アイドルの価値2
如月英治 の巻
【港区にある如月英治のマンション】
「山田ぁ!! 外の状況はどうなった?」
「先ほど見た時より、記者の数は増えてますね〜 如月さん」
「チッ 何でオレのマンションで、あんな事するんだよ」
「また酔った勢いで結婚しょうぜ 何て言ったんじゃないんですか?」
「酔ってるんだから無効だろ、そんな約束」
「歌手の藤原紀子の時も揉めましたよねー同じ内容で 確か・・・」
「でも、紀子は酔って言ったこと理解してくれたじゃん」
「藤原紀子は芸能界って所を良く知っている方です、状況を考えたら当たり前の対応ですよ」
「そうかな〜一般人だって同じだろ?」
「彼女は、芸能界での駆け引きが上手なだけでなく恋多き人。だからマスコミにも漏れなかったですよ」
「だけどぉ同じ人間じゃん」
「今回の相手は素人さんですよ、本気になって当然です」
「・・・・・。」
<すると、如月英治のマネージャー山田の電話に連絡が入る>
「はい山田です、 はっはい・・えぇ〜・・わかりました ありがとうございます。」
携帯電話の通話が終わり如月英治に向き直る。
「どっどうした山田・・・」
「藤川裕子さんの意識が戻りました、医師の話によると もう心配ないとのことです。」
「ふ〜 たくぅ〜 」ソファーに深く腰かけ右手でこめかみを押さえる。
「大丈夫と解かれば、早めに次の手を打っておきましょう。」
そう言ってマネージャーの山田は数箇所、電話をかけ始めた。
手持ち無沙汰の如月は、フト思い出した様にトイレに駆け込み携帯電話を手に取る。
電話の掛先は、星野愛 だった。
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【川崎拓都の病室】
画面上部の臨時ニュースを見て固まる拓都
その時、星野さんから貰った携帯電話からダースベーダーのテーマが鳴る。
携帯電話の液晶にうつしだされた相手は【如月英治】
(きっ 如月英治っ!!) 思わず僕は携帯電話の通話ボタンを押してしまった。
「・・・・。」
『もしもし 星野ぉ ニュースの件はもう知っていると思うけど誤解なんだ、オレが冗談で言ったことを真に受けてホント困っちゃうよ 変な女でさぁ〜』
「・・・・。」
『なんで黙ってるんだよ!! 怒ってんのかよぉ? だから身勝手な女だったつーか頭イカレた女だったんだってぇ』
「・・・頭がイカレてなんかないよっ!!!」
『 ! 』
「裕子さんは身勝手な女でもない!! あんたは裕子さんに何をしたんだ!!!」
『お前 誰? 長谷川でもなさそうだしっ・・?』
「おいっ答えろっ!!! 何をしたんだっ と聞いているんだっ!!!」
『・・・星野はそこに居るのか?』
「うるさい!!!」
『・・・何故 星野の携帯電話をお前が持っている?』
「黙れっ!!! 僕の質問にこたえろぉ!!!」
『・・・・』
「畜生っ 答えろって言ってるだろ!!!」
『わかった 答えよう、その代わり星野愛の居場所を教えろ』
「嫌だっ!!! お前なんか教えられるかっ!!」
『キミの質問に答えるのは、星野の居場所を喋ること。それが条件だ』
「・・・・。」
『なら1つ良いことを教えてやろう。お前の大事な藤川裕子の命に別状ないと、先ほど病院から連絡があったよ。』
・・・裕子さんが無事・・・
「・・・・・分かったよっ でも電話じゃなくて直接話がしたい。」
『イイだろう、東京駅の八重洲口から出ると美術館がある そこに14時だ』
「わかった、逃げるなよ」
僕は携帯電話をきって、我にかえった。
裕子さんに何をしたか聞いたところで、僕に出来ることは何も無いはずなのに
如月英治と僕が会って、いったい何になるのだろう?
軽率かな行動をとってしまうほど、僕はバカな人間だったのだろうか
だけど、今
こんな行動に僕を駆り立てているのは
猛烈な勢いで込み上げる怒りの力なのは確かだった。
吉田さんには、裕子さんの様子を見に行くと話し帰ってもらった。
もちろん、僕が退院後に退院祝いをしようと約束をして・・・・。
そして僕は、携帯で正徳を緊急事態と言って病院に来る様に呼び出す。
ジャージからジーンズとTシャツの簡単な服装に着替える。
正徳が来るまでの間に
長谷川さんが僕の所に来たが、如月英治と話をしたことは言わなかった。
「ニュースの藤川さんて、ここの看護師さんなのかい?」
「はい、ここの整形外科病棟の看護師です。」
「ニュースでは重体ってなっていたんだが、大丈夫なんだろうか?」
「裕子さんの命に別状ないらしいですから安心してください。」
「そうか、無事で良かった。ところで先ほどの電話の後、如月英治から連絡こなかったか?」
「いえっ 電話はきてないです。」
「そうか・・・ならイインだが・・・。」
程なく正徳が病室に到着
長谷川さんには、裕子さんのお見舞いに行くと話して病院を後にした。