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第64話『蒼い炎』

 喧嘩したというマールとレイリーンは担任の先生が仲裁と事情を聞くために一時的に訓練から外された。

 

 うまく仲裁してくれればいいなと胸中で思いながら、俺はシャルとエクトとレニーと共に訓練用コロシアムの中へと入る。

 そのまま【SBBS】があるフロアまで足を運んだ。


「シャルが『魔法第三階層詞サードソール』を覚醒させていた?」


 先に来て待っていてくれたグラーティアさんにシャルの事を伝えた反応がそれだった。

 俺は頷く。


「そうなんですよ。本人もなぜ覚醒したのか、いつ覚醒したのか分からないみたいで」


「変ね。覚醒はリンク中にしか起こらないはずだけど‥‥‥バスの中で何か感情が高ぶることでもあった?」


「ううん。ないよ」


 首を横に振ってシャルが答えた。

 しかし納得がいかないらしいグラーティアが両手を腰に当てて険しい顔をつくった。


「そんなはずないでしょう? でなきゃこんな短期間でセカンドからサードまで覚醒するなんて有り得ないわ。覚醒ってのはリンク中によほど感情が揺らされないと起こり得ないもの。それも並大抵の感情の揺れじゃダメ。それこそ本当に大興奮ってレベルじゃないと、この覚醒の速さは説明できないわ」


「大興奮‥‥‥」

「大興奮‥‥‥」


 まったく同じ単語を俺とシャルは同時に呟いて、互いに顔を見合わせた。

 

 リンク中

 大興奮


 この二つのキーワードから導き出される答えは‥‥‥。


「レヴァン。もしかして‥‥‥」


 シャルもどうやら俺と同じ答えに行きついたようだ。

 それは顔を見ればわかる。

 おそらく俺もだが、シャルは顔を赤くしているからだ。


「ああ。俺も【アレ】だと思う。それ以外に考えられない」


 昨日の、いや、今日か?

 夜に見たシャルと身を重ねる夢。

 

 あれが原因で覚醒したのなら、十分に説明がつく。

 あれ以上の興奮など、他では得られないはずだ。

 しかしまさか感応現象でシャルが覚醒するとは思ってもみなかったが。


「何か思い当たる節でもあるの?」


 グラーティアに聞かれて俺は慌てて否定する。


「いえまったく! とりあえずこの件は保留ってことで‥‥‥」


「レヴァンがね、私とセッ‥‥‥むぐぐ!」


 咄嗟に俺はシャルの口を押さえた。


(おっまえな! 口が軽いのも大概にしろコラ!)

(なんで!? 別に夢だし良いじゃん!)

(良くねぇよ! エクトやレニーもいるのにアホか! そもそも俺がそんな夢を見てることに問題があるんだよ!これは俺とお前だけの秘密にしとけ! わかったか!)

(わ、わかった)


「どうしたの?」


 再度グラーティアに怪しまれ、俺はシャルを開放してから咳払いして間を取り繕う。


「えーまぁ、あれでしょう? 『ゼロ・インフィニティ』の効果かもしれません」


「え? あれは魔法の威力を高めているだけじゃないの?」


「い、いや、それだけじゃないでしょう? ほら、俺とシャルに魔法を使えるようにしてくれてますし、覚醒を促す効果もあるのかもしれませんよ?」


「‥‥‥なんか、腑に落ちないわね」


「早く覚醒できたんだから別にいいじゃん?」


 シャルが俺をフォローしてくれた。


「それもそうね」


 なんとかグラーティアさんを納得させた。

 

今日の19時ごろにまた追加します!

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