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アイドルの価値4

【パパの巻】




何よ!! せっかくお見舞いに行ったのにイナイなんて どういうことぉ(怒)」




拓都の見舞いから帰って来た鈴原藍


(また、まさ君が連れ出したのかしら・・たくぅ〜)


見舞いと言って拓都に会いに行った藍だったが

本当は父親の事で拓都に相談したかったのだ。



記憶の中にあるパパの記憶は幼い時のものしかない

だから、今さらパパに会いたいと思う気持ちが湧き上がるとは思えなかった。


先日のママの手紙を見て、取り乱した自分が恥ずかしい

そんなんだから、後をつけられていた事も判らずに危険な目にあってしまったのだから・・・



そう思って見たものの

頭から離れないパパの想いは

募る想いを掻き消す為の誤魔化した心に過ぎなかった。


あれからママとは、会話らしい会話はしていない。

もちろんママの仕事が多忙と言うこともあったが

以前のような信頼感に溢れた親子関係からはかけ離れている。




私は普段は入らないママの書斎に来ていた。


「きったなーい」


部屋の窓際に置かれた机の周りには仕事で使う資料が山積みになっている



「少しは整理しなさいよぉ」


本の山を掻き分けて机まで辿り着くと

机の引き出しを引っ張り出し、各所調べてみる


が、パパに関するものは何も無かった。



鍵の掛かった引き出しは無かったので、怪しい箇所はなさそう

部屋の隅にあるママ愛用のマッサージチアに腰掛ながら

先日見た手紙が本当に悪戯だったのかもしれないと思い始めていた。




(なんか、ママに悪いことしちゃったかな・・・)




オートマッサージのスイッチを押すと

駆動する機械音が、シーンとした部屋に響きだす。


旧式のマッサージチアは首から腰のみのマッサージ機能だけ



「ぐぉくぅ〜効くぅぅぅ〜 最近の高校生にもマッサージチアは必須アイテムじゃ☆」



背中の体重をマッサージチアに預け、前にある足乗せ用の椅子に両足を放り投げる。


【ポコッ!!】


「ほげっ なんじゃ★」



マッサージチアから降りて、足乗せ用の椅子を調べてみる。


「およっ」


クッション部分を外すと中は空洞の物入れになっていた。



「甘いわねママ、藍に探せないものは無いわ・・・・」



中には5通ほどの便箋が入っていた。


もちろん差出人は 毅志(パパ)


全部読んでみるが、どれも連絡先が無い (どうして無いのよ)



少ない文章から読み解くと

パパの借金でママと別れた様子


今は返済も終わり、一緒に暮らしたいと言うものだった。


私は、短い文面のパパの文字に温もりを感じていた。


携帯電話の電子メールばかりで、手書きの文字に触れるのが

あまり無かったからかも知れなかったが

何故か涙が込み上げてくる。




パパに会いたいと言う思いが本物だと

このとき私は確信した。


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