白波の花
光と潮風を鼻先と頬に当てる
三角の帆に三日月のヨットがゆっくりと浮ぶ
海辺、空と海と砂浜は
筆を取りたくなるような
淡いグレー色と藍色が重なり合っている
黄昏の色を散らして
光のように 風のように 雲のように
日々形を変えて流れている、、
浜辺へ降りる階段に座り
テトラポットのが積み上がった陰から
光の世界をみていました
わたしに許された波打ち際のひと時
さざ波の音にわたしの帆は大きな耳となりました
潮騒に鼻腔はつんとあたたかくなりました
わたしの帆は風をうけ波しぶきと一緒になって
遠くクジラのようにないていました
けれど、波しぶきと一緒になって
弾けて、弾けて
小さくなって小さくなって
光のように 風のように 雲のように
わからないくらいになるのが心地良かったのです
小さくなって小さくなって風になり
どこかへと流れ漂うように
片瀬で儚く咲く柔らかな花の露をそっとみつめていたような飴玉の遠い夢
光のように 風のように 雲のように
空に溶けてゆくように
そっとそっと触れていたい
枯れる為に咲きたい
咲いて、枯れたい、そして
また咲くためにと波の飛沫が波打ち際で
白波の花を沢山弾かせ咲かせ続けていました
わたしはずっとその声と姿をみつめていました
そうして冷やされ、揺らされ、あやされたように
小さく小さくなって
光のように、風のように、
波打ち際へと寄ってゆくと、クスクスと笑い返してきます
黄昏に水の光が染って、人影を写し出してゆく
あの頃のふたりではしゃぐ声は波しぶきと一緒になって
弾けて、弾けて、露を光らせ咲いていました




