第14話『ファンがついた』
朝食を済ませ、学校の制服に着替え、シャルと共に自宅を後にする。
街中の歩道をシャルと雑談しながら歩く。
顔を上げれば朝日が美しく煌めき。
清々しいほど綺麗な青空がそこに広がっている。
そこで俺とシャルは、ファンからの奇襲をくらった。
「キャ――――ッ! レヴァンさんよ!」
「レヴァンさあああん! サインくださあああい!」
「レヴァンさあああん! 昨日の試合カッコ良かったです!」
女性の集団が俺に向かって熱烈なラブコールを贈ってくれている。
しかも物凄い勢いでこっちにダッシュしてきている。
まさか昨日の今日でもうこんなに俺のファンがついたのか!?
「うわ! 女の子ばっかり! 逃げようレヴァン!」
「え、逃げんの!? 俺のファンなのに!?」
「何人いると思ってるの! あんな集団に巻き込まれたら学校遅刻するよ!?」
確かにそれはマズイ。
オープ先生は遅刻するとうるさい。
「そ、そうだな! おいシャル! 俺の中に入れ! リンクだ!」
「リンク?! なんで?!」
「お前足遅いだろ!」
「そうでした!」
俺とシャルは手を繋いでリンクし、持ち前の足の速さで一気にファンの集団から距離を取る。
「あああ! 行かないでレヴァンさん!」
「あなたに一目惚れしました! 付き合ってください!」
「抱きしめてください!」
「結婚してください!」
『あいつらにフレイム撃とうよレヴァン!』
「アホか! 兵隊さんに捕まるだろうが!」
こういう時は素直にファンの方々に告げた方が良いに決まっている。
俺は意を決して立ち止まり、女性集団の方へ振り向く。
「皆さん聞いてくれ! 俺には心に決めた相手がいるんだ! だから皆さんの気持ちには応えられない! ごめんなさい!」
「えっ!?」と声を上げて女性集団が止まった。
「心に決めた、相手?」
「恋人がいるの?」
「そ、そんな‥‥‥」
落ち込んで、先程までのテンションが嘘のように鳴りを潜めた。
ちょっと良心が痛むが、仕方ない。
これで諦めをつけてくれればお互いにとっても良いはず。
「わ、わたし! 愛人でもいけます!」
「私も! あなたの一番になれなくてもいいです!」
「二番でもいいですから彼女にしてください!」
『愛人だの二番だのふざけんなあああああああああああっ!』
「シャル落ち着けえええええええええええええええええっ!」
※
なんとか女性集団から逃げ切った俺とシャルは『魔女契約者高等学校』の校門でエクトとレニーに出会った。
「よ、よぉレヴァン」
「おう、エクト」
俺もだがエクトも息が乱れている。
相当な距離を走ってきたみたいだ。
「エクトくんもファンに追っかけられたの?」
「そうなのよ。 街中を歩いてたらいきなり襲撃されたわ」
シャル先程の事件で不機嫌だが、レニーも相当に機嫌が悪いようだ。
なんでだろう?
「おいエクト。なんかレニーの機嫌悪いぞ? 何やったんだよ?」
「知らねーよ。リンクして代わりに走ってやったってのに。ったく‥‥‥」
「ファンになにか言われたとかは?」
「あ? あーそういえば」
何かしら思い当たるものがあるようだ。
「追いかけてくる奴らが「そんな地味な女が好みなんですか?」って聞くから」
「聞くから?」
「『レニーお前地味だってよ』って笑ってやった」
「いや笑うなよ! レニーのどこが地味なんだよ!」
クラスメイト達の話ではレニーは『魔道女子学校』では1~2位を争う美女だと言うのに。
「そうか? 地味だろあいつは?」
ボキィッ!
「ぎゃああああっ! や、やめろ! やめてトリガー引けなくなるから! 引けなくなるから! がああああっ!」
レニーに人差し指を凄い角度に曲げられ、凄い悲鳴を上げるエクト。
親友の危機だと言うのに、俺はまったく助ける気にならなかった。




