第23話『フレーネ王妃の励まし』
勝敗は決した。
リリオデール国王様が倒れ【SBVS】によってエリア外へ弾かれる。
「試合終了! 勝者レヴァン&シャル!」
告げられて、ギャラリーから盛大な拍手が贈られた。
「おめでとう二人とも!」
「まさか国王様まで倒しちまうとはな。すげーよ」
「結婚に一歩近づいたな!」
「これからも応援してるぞー!」
茶化してるのか真面目なのかは分からないが、そんな声援が聞こえる。
この際だ。
俺は堂々と胸を張り、手を上げて、親指を立てた。
さすがにカッコつけすぎたか? と思ったが。
おおお! と感心されるような声が沸いたので一安心した。
フィールドのバリアが解除され、俺は踵を返して降りた。
そしてさっきから黙っている中のシャルに言う。
「ナイスアシストだったぜシャル」
『え?』
「『グランドフレア』の時さ。シャルが言ってくれてなかったら回避が遅れてくらってた」
『『グランドフレア』の効果は知ってたから』
「そうか。あれをくらって足をやられてたらきっと負けていた。ありがとうな」
『うん。役に立てて良かったよ』
やはりシャルは声のトーンが低い。
「覚醒できなくて落ち込んでるんだろ?」
『べ、べつに? そんなことないよ』
「焦るなよシャル。俺はちゃんと待ってるから」
『んもぅ‥‥‥、レヴァンは優しすぎるよ』
「そうか?」
『そうだよ』
そんなやりとりをしながら俺はフィールドから降り終えた。
その先にエクトとレニーが待っていた。
エクトが右腕を突き出してくる。
俺も右腕を突き出し、拳を交わした。
「意外にあっさり勝ったじゃねーか」
「魔女の対処と仕掛けるタイミングが解ってたからな。エクトとレニーの戦闘が参考になったよ」
「ああ。オレも今回の戦いは収穫が多かった。これでソールブレイバーとの戦い方はマシになったろう」
「そうだな」
お互いの前進に頷いていると、奥からフレーネ王妃が護衛と共にこちらにやってきた。
気づいた俺達は小さくお辞儀する。
「おめでとうございますレヴァンさんシャルさん」
「ありがとうございますフレーネ様」
俺が言うとリンクしてたシャルが咄嗟に解除して出てきた。
さすがに王妃の御前でリンク状態は失礼だと判断したらしい。
「ありがとうございますフレーネ様」
俺とまったく同じセリフを吐くシャルはお辞儀する。
フレーネ王妃は頷いて、笑う。
「素晴らしい動きでしたよレヴァンさん。これならソールブレイバーの相手はもう大丈夫でしょう」
「はい。おかげさまで。それで、あの」
「わかっていますよ。『暴君タイラント』の件については明日にでも返事を出します。よろしいですね?」
「はい! お願い致します!」
俺は深く頭を下げた。
シャルも隣で俺に習って下げる。
「私は応援してますよレヴァンさん。あなたは男性の御手本にもなれる人間だと思っていますから」
「え?」
御手本? 俺が?
いったい何の御手本だろう。
「それからシャルさん」
「は、はい?」
「私もグラーティアを相手に焦っていた時期がありました。だからあなたが今抱えている気持ちは理解できます」
「フレーネ様‥‥‥」
「ですが、彼の役に立ちたいという気持ちがあるなら大丈夫です。あなたが覚醒する時は必ずやってきます。彼のためなら何でもやってやる! って気持ちでいれば間違いないでしょう」
「フレーネ様は、そうだったんですか?」
シャルが聞いた。
フレーネ王妃は恥ずかしそうに笑う。
「ええ。あの人の望むことは何でも応えてきましたよ。ちょっと恥ずかしいことも、ね?」
その言葉の意味を察したシャルがポッと頬を赤く染めた。
俺も不覚にも淫らな想像をしてしまって顔の熱が上がるのを知覚した。
フレーネ王妃は凄く美人だ。
リリオデール国王様も一人の男だと言うことだろう。
「フレーネ様。そろそろ」
護衛の人に言われてフレーネ王妃は頷く。
「ではこれで失礼しますね。あなた方の武運長久をお祈りしています」
「あ、あのフレーネ様!」
シャルが呼び止めた。
「はい?」
「励ましの御言葉、ありがとうございます」
シャルが深く頭を下げて礼を述べた。
フレーネ王妃はニッコリ微笑んで返し、訓練用コロシアムの廊下へと出ていった。
外に出なかったのは、おそらく『戦闘不能者休憩室』に運ばれたリリオデール国王様を迎えに行くためだろう。
フレーネ王妃を見送り、いよいよギャラリーたちも満足して帰宅を始めた。
「返事は明日か。ならもう今日は帰るぞレニー」
「あ、うん」
「俺達も帰るかシャル」
「そうだね」
『暴君タイラント』の挑戦への許可は明日。
無事に許可して貰えればいいが。




