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第105話『決着』

「ケリをつける! ここから攻めていくぞ!」

『‥‥‥うん!』

「『ブレード・イグニション』は懐に入ってから詠唱しろ」

『了解!』


 シェムゾさんとの特訓でシャルと考えた必殺技がある。

 それを奴に決める。

 戦闘力が互角な以上、もはや決定打を与えられるのはこの技しかない!


「やってみろ無能が!」


 俺の『グレンハザード』を受け止めていたサイスが大きく後ろへ跳んだ。


 そのまま手にしている二丁のピストルを俺に向かって連射してくる。


 マシンガン並みの連射力で青い光を引いた弾丸を放ってくる。


 咄嗟に『ブレイズティアー』に切り替え、離れるサイスを逃がすまいと突っ込んだ。


 殺到する弾丸を全て叩き伏せながら一気に距離を詰める。


『詠唱完了だよレヴァン!』

「了解!」


 言って跳んで斬りかかる。

 しかし目前のサイスが不敵に嗤った。


「『アイスボール』!」


 唱えたサイスは手榴弾を投げるように、青い光の玉を放ってきた。

 

 これは以前エクトがオープ先生にくらってたあれか!


『レヴァン!』


 慌てたシャルが叫ぶ。


 地に足はついてない。

 だから避けられない。

 シャルはそう思ったのだろう。


 だがこれくらい予測してある。


「大丈夫だ!『エクスプロード・ゼロ』!」


 片手を左に突きだしドンッと爆発を起こす。

 飛びかかりの惰性に急制動をかけ、右へと爆風で飛ぶ。


 ギュゥンッ! と風が捻切れるような鋭い音を響かせながら俺は草原に着地し、間髪入れずに踏み込んで加速する。


 右サイドへ回り込む俺にサイスは舌打ちしながらピストルで迎撃してくる。


『アイスボール』を使った直後だ。

 ベルエッタはまだ詠唱中のはず。


 ソールブレイバーが唯一魔女からの支援を受けられない僅かな時間。


 懐に飛び込むなら今しかない!


「うおおおお!」


 俺は吼えてサイスに向かって突撃した。

 敵の弾雨をはじきながら肉薄する。


 俺がいよいよ大鎌の間合いまで入ってくるとサイスはやはり大鎌へと武器をシフトした。


「そのデカい武器で俺とシャルの必殺技を捌き切れるかサイス!」


「なに!?」


「最後まで立っていられたら誉めてやるよ!」


 俺は防御を捨て、全能力を攻撃へと注ぐ。

 斬撃と突きと銃撃を混ぜた怒濤の連続攻撃を開始する。


 流星のような無数の一閃がサイスに殺到。

 大剣と変わらない超重量武器である『グレンハザード』では決して出来ない素早い連続攻撃。


「ぐ、ぅ!」


 サイスの顔に余裕がなくなっていく。

 それも無理はない。

 度重なる『ブレイズティアー』の突きや斬撃や銃撃。

 全てを全力で放っていく俺の攻撃に奴は『ヴェンジェンス・ソウル』で強化された身体能力と反応だけで捌き続けているのだから。


 ベルエッタの『アイスシールド』による援護防御はない。


 このまま圧倒的手数で押しきる!

 シャルは火力こそどの魔女よりもあるが、防御や手数のある魔法を覚えていない。


 だからこそ考えた俺とシャルの『蒼炎の連続剣』。

『ブレイズティアー』ならではの必殺技を!


「はああああああああああ!」


 加速させていく。

 斬撃を。

 突きを。

 トリガーを。


 サイス!

 どこまでついてこれる!


『『ブレード・イグニション』!』


 シャルが魔法名を叫んだ。

 俺の攻撃に蒼炎の色が灯り出した。


 燃え上がる剣閃がサイスに猛襲する。


「ぐううう! ベルエッタ! 何やってる! 早く援護しろ!」

『わかってますわよ! 『アイスシールド』!』


 展開されたアイスシールドはサイスを護るように俺の連続攻撃の中へ割って入ってきた。が!


 パキィンッ! パキィンッ! パキィンッ!


『ブレード・イグニション』で強化された『ブレイズティアー』の連続攻撃に耐えきれず『アイスシールド』はあっという間に全滅した。


「なにぃっ!?」

『ぜ、全部壊されましたわ!』


 驚愕するサイスとベルエッタ。


 俺は猛然と『ブレイズティアー』を振り続ける。

 サイスの捌きがどんどん遅れていく。

 

 あともう一押し!


「シャル! 俺に力をくれ!」

『了解! いけええええレヴァアアアアン! 押しまくれえええええええええ!』


 声が裏返りかける程の大声でシャルは俺を応援した。

 

 全身に力がみなぎってくる。

 攻撃の速度を、更に加速させる!


「うおおらあああああああああああああああああ!」

「こ、こんのおおおおおおああああああああああ!」


 俺とサイスの苛烈な攻防。

 互いの武器が激しく光をスパークさせる。


 上げろ! 攻撃のギアを!


 最高速に達せろ!


 互角なら越えろ! 己の限界を!


 限界を!


『いつまで手こずってんだレヴァン!』


 それは親友の、エクトの怒声だった。


 その声で、俺の攻撃はトップギアに入った!


「でえああああああああああああああああああ!」


 今の俺が出せる最高の連続攻撃。

 蒼く煌めく剣閃が、ついにサイスの大鎌を弾いた。


「し、しまっ‥‥‥」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 蒼炎を纏った『ブレイズティアー』の刃がサイスの胸を貫いた。


 ブシャッとサイスの背から光の粒子が吹き出す。

 トリガーを引き、さらなる追撃。

 彼の背から今度は蒼炎の弾丸が貫通した。


 同時に彼の全身を覆っていた紫のオーラが消える。


『サイス!』

「く、そ‥‥‥っ!」


 歯を食い縛り、身体を震わせ、そして‥‥‥。


『【グランヴェルジュ】=サイス=戦闘不能=エリア外へ』


 サイスは光に包まれて消えた。


 わああああああああああああああ! と観客たちの雷鳴のごとき歓喜の声が沸き起こった。



ほぼ毎日更新します!

主に22時過ぎに!


※ついに『暴君』『獅子王』『死神』を撃破。

 レヴァンたちの物語もいよいよ折り返しとなっていきます。

 

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