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第64話『蒼い炎』続続

『フレイム』が『オーバーフレイム』に?


 確かに今までは赤い炎だったのに、現在では蒼い炎と化している。

 火力が上がったということだろうか?

 でも、なぜ急に?


「どういうことだシャル?」


 原因が分からず問う俺にシャルも「わからない」と応じた。

 無理もない。

 俺だってこんな蒼いフレイムなど見たことない。


 これも『ゼロ・インフィニティ』の魔力強化によるものなのか?

 だとしたら、なぜ今までフレイムはフレイムのままだったのだろう?


 今になってオーバーフレイムになった理由が分からない。


 最後にフレイムを撃ったのはいつだったか。

 たしかゴルト将軍との戦いが最後だったはず。


 でもあの時はまだ、フレイムは赤かった。


「グラーティア。どう思う?」


 向かいに立つシェムゾの問いに、リンク中のグラーティアは答える。


「たぶんシャルの覚醒が進んでいくにつれ『ゼロ・インフィニティ』の強化効果も上がっていくのかもしれないわ」


 それはつまりシャルが成長すれば『ゼロ・インフィニティ』も同じく成長していくということだろうか。

 しかしすでにシャルの魔法攻撃力は一撃必殺級のものになっている。

 現にあのゴルト将軍を『エクスプロード・ゼロ』の一撃で倒しているのだから。

 

 これ以上の火力は正直いらない気がする。

 でもグラーティアさんの推測が正しかったならば。

 シャルが新たな覚醒を起こしていくにつれ『ゼロ・インフィニティ』はその力を強めていくことになる。


 現時点でこの威力だ。

 シャルが『魔法最上階層詞ラストソール』まで詠めるようになったら『ゼロ・インフィニティ』の力はどれほどのものになるのだろう?

 

【ゼロと無限の究極魔法。ゼロの者に無限の可能性を与えん。与えるは秩序の無い無限の魔力。その名は――ゼロ・インフィニティ】


 シャルが初めて『ゼロ・インフィニティ』の名を詠んだ時、たしかにこう言っていたのを覚えている。


 無限の可能性


 秩序の無い無限の魔力


 インフィニティ


 いま思えば、無限というありふれた単語がやたらと強調されている気がする。

 無限の魔力なんて、本当にそんなものがあるとしたら、シャルは、いやシャルが持つこの『ゼロ・インフィニティ』は、本当は凄く恐ろしい魔法なのではないか?


 胸の奥にヒヤリと冷たい何かが垂れた気がした。


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