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短編たち

勇者様?

 この小説は会話文が異常に多いですが、まあそこはご容赦いただきます

 とりあえず、楽しんで読んで下さい


「勇者サマ、勇者サマ〜」

「ん、なんだねスライムA君」

「イツマデ温泉ナンカ入ッテイルンデスカ〜? 村ノ外ニ蔓延ッテイルスライムノ討伐ヲ任サレタンデショ」

「君は同族を殺すことに何の躊躇もないのかね……。まあいい。いいのだよスライムなど放っておけば」

「ドウシテデスカ〜?」

「なに、簡単な事ではないか。スライムの体は主に何でできているかね?」


 青いドロドロした体をウネウネさせて(これがスライム流「小首を傾げるだそうだ)考え込んだ。


「水?」

「そんな単純なもので出来ていたら、今頃君は火炎魔法で何回蒸発したか分からないだろう。そもそも風呂になど入れる訳もない」

「ジャア、僕ッテ一体何デデキテルンデス?」


 期待で胸(?)が膨らむスライムに対して、勇者はたっぷりと間を開けてこういった。


「さあ?」

「サア? ッテ何デスカ、サアッテ! サッキノ期待ヲ返シテ下サイ!」

「冗談だ」「冗談ダッタンデスカ!?」「というのも冗談だ」「いい加減にしなさい!」


 突然凛と響く声がしたと思うと、脱衣所からサキュバスが現れた。淫靡な肢体を露わにしたその姿は、当然数々の男を魅了してきた。それこそ悪魔と呼ばれる由縁だ。もちろんタオルを巻いてはいるものの、タオルが薄いのか、その……とてもいろんな所が強調されていた。これで落ちない男など男ではない。だが――


「おお、サキュバスB。お前聡いからなんかスライムの駆逐方法思いつかんか」

「思イツイテナカッタンデスカ!?」

「あんたらは本当にこの体に興味が無いのね……」


 一応淫靡なサキュバスとして肉体には自身があったのか、興味を持たれなかった事に多少がっかりした様子のサキュバス。そんな彼女に男二人(二人?)は意気揚々と返答した。


「いや、大人の体に興味が無いだけなのだよ。俺は単に小さい体に薄い胸板、思わず保護欲が溢れてしまいそうな女性に興味があるのだ。だからと言って、ロリコンではないぞ」

「ソウデスヨ、勇者サマト僕ハ十三歳以下ノ子に興味ガアルダケデアッテ、決シテロリコンナンカジャ」

「それをロリコンと言うのよ、変態ども」


 ま、その変態気質の所為で見事にテイムされてしまった訳なんだけど、とサキュバスは溜息を吐く。どの男も体目当てでテイムしようとしてきたので、実は純粋な戦力と仲間として頼ってくる彼らに、意外と好印象を持っているサキュバスなのだが。


「ところで、スライムが村の外縁部に蔓延っているって話だったわよね」

「ああ。お陰で行商人は来ないは、若いお姉ちゃんは来ないは、素敵な王子は来ないは、格好いい勇者様は来ないはで大変なんだそうだ」

「二番目のやつは私に喧嘩売ってんのかしら? あと三番目は童話の読みすぎ。最後のはあんた自分の職業忘れてない? 舐められてんじゃないの?」

「だから早く倒して、とっとと天竺に行かなくては行けないのだが……」

「あんた途中で都合の悪い所入ったから華麗にスルーしたわね。あと天竺ってなによ。あんまりメタ発言したくはないけど、世界観がよく分からなくなるじゃない」

「デ、結局ドウヤッテ倒スンデスカ?」


 多少忘れがちだったスライムからの一言に、二人は閉口した。

暫くすると、サキュバスは一つ咳をして、


「あんた達、そもそもスライムってどいうものか分かってる?」

「ドウイウモノナンデスカ?」

「一般的にいうスライムは、ポリビニルアルコールとホウ砂の水溶液なのよ。それが何の因果か変異して、一つの生き物になったの。という事は、」

「という事は?」

「ちなみに聞くけど、スライムが粘性を失うとどうなるの?」

「エ……、多分、ソノウチ地面ニ染ミコムカ蒸発スルンジャア……?」

「それならいいわ。なら、スライムの粘性を無くしましょう」

「どうやってするのだ?」

「簡単に言えば、お酢を掛けるのよ。酸性の液体ならなんでもいいわ」

「ドウイウコトデス?」

「スライムの水溶液の片方のポリビニルアルコールっていうのは、酸に対しては軟化するのよ。つまり、酸を掛けるとスライムのあのドロドロの形状を繋いで支えているものが、柔らかくなっちゃうのよ。そうすると、スライムは自分の体を保ち切れなくなって自壊する」

「なるほど、全然分からんが、つまりお酢をスライムに掛けると一発で死ぬのだな」

「まあ、大きさによって量とかは変わっちゃうけどね」

「よし、村を周ってお酢を収集するぞ。なに、スライム退治の為だ。皆喜んで貸してくれるだろうさ」


 数時間後―― 村の柵の出入り門にて――


「なんでそんなにぼろぼろなのよ、あんたら」

「お前とは違うのだよ、お前とは……」

「はいはい、ぱっと見格好いい台詞だけど、普通に使われる場合とは逆の意味でしょ。全く、それくらい私に任せておけば良いのに」

「いやいや、いくらなんでも任せっきりはダメだろう。アイデアだってお前のものだし」


 うっ、とサキュバスは一瞬心を惹かれそうになる。この勇者はまあダメ男なのだが、こういう気遣いの良い所が、サキュバスがテイムを受け入れた理由でもある。


「とにかく、準備はできた。始めるぞ」


 目の前には何百もの青い絨毯が波のように揺れて押し寄せる。

 二人(スライムAは下手すると死ぬためお留守)の武器は何百本もの栓の開いた瓶。

勇者とサキュバスは奏でるように歌う。それに呼応するかのように、大量の瓶から独特の匂いの透明な液体が球状に踊り出る。次々と、無数に。


次の瞬間、球状の液体は大波のように青い波に襲いかかり、飲み込んだ。大波がすうと消え去った頃に残っていたのは、笑みを浮かべて顔を見合わせる人間とサキュバス、そしてビタビタになった地面だけだった。


 村の集会所にて――


「村長、スライムを全て狩り尽くしたぞ」

「本当か、そいつはよかった」

「? 村長、なぜ声がそんなにも平坦なのだ? なにか辛いことでもあったのか?」

「報酬だ、くれてやる」

「ああ、ありがとう……ってこれは領収書ではないか! なになに、お酢五百本、会計……まさか」

「ああ、そのまさかだ。……金払え、くそ坊主」

「勇者だ! 天竺行く坊さんではない! 世界観がおかしくなるだろう!」

「それ、あなたが言う権利ないんじゃない……? それよりもあなた、お金はいくらあるの?」

「サキュバス、スライムAを売ったらどれくらいになるだろうか?」

「売るな。でどうするの?」

「当然―――ド●●ーガの塔に登るさ」

「わかりづらいネタを言わない。ちったは著作権を気にしなさいよ。っていうか関係ないしそれ」

「逃げるぞサキュバス。俺を空を飛ぶでカネナリシティまで連れてってくれ」

「ポ●モンじゃないわよ、ここは。――まあ、仕方ないからやってあげるわよ」


 その夜、カネヨルシティの人々は夜空からサキュバスに連れられて一人の若者が優雅に空を仰ぐ姿を見た。

その悪魔を従える姿を見て、人々は口々にこう言ったという。


――あ、魔王だ。

 えーと、なんか一時間ぐらいで考えついたのを考えてみました。

 色々とネットにも助けて貰いながら、なんとか一作。ありがとうネット!!

 ……これじゃあ単なるおかしい人ですね。

 とにかく、これは正直自己紹介的に作った作品です。楽しんで頂けましたでしょうか?

 近い内にまた別の長編小説を出します。長いです。文章量が十万文字超えました。

 それでもこんな似非作家に付き合って頂けたら幸いでございます。

 読者の皆様、ありがとうございました。


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