他称の慟哭
とてつもなくイライラする。
もっとはにかんで、きゃっきゃうふふな毎日を送っているはずの年齢のはずなのに、頭皮がじりじりするくらい、とってもイライラしている。
それもこれも、あいつのせいだ。あの、自称スィース、ベ?ベンギャ?星人な阿部ヤロウ様が、私のことをモニュ……モニュルメット?星人とか言い出したせいだ。
あいつのせいで、知りたくもないことを知ってしまったのですよ。
ただの女子高生だったはずなのに、あのやろう!
母にクラスメイトに異星人扱いされているという愚痴を言ったら、「やあね、本当のことよ。フフフ」ですってよ。
愕然としたね。まさか、母の口からもモ、モニュ……チクショウ!言いたくないんだよっ星人という名前が出てくるとはね。
「成人したら、教えるつもりだったんだけど――」という母が、まさかのその星人で地球人の父と結婚して私が生まれただなんて、そんな事実、成人を通り越して死ぬまで知りたくなかった。
けれど、知ってしまったのですよ。私は異星人と地球人のハーフなのだと。
ハーフかよ!?憧れてたけど、方向が違うわ!憧れねえわ!!!
私もだけど母のどこに、異星人らしさがあるのか。どの角度から見ても日本人なんだけど。やっぱあれでしょ、冗談なんでしょ?と言ったら、出されましたさ証拠をさ。
ないわーありえないわー
これが……へえ!これがね!そうだったなんてね!!
……これ、触覚だったんだ。
へこむわーべっこべこだわー
みんな、無いんだってねこれ。髪に紛れて見えにくいところにあるから、見えないだけでみんなにもあるんだと思ってたんだけど、違うんだね。
そうか、本当に私の半分はモニュルメットヌルングル星人か。って、ついフルで星人名を言っちゃったよ。言わないようにしていたのに。ちくしょう。
ということは、阿部のやろうが自称している星人も本当ってこと?
いやいやいや。あいつのことなんて、どうでもいいし。