第39話『さらなる高みへ』
時刻は夕方を迎えた。
俺達はお世話になった旅館の方々に挨拶し、駅へ。
何人かの街の人からお礼を言われ、見送ってもらった。
オープ先生とアノンさんとも合流し、俺達四人は列車へと乗り込んだ。
※
「なに!? お前らもここの学生どもに絡まれたのか!」
『首都エメラルドフェル』行きの列車内でエクトが驚きの声を上げた。
疾走する列車のボックス席に座る俺は肩をすくめてみせた。
「そうなんだよ。ロイグって奴で‥‥‥え? お前ら『も』?」
「オレたちも絡まれたんだよ。マールって女みたいな男と、えーと」
「レイリーンっていう男みたいな女の人でしょ」
エクトの隣の座席に座るレニーが付け足した。
「そうソレだ。その二人に絡まれたんだ。なんて言うか、かわいそうな奴だったな。あのマールってやつ」
「そうね。あの魔女の尻に敷かれてる感じだったわ。無理矢理エクトに挑まされてたし」
「なんだそりゃ」
気になったので俺はレニーに聞いた。
「名前を上げるチャンスだ! 奴を討ち取れ!ってエクトに勝負を挑んで来たのよ。レイリーンって人が」
魔女側がケンカ売ってきたのかよ。
「ふーん。戦士は乗り気じゃなかったのか。で、結果は?」
「エクトのパンチ一発でノックアウトしたわ」
「いや、せめて手加減してやれよエクト」
「レヴァンがそれ言います?」
シャルに突っ込まれた。
俺は咳払いをして間を取り繕い、口を開く。
「うん。まぁ、それよりもだ。今回の戦いで分かったことがある」
「今のオレたちじゃ、この先キツイってか?」
「やっぱエクトもそう思ったか」
「まぁな。お前ほどまともに将軍と戦っちゃいねぇが、あれだけお前が苦戦したんだ。どれだけヤベーかくらいはわかったよ」
「‥‥‥正直な話、俺達はこのまま行ってもグランヴェルトには届かないと思ってる」
「グランヴェルトは将軍たちが束になっても敵わないってゴルト将軍が言ってたもんね」
「ば、化け物だわ」
「チッ、リアリティーに欠けるぜ。あの覇王はよ」
シャルの言葉にレニーとエクトが信じられないといった顔で答える。
「だからエクト。いやシャルとレニーも聞いてくれ。俺達はもっともっと強くなる必要がある。それこそ将軍なんか相手にならないくらいに」
「本気で言ってるの?」
レニーが問う。
俺は真剣に頷いてみせた。
「本気だ。今の俺達はまだ、弱すぎる」
断言し、俺は自分の拳を眺めて握り締めた。
「将軍相手にあんなギリギリの戦いをしていちゃダメだ。もっと圧倒的にならないと」
「どうやって強くなるんだ? 特訓メニュー増やすのか?」
エクトの案には首を振って否定した。
「いや、もう我流じゃ限界だろう」
言って俺はシャルを見た。
シャルは何か分からずきょとんとしている。
「シャルとレニーがグラーティアさんの指導を受けるように。俺達もシェムゾさんに指導をお願いする」
そう言うとシャルは目を丸くし、エクトとレニーも驚く気配を見せた。
リリーザの最強の戦士たるシェムゾ・ロンティア。
唯一、あのグランヴェルトと張り合えたソールブレイバー。
シャルの父であり、王国の正騎士団団長。
彼ほどの実力者ならば、きっと俺達が得られるものを持っているはず。
『鬼神』の名を持つ彼ならば。
次回の更新は土曜日です。




