第64話『蒼い炎』続
なんとかグラーティアさんを納得させた俺達は先に昼食をとった。
用意されていた料理を訓練用コロシアム内部にある休憩室にて食す。
昼の12時を迎える頃にはギュスタ達も20キロマラソンを完走させていた。
しかし彼らのようなエース各以外の生徒たちは総じて途中で脱落していったのは言うまでもない。
思ったとおり、みんな途中で足が動かなくなってしまったらしい。
シェムゾさんの判断で、脱落者は仕方ないので走れたところまでで終了させ、二時間のお昼休憩を取ることになった。
このシェムゾさんの寛大な判断に、正騎士団の騎士達はみんな驚いていた。
あんな優しい団長は初めて見た、と。
‥‥‥普段どんだけ厳しい人なんだ?
しかもだ。
彼らの休憩を待っているわけにもいかないと、シェムゾさんは俺とエクトに自ら訓練の誘いをくれたのだ。
俺とエクトはもちろんその誘いを受けた。
※
「まずはお前からだレヴァン。来い」
ステージに立ったシェムゾさんがグラーティアさんとリンクして言った。
俺もステージに上がり、シャルと手を繋いでリンクする。
次いでオープ先生が【SBBS】を起動させ、ステージにはバリアが張られた。
ステージに変化はない。
「よろしくお願いしますシェムゾさん!」
「ああ。俺は攻撃はしない。まずは俺に攻撃を当ててみろ。魔法の使用も許可する。何でもいい。俺を捉えるんだ」
俺の反応を試すつもりらしい。
ならばと、俺は『ブレイズティアー』を召喚した。
二刀の刃が紅い燐光を燻らせる。
おそらくシェムゾさんはあのゴルト将軍よりも速いはず。
パワー重視の『グレンハザード』では、たぶん当てられないだろう。
ここは手数の多いコレでいく。
「っ!」
俺は『ブレイズティアー』のトリガーをほぼ同時に引いた。
ダダンッと発射音がすると、銃口から飛び出たそれは蒼い炎を纏った弾丸だった。
「なにっ!?」
『なにあれ!?』
俺だけでなくシャルも驚いていた。
それもそのはずで、今しがた撃ったのはただのフレイムのはず。
それが何故か蒼い炎へと変化していたのだ。
いつものフレイムは赤い炎のはず。
いや、一般的なフレイムはみんなそうだ。
「なんだ、この蒼い炎は?」
二つの弾丸を難なく避けたシェムゾも驚いていた。
『シャルちゃんの『エクスプロード・ゼロ』と同じ色の炎だわ。それにまた威力も上がってる!』
グラーティアがやや興奮したような声を発する。
『あ!』
俺の中でシャルが何かに気づいたのか声を上げる。
「どうしたシャル?」
『いま魔道書を見てみたんだけど『魔法第一階層』のページが変わってる! 『フレイム』が『オーバーフレイム』に変わってるよ!』




