地球人、自称宇宙人と遭遇す
登場人物は、4人です。
と、先にお伝えしておきます。
「ねえ、ひかるがこの間言ってた先輩さー」
「なになにー。何の話?あたしも聞きたーい」
「え?ああ、ひかるが格好いい先輩がいるって言っててさ」
「なにそれ、だれ?2年、3年?」
「3年のアベ先輩だよー」
「だれ?知らない」
「写メあるよーみる?」
「見る見る」
「待ってー、いま出すからー……。はい、これだー」
「おおー、右の人?へえ、確かにかっこいい?って、ぶれててよくわかんねえし、コレ」
「だってー隠し撮りだからー。これでも一番いいやつなんだよー」
「隠し撮りかよ!」
「そうだよーズーム最大だよー」
「そういえば、この間見せてもらった時から気になってたんだけど、隠し撮りって犯罪じゃないの?」
「えーうそー!犯罪なのー?どうしよーこっこちゃん。わたし、捕まっちゃうかもー」
「どうしようってそりゃあ、捕まんじゃね?逮捕だ逮捕。さようならだね、ひかるっちゃん」
「やだー」
「じゃ、消せばいいよ?証拠隠滅」
「えーそれもやだーせっかく撮ったのにー」
「ぶれぶれなのにか」
「ぶれてても、かっこいいもん!」
「そうかぁ?」
「こっこちゃんも生で見たらいいんだよー、そしたらわかるからー。で、みゆちゃん。そのアベ先輩がどうしたのー?」
「都合が悪いからって話ずらしたなあ」
「ちがうよー、元に戻したんだよー」
「ん?ああ、なんだっけ……あ、思い出した。ウチの部活の先輩がさ、アベ先輩と同じクラスらしくてどんな人か聞いてみたんだ。そしたら『アベは、変人だね』だって」
「変人?」
「うん。1年のころから、自分は宇宙人だって主張しているらしいのよ」
「なんじゃそら」
「自分を宇宙人だと思っているんだって、真剣に。その上、3年になってから、同じクラスの別の先輩のことも自分とは違う星だけれど、お仲間の宇宙人だと言ってからんでるらしいよ」
「うわあ」
「なんだー。それ、もう知ってるー」
「知ってたの?」
「うん。スィースベンガギャグァリア星人とモニュルメットヌルングル星人でしょ!」
「スイ?モニュ?」
「アベ先輩がースィースベンガギャグァリア星人でー、もう一人の先輩がーモニュルメットヌルングル星人なんだよー」
「……全然、聞き取れないんだけど。みゆぅ、やばい。ひかるが変なことをさらっとゆう」
「大丈夫。元からそうだから」
「そっか、ならいっか!」
「2人とも誤解してるよー!さらっとじゃないんだよー!!紙に書いて覚えたんだよー」
「なおさらやばいって」
「私も、紙に書いてまで覚えるのはどうかと思う」
「いや、俺はいいと思う」
「うわあ!!」
「!?」
「あ!アベ先輩!!」
「な、なんで……?」
「声が――誰かが、スィースベンガギャグァリア星人って言ったのが聞こえたから」
「あー、それわたしですー」
「君か」
「はい」
「……あれほど正確に発音ができるから、もしやと思ったが、残念だ。君は地球人か」
「わかるんですかー?」
「明確に違う」
「へー。じゃあ、この2人はどっちかも、もうわかっちゃってるんですかー?」
「地球人だな」
「そっかーみんな地球人かー」
「がっかりすることはない。大体みんな地球人だ」
「ですよねー」
「……」
「……」
「あーそうだー。先輩、今日の記念にー写メ撮らせてくださーい」
「構わないが、多分きちんと写らないぞ」
「えー?どうしてですかー?」
「どう撮ってもぶれるようになっている。体質的に」
「なにその体質」
「こっこ」
「だって」
「シッ」
「2人ともどうしたのーこそこそしてー?」
「何でもない!気にしないで」
「そうそう。あっと、そうだ。よかったら、あたしが2人を撮ろうか?」
「え!先輩いいですかー?」
「ぶれてもいいなら」
「わーい。ぶれててもいいでーす!こっこちゃん、よろしくー」
「はいよー……ひかる、もう少し寄って。それくらいかな。いくよーはい、ピースっと」
「ありがとー」
「……うん。まじでぶれた」
「ほんとー?」
「うそでしょ?」
「ほら」
「……本当だ。ひかるはちゃんと写ってるのに」
「すごーい。先輩、もう一枚いいですかー?」
「何度やっても同じだぞ」
「えい!って、わーぶれてるー。もう一度!えいや!あーまたぶれてるーなんでー?」
「体質だからな」
「こまった体質ですねー」
「そうだな。出来るなら、きちんと写りたいものだな」
「もう一人の、モニュルメットヌルングル星人の先輩もぶれるんですかー?」
「いや、あいつはちゃんと写る」
「星人によっても違いがあるんですねー」
「だな」
「ねえ、みゆっちゃん」
「何?」
「あたし、帰りたいや」
「うん」
「甘いもんも食べたい」
「あんまんでも買って帰ろ」
「うん」