第106話『頼れる親友』
『グランヴェルジュ全滅』
『リリーザの勝利です!』
響く勝利のアナウンスと観客たちの歓喜の声。
【SBVS】のバリアがパァンと弾けて解除され、草原だったフィールドがただの床へと戻る。
「‥‥‥勝ったな」
『ブレイズティアー』を消して、俺は大きく息を吐きながらそう言った。
するとシャルがリンクを解除して俺から出てくる。
「勝ったね。本当にお疲れ様レヴァン」
「シャルこそ。ありがとうな本当に」
「うん!」
微笑んで頷くシャル。
その顔に癒しを感じながら、俺はこの強化合宿での三ヶ月を振り返った。
シャルには本当に苦労を掛けた。
『ブロークン・ハート』の対策。
女子生徒たちをまとめての歌とダンスの練習や企画。
ソルシエル・ウォーでの作戦などなど。
シャルが携わったものは数多い。
今回ばかりは、シャルに何か労ってやりたい。
「レヴァン!」
親友の声が聞こえて俺は視線を向けた。
そこにはエクトとレニーがこちらに向かって歩いてきている姿があった。
「あ、レニー! おつかれー!」
「お疲れ様シャル」
「ちょっと手こずり過ぎじゃねぇかレヴァン? そんなに強かったのか? あのサイスとか言う奴」
「ああ『ヴェンジェンス・ソウル』っていうベルエッタさんの『スターエレメント』が厄介だった」
「『ヴェンジェンス・ソウル』?」
エクトが首を傾げる。
俺が言うより先にシャルが口を開いた。
「そうそう。倒れた敵と味方の魂を吸って戦闘力を上げちゃう能力で、エクトくんがライオンみたいな人を倒した途端にサイスさん強くなったんだ」
「正直ショックだったよエクト・レニー。俺はまだ将軍二人分の実力しかないってのがわかってさ」
そう俺が言うと、レニーが苦笑した。
「16歳で将軍二人分の実力でしょう? あたしは大したもんだと思うけど」
「いやでもレニー。俺達が目指すのは覇王グランヴェルトだ。こんなんじゃまだまだ届かない」
「そんな弱気にならないでよレヴァン。あんたがそんなフラフラしてたらあたし達まで不安になっちゃうわ」
「レニーの言うとおりだよレヴァン。リーダーなんだからしっかりしないとね」
シャルがにっこり笑いながら言う。
「なんだよリーダーって」
「全国制覇はお前の目標だろうが。リーダーなのは当たり前だろう?」
まさかのエクトからの一言だった。
さすがに驚きを隠せない。
「え? エクトだって全国制覇を目指してるだろ?」
「あ、エクトはもうレヴァンのためだけに、ふぶっ!?」
レニーがエクトに口を防がれた。
しかも凄い速さで。
「余計なこと喋んなレニー」
「?」
何がどう余計なことなのか分からない俺は眉をひそめるしかなかった。
俺だけのためにって聞こえたが、エクトが?
俺のために?
いったいどういうことだ?
「とにかく!」っとエクトは続けた。
「まだ将軍は『剣聖ノブリスオージェ』と『戦狼ベオウルフ』がいる。そいつらを突破できなきゃ『覇王グランヴェルト』にはたどり着けねぇ。弱気になってる場合じゃねぇぞ?」
「そうだな。確かに弱気になってる場合じゃないな。シェムゾさんに頼んでもっと強くならないと」
「それでいい。俺とレニーも最後まで手伝ってやるからよ。攻めてこうぜ全国制覇!」
「ああ!」
俺とエクトは拳を突き合わせた。
ほぼ毎日更新します!
主に22時過ぎに更新します!
残りの敵は『覇王』『剣聖』『戦狼』の三人です。




