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第58話『獣と化す』

遅くなって申し訳ありません!



 スイートルームとは一般的にお客様を呼ぶための部屋だとエクトが教えてくれた。


だから俺はシャルを部屋へと誘った。

もちろんシャルは喜んで誘いを受けてくれた。


明日から特訓が始まるから、今日のうちにシャルと過ごしておこうと思ったのだ。


「レヴァ~ン。お・ま・た・せ!」


色っぽい声を出しながら部屋に入ってきたシャルは、なぜかバスローブ姿だった。


バスローブの隙間から窺えるシャルの豊満な胸の谷間と艶かしく露出された脚。

16歳の少女とは思えぬ色気を、シャルは盛大に放っている。


「なんでバスローブに着替えたんだよ」


「部屋に備え付けられてたから着てみたよ。どう? 似合ってる? 大人の色気出てるかな?」


シャルがくるりと一回転してみせた。

弾みで大きな胸がプルンとバスローブの中で揺れる。


まさか、シャルのやつ、下に何も着てないのか!?


なんとなく、先ほどの胸の揺れ方で気づいた。


「に、似合ってるけど。お前まさか、下に何も着てないんじゃ」


「え? バスローブの下って何か着るの?」


「いや、それは知らんけど。やっぱり着てないのか?」


シャルは頷いた。

特に恥ずかし気もなく。


あまりに堂々とされて、逆にツッコミを入れるのがバカらしくなった。


俺がバスローブの基本的な知識をもっていないから、ツッコメないという理由もあったが。


「あ‥‥‥げ、下品かな? あれなら着てくるけど」


「いやいや下品じゃないって。ちょっと驚いただけだ。そのままでいい。それより座れよ」


俺はシャルをリビングルームにあるソファーに座らせた。

その隣に俺も座る。


「えへへ。レヴァンから誘ってくれるなんて嬉しいな」


「明日から特訓が始まるからな。今日のうちにイチャイチャしとかないといけないって思ったんだ」


自分でイチャイチャとか言ってしまったが、まぁいいか。


「そっか。レヴァンも私と同じこと考えてたんだ」


「お前もか」


「うん。明日から三ヶ月はイチャイチャできなくなりそうだしね。ほら、レヴァンとかの男子達は絶対にこの時間は疲れきって寝てそうだもん」


「そうだな。絶対に疲れきってる。でなきゃおかしいからな」


「だよね。それでさ、お願いなんだけど、今日だけでいいから一緒に寝よう?」


やっぱりか。

なんとなくこの流れなら言いそうな気がしてたんだ。

けれど、俺も今日ばかりは、シャルと寝たいと思っていた。


「いいぜ。今日しか寝れないだろうしな」


「ほ、本当にいいの!?」


よっぽと意外だったらしいシャルが身を乗り出して驚く。


「ああ。今日は俺もお前と寝たいからいいよ」


「じゃ、じゃあ! リンクしたまま寝てみていいかな?」


「なんで?」


「レヴァンの夢の中を見てみたいから!」


「あぁ感応現象って言われてるアレか。べつにいいけどその現象が起きるかどうかは保証できないぜ?」


確か感応現象は極稀に起きる現象だから。


「いいの。やってみたいだけだから。レヴァンがどんな夢を見るのか気になるし」


「とか何とか言って、本当は俺がエッチな夢を見ること期待してんだろ?」


「さて、なんのことやら」


「とぼけやがって。俺がそんな夢を見るわけないだろう。お前じゃないんだから」


俺は自信満々にそう言い切った。



 そして深夜の一時に俺は目を覚ましてしまった。

ベッドルームでシャルとリンクして寝たのは良いが、どうにも落ち着かなくて目が覚めてしまった。


変な夢を見そうで妙に落ち着かない。

シャルに大見栄を切ったのだから、エッチな夢を見ないようにせねば。


そう気張っていたせいで、眠れないのかもしれない。


「ん?」


薄暗い月明かりの光だけが頼りの部屋に、リンクしているはずのシャルがぽつりと佇んでいた。


「シャル?」


俺は身を起こして呼んだ。

するとシャルは後ろを向いていた顔をこちらに向けてきた。


「あは、起きたんだレヴァン」


シャルがニタリと笑った。

それはまるで妖艶とも言える笑みだった。

こちらを見据える紅い瞳が細くなる。


いつものシャルと、何か違う。


「どうしたんだシャル?」


聞くがシャルは答えない。

ただ色っぽく微笑んで、こちらに歩み寄ってきた。


「お、おい? シャル?」


ベッドの前まで来たシャルは、身に纏っていたバスローブの紐を解いて、はらりと脱ぎ落とした。


「っ!?」


シャルの健康的で美しい裸体が露になった。

シャルはそのままベッドの上に乗り出し、俺の上に股がった。


「気持ち良くしてあげる」


「待っ‥‥‥ん」


俺が声を発する前に口を口で塞がれた。


なぜだ?

抵抗したいのに、身体が言うことを聞かない。


俺の口からシャルが離れた。

すると今度は首筋を舐めながら。


「ねぇレヴァン。このまま私を‥‥‥抱いて」


耳元で囁かれたシャルの甘い声。

その声に反応したかのように、俺の両手はシャルを抱きしめ出した。


何やってんだ俺!

やめろ!

まだシャルを抱いて良い時じゃない!

そんな無責任なことをするな!


俺は、俺に訴えた。

しかし、欲望に捕らわれた俺の身体は、もはや止まらなかった。

自分の身体なのに、まるでコントロールが効かない。


いつしか俺は、目の前の雌に発情する獣と化した。


シャルの全てを堪能し、シャルの全てを食らい尽くした。



「うああああっ!」


絶叫と共に目を開けた。

汗ばんだ身体で、俺は辺りを見渡した。


カーテンの隙間から陽が差し込むベッドルームには、シャルがいなかった。


え? まさか、夢だったのか?

今までの全て?

 どこから夢だった?


覚醒する意識の中で、そう思考を巡らせた。


よかった。

ついにシャルと越えてなはならない一線を越えてしまったかと思ったが、どうやら夢の中の出来事だったらしい


「‥‥‥良かった、本当に」


『おはようレヴァン』


「えっ!?」


突如聞こえたシャルの声にびくりとした。

するとシャルがリンクを解除して出てくる。


「あ‥‥‥シャル」


俺は震えた声を上げてしまう。

さっきの夢を見られたのではないかと、恐れていたのだ。


落ち着け。

感応現象は、極稀に起きる。極稀に起きる。

 大事な事なので2回言っておく。


そんな都合よく(今の場合は悪いが)シャルが俺の夢を覗けたとは思えない。


「ん? どうしたのレヴァン? そんなに怯えて」


あ、良かった。

どうやらシャルは俺の夢を覗けなかったようだ。

 良かった。

 心底良かった。


「いや、べつに何でもない。とにかくおはよう!」


安堵してベッドから降りる。

今回のは良い夢を見れたという事で片付けよう。


するとシャルが頬を赤くしてコホンと咳払いした。


「夢の中は凄かったねぇレヴァン。レヴァンったら私を妊娠させる気満々だったもん。出し過ぎだよ~?」


え?


は?


ちょ、え、ウソ!


やっぱ見られてたのか!?


「シャ、シャルお前、まさか‥‥‥」


シャルはニンマリと笑って『見ちゃいました』と言わんばかりに親指を立てた。


ウソダアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!


俺は激しく悶絶した。


なんでよりによって感応現象が起きちゃうの!?

なんでよりによってあんな夢を見ちゃうの俺!?

よりによってよりによってよりによってよりによってよりによってよりによってよりによってよりによってよりによってよりによってよりによってよりによってよりによって!


「レヴァン!」


「はひっ!?」


俺は我に返った。

するとシャルが俺をそっと抱きしめてきた。


「え、シャ、シャル?」


「ありがとう」


「え?」


「あんなにいっぱい愛してくれて、本当にありがとうレヴァン。大好きだよ」


「っ!?」


‥‥‥完全に、俺の完敗だった。


理由はない。

なんとなくそう思ったのだ。

シャルには勝てないと。


「シャル‥‥‥」


呟きながら俺はシャルをそっと抱き返した。


次回の更新は明日です!

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