第59話『強化合宿の初日』
朝食から二時間後に一時間のウォーキングとコース説明がグラーティアによりなされた。
指定された『ローズベル』の街中を走り込みする。
ペースは各自の自由。
そのかわり絶対に完走すること。
それが説明された走り込みのルールだった。
後に走り込みが始まって、俺とエクトはいつもの半分しかない走り込みの距離を、いつもより速いペースで走っていた。
「たった20キロしか走らねぇとはな。あの団長さんに頼んでオレらだけ倍にしてもらうか?」
隣を走る体操服姿のエクトが心底退屈そうに言った。
俺は「いや」と言ってから。
「鈍らない程度に走るならこれくらいがいい。早く終わらせてシェムゾさんに稽古をつけてもらわないと」
「体力と持久力は問題ねぇってことか。まぁこの走り込みは後ろの連中がメインってことだろうな」
エクトの言うことはもっともだと思った。
正直な話、いったい何人の男子がこの20キロを完走できるのだろうか。
いくら若くても、素人が易々と走り切れる距離ではない。
みんな十代の学生で若いから体力はそれなりにある。
だが筋力はそうもいかない。
これだけの長距離となると体力ではなく、筋力の持久力が問題になってくる。
おそらく15キロあたりで足が言うことを効かなくなるはずだ。
「何人が完走できると思う?」
俺はエクトに聞いた。
「さぁな。少なくともさっきまで後ろにいた連中らは完走できるだろう」
さっきまで俺たちの後ろを走っていたのは確かギュスタ・シグリー。それからマールと、えーと、あのロイグだったはず。
彼らはさすがに各学校の上位に位置するソールブレイバーなだけあって他よりも身体が出来ている。
とは言っても俺とエクトのペースについては来れなかったようだが。
今日のうちにまた追加いたします!




