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第26話『クラスメイト増加』

レヴァンの部屋にあるレヴァンのベッドの上で、シャルは目を覚ました。


昨日の夜、大雨が降りだして雷さえ轟くほどに天候が荒れた。

その雷があまりに激しく、怖くなったシャルはレヴァンの部屋に忍び込み、彼のベッドに無許可で入り込んだ。


そして彼を抱き枕にして眠り、今に至る。


外は晴れているのかカーテンの隙間から日光が差し込んでいる。

当のシャルはレヴァンを抱き枕にして寝ていたおかげで眠気の残らない最高の目覚めを迎えていた。


やはりレヴァンの香りは良い。

心が安らいで安心して眠れる。


不思議なことに、レヴァンは寝相が悪いはずなのに、自分が隣で寝ているとその寝相の悪さが解消されるのだ。

だから彼にベッドから蹴落とされたことは一度もない。


シャルはレヴァンの胸板から顔を離して、横にしている身体を起こした。

壁に掛けてある時計を見れば、まだ起きるには少し早い午前5時。


自分でもびっくりするほど眠気スッキリ爽快な状態なので二度寝する気にはなれず、シャルはとりあえずレヴァンの寝顔をジッと見つめた。


スースーと寝息を立てているレヴァンの寝顔はどこか可愛く、その無防備さゆえにキスしたくなる。


視線を顔から首筋へ移す。

厚く逞しい首筋から更に下へ。


さっきまで枕にしていたレヴァンの胸。

いつも使っている枕と比較すれば、レヴァンの胸の方が圧倒的に硬い。

だがそれがいい。

あのレヴァンの胸の硬さには、自分にはない男らしい頼もしさを感じる。


寝間着の上からでも筋肉の張りを窺わせるレヴァンの胸に、シャルは手で触れて、撫でた。


「うわぁ‥‥‥硬い」


思わず声を出して言ってしまった。

普段からトレーニングを欠かさないレヴァンだから、けっこうな筋肉がついているとは思っていたが、想像以上だった。


熱に浮かされたようにシャルは、レヴァンの寝間着についたボタンを外し始めた。

掛けられた毛布をレヴァンの下半身までどかし、一つ一つボタンを外してゆく。

そしてレヴァンの上半身を覆う寝間着のボタンが全て外され、シャルはソッと寝間着を開いた。


露になったレヴァンの胸板と腹筋に、シャルはゴクリと生唾を飲んだ。


「凄い‥‥‥」


今度は服の上からではなく、直で、撫でた。


シャルが本気でパンチしてもまったく効かなそうな厚い胸板。

女性の身体ではなかなかできない割れた腹筋。


「かっこいい‥‥‥」


シャルはうっとりとしながら呟く。

この胸に抱きしめられたいなどと、朝っぱらから思った。


レヴァンってけっこう細マッチョなんだなぁ。


子供の頃のレヴァンはもっとヒョロヒョロだった。

あの頃はシャルと大差なかったが、今ではこんなにも逞しい大人の男性の身体に成長している。


いや、違う。


レヴァンが自分で努力してここまでの身体に成長させたんだ。


私と結婚するために。


そう思うと胸が熱くなってきた。

シャルはレヴァンのボタンを留め直し、毛布を首下まで掛け直してあげた。


「私も、がんばらなきゃ」


己に呟いて、シャルはベッドを降りた。



なぜか寝間着のボタンが一段間違えて留められていて、なぜかシャルは寝起きが良かったのかご機嫌だったこと以外は普通の朝だった。


間違えた覚えのない一段飛ばしのボタンを外して学生服に着替る。

そして朝食をとり、シャルと共に学校へ。


いつも通り校門前でエクトとレニーと合流し、1年1組の教室に向かった。


そしたらその教室にはいつものクラスメイトたちが――


「なんか2倍になってる!」


俺はその光景に驚いて声を上げてしまった。

正確には男子生徒しかいなかったのに女子生徒が加わっていたのだ。


「あ、そっか。昨日ほら『魔女の召喚』を再開するってオープ先生言ってたよレヴァン」


「あーなるほど。それでか」


確かによく見れば男子生徒の数だけ女子生徒も増えている。

みんなソールブレイバーになったってことか。


みんな机に座ってパートナーとの会話を楽しんでいる。


いやこれは素晴らしい。

いつもの無能だのリア充だのの罵声が飛んで来ない。

女子生徒たち様様だ。


「あ! みんな見て! レヴァンくんとエクトくんよ!」

「きゃーホントだ! 本当に同じクラスだったんだ!」

「いやぁん! 幸せ!」

「リリーザの救世主と一緒に学校生活できるなんて!」


教室に入るなり女子生徒たちの注目の的になった。

そして放置された男子生徒たちからは殺気全開の視線を浴びることになる。


女子生徒たちよ。

頼むから自分のパートナーに目を向けてやってくれ。


「あ、シャルとレニーじゃない。あんた達凄いわね。新聞に出てたわよ?」


一人の女子生徒が言った。

シャルとレニーが「え?」と間の抜けた声を上げる。


「シャルはリリーザ初の『奇跡の魔女』でレニーは四日で『魔法第二階層詞セカンドソール』を覚醒させた歴代最速の魔女だって載ってたわ」


「そうそう。レヴァンくんとエクトくんに相応しい優秀な魔女だって言われてるよ」


「『奇跡の魔女』と『最速の魔女』だなんてかっこいい名前ついちゃって、羨ましいわ」


言われたシャルとレニーが揃って照れる。


それにしてもそうか。

新聞にシャルの『ゼロ・インフィニティ』が載せられていたのなら、世間にはもうシャルが『奇跡の魔女』だと知らされたも同然だ。


「シャルあんた魔法が使えるようになったんですってね」


「そうだよ。【スターエレメント】のおかげでね」


「シャルがリリーザ初の『奇跡の魔女』だなんて世の中わからないわね」


「そもそもなんでリリーザにはこんなにも【スターエレメント】を持った魔女が産まれないのかしら?」


「さぁ? でもたしかにグランヴェルジュには6人もいるのに変よね」


女子生徒たちが口々にざわめく中、教室のドアが開いてオープ先生が入ってきた。


「オープ先生!」


「おおレヴァンくんか。朗報だぞ。『暴君タイラント』の挑戦を受けるのを許可された」


「「いょっしゃぁあああっ!」」


俺とエクトは同時にガッツポーズをとった。

クラス全員が「おおお!」と歓声を沸き上げる。


「いつ挑戦にいくかね?」


「明日だ!」


即答したのはエクトだった。

俺も異論は無い。

しかしレニーとシャルが「明日ぁ!?」とびっくりしていた。


「そんなに慌てなくてもいいでしょう!?」


「そうだよ! 私まだ『魔法第二階層詞セカンドソール』すら使えないのに!」


「そのレベル差を埋めるための2対1なんだぜ? 相手の気が変わる前に挑むんだよ」


当たり前のように告げるエクト。

むぐぐ、と押し黙るレニーとシャル。

するとオープ先生が口を開いた。


「明日はさすがに無理だな。明日リウプラングに向かって宿に泊まって次の日だな。早くて明後日だ明後日」


「じゃあそれでお願いします先生」


俺はオープ先生にお願いすると、オープ先生は頷いた。


「なら『暴君タイラント』にも明後日に挑戦を受けることを伝えておこう」


オープ先生はそそくさと教室から出ていった。


「明後日か。まぁ仕方ないか」


俺が言うとエクトも「だな」と返した。


「おいレニー。今日も放課後は特訓だ。次は『魔法第三階層詞サードソール』覚醒を目指す。頼んだぜ」

「わかってるわよ。もぅ‥‥‥」


「シャル。俺達も負けてられないぜ。できるだけたくさん特訓して『魔法第二階層詞セカンドソール』の覚醒を促しておくぞ」

「イエッサー」



「‥‥‥シャルとレニーも大変ねぇ」


女子生徒の一人がそう言うと、他の女子生徒たちも同意して頷いた。





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