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第66話『二人の魔女』

 お父さんとの特訓で落ち込んでいたレヴァンが心配だったが、シャルにはやらねばならないことがあった。


 それは『最初から男子メロメロ作戦』の要である歌とダンスの練習だ。

 わざわざフレーネ王妃に頼んで、男子の寝静まった夜に訓練用コロシアムを貸し切りにさせてもらっている。


 まだ集合時間の11時には少し速いが、企画者である自分は先に来て先に準備を済ませておかねばならないと思っている。


 でないと無理を言って参加してもらっている他の女子生徒たちに示しがつかないし、何より無責任となるだろう。


 シャルは冷えを感じる夜の街中を歩く。

 夜空を見上げれば、美しい月がこちらを照らしている。


「シャ~ル」


 突如呼ばれて背中を叩かれた。

 振り返ればレニーがいた。


「レニー! 早いね」


「ホテルを出ていくアンタを見かけたからもしかしてって思ったのよ。先に行って準備するんでしょ? あたしも手伝うわ」


「いや悪いよさすがに」


「いいの暇だし。それに‥‥‥友達でしょ?」


 そのセリフに馴れていないのか、妙に頬を赤くしながらレニーが言った。

 女の子同士だが、妙に可愛く見えた。


「じゃあお願いしようかな。正直一人じゃ心細くて」


「でしょうね。レヴァンも連れてこれないし」


 そのとおり。

 さすがに疲れているレヴァンに手伝いを要求する気にはなれない。

 

 今思えば、この『最初から男子メロメロ作戦』を企画してからずっと文句一つ言わずに付いてきてくれているのがレニーだ。

 もっと頼りにしても良かったかもしれない。


「エクトくんはどう? やっぱり落ち込んでる?」


 徒歩を再開してシャルはレニーに聞いた。

 レニーは少し暗くなって「そうね」と言った。


「かなりショックだったみたい。あそこまで差を見せつけられちゃったのが」


 やはり、とシャルは思った。

 父シェムゾの実力はレヴァンとエクトくんを遥かに凌駕していた。

 さすがは『鬼神』の名を持つリリーザ最強の戦士だ。


 それでもシャルが想像していたよりも圧倒的で、あんなに頼もしかったレヴァンとエクトくんが、あんなにも弱く見えてしまった。


「エクトくんもやっぱりそうなんだ。レヴァンもかなり落ち込んでたよ。こんな時こそ側にいてあげたいんだけど‥‥‥」


「ううん。こんな時こそ一人にしてあげた方がいいわよきっと。自分の中でいろいろ考えているだろうし」


 隣を歩くレニーが苦笑混じりに言った。


「そうかな? レヴァンって寂しがり屋だしなぁ‥‥‥」


「ま、まぁエクトはそんな感じなのよ。一人にしてくれってオーラが滲み出てたから」


 確かにエクトくんならそうだろうなとシャルは思った。

 レヴァンとエクトくんは全然違うタイプの男性だし。


「エクトくんらしいね。‥‥‥どのみち私たちに出来ることは魔法だけだよ」


「そうね。あたしたちが越えなければいけないのはグラーティアさんだものね」


「越えられる気がしないよ。なにあの『同時詠唱』って。反則だよあんなの」


「口で『魔法第二階層詞セカンドソール』を詠んで、脳で『魔法第三階層詞サードソール』を詠むのよね? よくそんなことできるわ」


あとでまた追加します!

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