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第37話『美女と野獣が現る』

「なんで元王女様のお母さんがリリーザにいるの?」


シャルが最もな疑問を投げた。

問われたビジュネールが肩をすくめる。


「グラーティアは、王族の血統なら必ず持っているはずの『スターエレメント』を持っていなかったのよ。それで国を追放されたって聞いたわ。本当かどうかはわからないけど」


「え!? たったそれだけの理由で!?」


「そうね」


シャルとビジュネールの会話を聞いて、俺はある言葉を思い出した。


『どうして、あなたなの?』


リオヴァ城で、掠れるような声で呟いたグラーティアの言葉。

あの言葉はシャルが『奇跡の魔女』だと知った後に発した言葉だったはず。


あの時の言葉の理由は、こういう事だったのか。


『スターエレメント』さえあれば、グラーティアはグランヴェルジュ帝国から追放されることなどなかったから。


「ふーん。お母さんにそんな過去があったなんてねぇ‥‥‥」


どうでも良さそう、ではさすがになかったが、シャルはそう吐き捨てた。

そしてシャルは更に付け足す。


「無能扱いされたなら、どうして私の事‥‥‥」


切なそうにそう言ったシャルは溜め息を吐く。

俺もそのシャルの呟きには同意だった。

『スターエレメント』を持たぬ無能として国を追放されたグラーティアが、なぜ無能のシャルに共感してやれなかったのだろうか?


誰よりもシャルを理解してやれる経験を持ちながら、なぜ?

同族嫌悪?

それともやはりグランヴェルジュ帝国に未練があるのだろうか?

だが、それだとロシェルとリエルを可愛がっていた理由が分からなくなる。


その疑問に応えてくれる者はここにはおらず、変わりにビジュネールが口を開いた。


「まさかグラーティアの事を聞かされてないとは思わなかったわ。黙ってた方が良かった?」


「いえいえべつに。私もともとお母さんと仲悪いんで、聞かされてなかっただけかもしれませんから。それに追放された以上、今更そんな話されても意味ありませんし」


シャルが苦笑してビジュネールに言う。

刹那。


「ゴルトォオオオオオオオオオオオオオオオーッ!」


まったく聞き覚えのない獅子の咆哮のような声がリウプラングに響き渡った。


「ぬ!?」


接近する一つの影は、驚嘆すべき速度でゴルトに攻撃を仕掛けてきた。

相手の拳をゴルトは手のひらで受け止める。


「やれやれ、来たのかジフトス」


ゴルトが呆れた口調でそう言った。

ジフトスと呼ばれたその影は、ゴルトに匹敵する大型の男だった。

グランヴェルジュの軍服を身に纏い、獅子のたてがみのような金髪が特徴的である。


その男は眉間にシワを寄せ、恐ろしい形相でゴルトを睨んでいた。


「ゴルトきさま! よくも学生相手に遅れをとったな! このグランヴェルジュの面汚しめが!」


ゴルトの胸ぐらを掴んで怒鳴るジフトス。


「負けたものは仕方なかろう。そうカリカリするな」


「く、この! 大馬鹿者が!」


掴んでいた胸ぐらを突き放すように離し、ジフトスは俺を睨み付けてきた。


「お前がレヴァン・イグゼスだな」


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