再見と絶望
もっともっと伸びてくれ俺の身長超えてくれ
「おいあの王女様ここの近くを通るらしいぞ」
魔力操作の練習を終えてすぐに友達が、俺を呼んだ。
「まじか、すぐ行くから」
適当に服をタンスから取り着替え、森で拾った木の棒を持ち急いで外に向かう。
すると街の一番大きな道には既に大勢の人だかりが出来ていた。
「おーいレオン!こっちこっち」
既に最前列を確保してくれていた友達が俺を呼んだ。
前まで行くと既に道の奥には綺麗な馬車が、見えていた。
「さすが王家だよな見ろよスレイプニルだぜ?」
たしかに馬車を引いているのは、ただの馬では無く馬の5倍のスピードを出せるらしい8本足の生物が、引いていた。
王女様達が乗る馬車が前を通り中が少し見えた時俺は絶句した。中には忘れられない美しい少女と、黒髪の豪華な装備に身を包んだ騎士が1人楽しそうに話していた。
「はーあれが噂の勇者様か、10人近く呼ばれたって聞いたけどあの人が一番強いのかな?」
左の友達が聞いてくるが、耳から入り右にそのまま抜けていく。
「な?俺らが努力してもとどかなかったろ?」
「あぁ」やっと戻った意識の中俺は、上の空な返事をした。
それから俺は家に帰りより一層の力を得るために、何か出来ないかを考えた…だがあの勇者に勝てる未来もあの人が自分の隣で笑う姿も考えれば考えるほどに薄れて霞む。
「はぁ今日は無理!もう寝るか」
そんな俺の呟きが一層無力感を増長させていた。