プロローグ
「キャーーーーー」
女の悲鳴が森の中に響き渡る。
「おいおい、こんな森で叫んでも誰も助けに来てくれないぜ」山賊はニヤニヤして短剣をチラつかせる。
「早くその袋をよこしやがれ、さもないとお前を……」女の視線が山賊から後方に注がれる。山賊は女が見ている方を振り向く。
「あんた山賊だろ?そいつは俺の仲間なんで、止めてくれないか?」
後方に居た男はそう言うと、剣を構えたかと思うと一瞬で山賊の目頭手前まで剣が伸びた。
山賊は思わず腰を抜かしあたふたと逃げ出した。
「おい、アンリ大丈夫か?」差し伸べた手を払う。
「レインが遅いからそうなるんでしょ!」と少し膨れっ面で怒る。
「おい、怒るなよ、ちょっと周辺に水浴び出来る場所があるか見てきたんだよ」
「何も言わないで居なくなっちゃうからレインが悪いんじゃない!それであったの?」
「いや、その、すまん……」レインの申し訳なそうにしている顔に、アンリも怒るのをやめた。
「町までもう少しだと思うから我慢するわ」
アンリは荷物を持つとまた歩きだした。
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