター梨木隆弘です。」


「今日は、芸能人ご用達のバーに来ているんですが、この場所に話題のあの人が来ると言う情報が入ったワケなんですが・・・誰だと思いますか?」


スッポンの梨木のアップから画像がひいていくと店内がバーである事がわかる。




そして、ニヤニヤした表情で得意げに話し始めた。


「なんとぉ あの失踪事件以来、姿を隠しているグラビアアイドル星野愛さんなんですよぉ」




TVカメラはカウンターテーブルから店の入り口にパーンする。

するとタイミング良く扉が開き、女性客が入店




「おっやって来ましたかぁ?!」大げさにリアクションしながら梨木が喋る。


ドヤドヤと店内に入ってきた客は、

歌手の藤原紀子とダンスユニット【ミルク・ザ・Dカップ】の1人 坂本あけみ だった。




「おおーっと、意外な人たちの登場ですが星野愛と待ち合わせでしょうか?」


意外な展開に驚いた梨木だが、持ち前のアドリブで機転を利かせたコメントを吐く


入店時に梨木を直視したハズの2人は、何食わぬ顔でカンター席に腰を下ろしカクテルを注文




梨木の存在を知っても無反応の2人に、間髪入れずに突撃取材を続行する梨木。




「恐縮です恐縮です!!特ダネ特捜部隊の梨木隆弘ですが」


「えー何っ?! ヤッダー♪ビックリ〜☆梨木さぁ〜んじゃないですぅかぁ」シオラシイ演技で驚いてみせる藤原紀子




「私たちオフ日なのに取材なんかされちゃうんですかぁ〜」


坂本あけみが、超ブリッコ風に答える。




「2人は本日はお休みと言うことで、取材するのは本当に恐縮なんですが セッカクなんでチッョトだけチョットだけ お話させて貰ってもイイでしょうかぁ?!」


「え〜お話ですかぁ〜何かシラケルかもぉー」カクテルグラスを指でなぞりながら坂本あけみ




「ままっそー言わずに」そう言って、梨木が目力で2人に迫る


「じゃ梨木さんも一緒に飲みましょうよぉ♪」


威圧的な梨木の形相を無視するかのように藤原紀子がそう言うと、間髪入れずにバーテンダーに注文


「ドライマティーニを濃い目で」


「こっ濃い目でてキツイなぁーもぉー藤原ちゃん」生放送と言うこともあり、この場はやられたという表情の梨木




「うふっ♪」軽く笑顔を見せ、余裕の悪女ぶりの藤原紀子


「と言うことで、意外な展開になって来ましたが星野愛は現れるのでしょうか?」


状況を立て直す為に、カメラにコメントを残す梨木隆弘




『一旦CM行ってくれ!!』



生放送中のTVはコマーシャルに放送が切り替わった。



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