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第82話『みんなの成長』

 ついに強化合宿も残り三日となった。


 レヴァンやエクトを中心に頑張ってきた男子生徒たちは、すでに約三ヶ月前の男子生徒たちとは別人のように逞しくなっていた。


 以前は途中で脱落さえしていた20キロの走り込みを余裕で完走するようになり、実技のソルシエル・ウォーでも騎士たちと互角に戦えるようにもなった。


 なにより変化したのは、男子生徒たちと女子生徒たちの信頼関係である。


 シャルはそれをしっかりと見ていた。


「あと半分よ! 頑張って!」

「おう! いつもありがとな!」


「ゴールで待ってるからね!」

「ああ! 待っててくれ!」


 走り込みの途中で行われるドリンク受け渡し時の会話だ。


 頑張る男子たちに女子たちが積極的にエールを贈る。

 こんなこと、初期の頃にはまったくなかった光景だ。


 シャルの考えている『最初から男子メロメロ作戦』において、この変化は超がつくほど重要である。


 心が強く結ばれたソールブレイバーは強い。

 

 これだけは間違いないのだ。


「駆け抜けるダーリンも素敵よ!」

「ありがとうマイハニー!」


 中にはめちゃくちゃ仲良くなったペアもいる。


 食事の際も、メイド服に抵抗を見せる女子は一人もいなくなっていた。

 みんな、頑張る男子たちのためにアノンさんからの料理指導を真面目に受け、その腕を上達させていった。


「ご主人様! どうぞ召し上がれ!」

「うんまあああい!」


「ご主人様! はい! アーンしてください!」

「アーン」


 メイド姿の女子たちが積極的に男子たちに奉仕する。

 

 男子たちはこの奉仕を楽しみに特訓に精を出し、女子たちは男子たちの喜ぶ姿を楽しみに頑張った。


 男子たちは自分の魔女にカッコいいところを見せたいと、実技のソルシエル・ウォーで勇猛に戦うようになり、実力向上に一役買う。


 おかげで『エメラルドフェル』と『リウプラング』の学生混同部隊は、当初の予想を大きく上回る部隊に仕上がった。


 これでいい。


 グランヴェルジュの軍人部隊に抵抗できるだけの力は付けた。


 あとは最後の仕上げである『ブロークン・ハート』対策のための歌とダンスだ。


 シャルやレニー達を中心にして練習してきた歌とダンスは、いよいよ明日の夜に御披露目する。



「いよいよ明日だよみんな」


 最後の歌とダンスの練習を終えた夜中にシャルは言った。

 

 訓練用コロシアム内に集まってくれた女子たちが、やる気に満ちた視線を向けてくれる。


「ええ、練習の成果を出さなきゃね」


 今日までずっとついてきてくれたレニーが言う。


「最初はこんな練習に意味あるのかしらって思ってたけど、やって良かったわ」


 姉のロシェルが微笑みながら言うと、隣のリエルが頷いた。


「そうね。なんかみんなとの一体感っていうの? そんなの感じちゃって、ちょっと楽しかったわ」


「そうだね。最初は仕方なくやってたけど、途中から楽しくやってた」


 ロミナが笑い、レイリーンは腕を組んで頷いた。


「そうだな。大きな目標に向かってみんなで進むのが、こんなに気持ちいいものだとは思わなかった」


 そのレイリーンの言葉に、他の女子生徒たちも「確かに」「そうだね」「途中から楽しくて良かったよね」などの声が上がってきた。


 そしてシャルは言った。


「みんな! 今日まで本当にありがとう! 明日はうんと練習の成果を見せて、男子たちに元気を贈ろう!」


「おーーーーっ!」


 女子たちが大きく手を上げた。



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