3. 到着、ショスターの町
希望に満ちた大晦日
煌志は、やや疲弊しながらも町に向かって黙々と歩みを続ける。が───
(喉が渇いてきた...)
イガイガとした痛みが煌志の喉を突き刺す。
{街まであともう少しです。頑張りましょう}
ナレーターの言う通り、森の天井は薄さを増し、木漏れ日の【漏れ】がとんでもなく多くなっている。
ついさっきまで学校の校庭で手がつけられていない所の雑草のような密度で生えていた木も、段々草抜きが終わった直後の学級園くらいには落ち着いてきた。
しかし───
(やはり初めて魔法を詠唱・発動しながら戦闘、それも後半走り回りながらは無茶をした...
はっきり言って、今なら多少汚れた川なら飲める...
飲みに行っていいか?)
まるで現代に生きていた人間とは思えない思考だが───
{構いません。それを決める権利は貴方にあります。
川は、4時の方向に清廉な物があります。}
分かり切っていたように平静と応えた。
(そうか。悪いな...)
煌志は、その方向に向きを変え、また歩き始めた。
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暫く歩くと、それらしき川を発見した。
その川は青白い色をしており、有色透明ではあるがとても体に良さそうな色をしていなかった。
煌志は顔を覗き込むと、清廉な水面は煌志の顔をくっきりと映した。不健康な生活を送っていたからか、少なくとも29歳には見えない。
(何だこれ... 本当に飲めるのか?)
{飲めます。掬って飲んでみて下さい。}
半信半疑ながらも、煌志は言われた通り手で掬ってそれを口にいれると...
「美味い!? 本当に何だこれは...」
思わず口に出してしまった。
{当然です。
この川に含まれている成分である【Pn】には治癒効果があり、ポーションの主成分にもなっているのです。この川は、世界でもトップクラスにPnの含有割合が多く、その為純真で美味しい味になっています。}
(そうか。
...治癒効果があれば美味いのか...?)
また煌志は少し眉を顰める。が、少し飲むとすぐに向きを変えて歩き出した。
(...早く行かなければ...)
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煌志は十数分間歩き続けると、段々と人々の活気に満ちた声が聞こえてきた。そして───
煌志(...ここが... ショスターの町...)
歩き続けた果てに、煌志は中世風な街並みで大勢の人々が行き交う陽気な町に着いた。
町には看板も立てられており、そこには全く未知の文字列が描かれていた。しかし───
(【ショスター】... 読めるな...)
{勿論、国際的に使用されている【国繁語】の言語能力に加え、識字能力も与えてあります。}
(そうか。 ...)
煌志は、取り敢えず街道を歩いてみた。
心なしか、口元が微妙に緩んでいるように見える。
{町に辿り着いた為、この後の選択は本格的に貴方の自由となります。
私も完全に消える訳ではありませんが、やる事が貴方の質問への返答・防武具等の鑑定・世界観の説明程度になります。
世界観の質問も暫くすればやる必要が無くなる為、その後は本当に出現する機会が激減すると思われます。}
(その時は俺も何の支障無しにこの世界を過ごせるようになっているという訳か...)
{そうなるでしょう。 しかし今は、まだ貴方は未熟です。今後も変わらず、サポートを行っていきます。}
(ああ。宜しく頼む...
そういえば、俺が取れる選択肢は何があるんだ?
早く何かしら収入を稼ぎたいのだが...)
{それでは、あくまで一つの提案となりますが...
手っ取り早い方法があります。それは冒険者になる事です}
(何?)
{冒険者になれば、依頼をこなすだけで収入が稼げます。
無論、命の危険がありますが...
初めの頃は危険度の低い依頼をこなしていけば問題ない話です。ギフト程度の力でも、下級のクエストはこなせます。}
(そうか。じゃあそれでいこう...
......前の世界で、俺は虚無感と失望感に満ちた生活を送っていた...
それから脱せるなら、例え命の危険があったとしてもやれるさ)
{そうですか。
では、まずギルドを探しましょう。
私も正確な位置は把握していませんが、この町は面積はそれ程大きくないので割とすぐ見つかる筈です。}
(そうか。 そうだな...)
そして、煌志はギルドを探しに歩みを速めた。
私が苦手とする序盤なのに、意外と筆が進みました。
細部を凝るって楽しいね
次話からある程度書き溜めてから一気に放出という方法を取る為、投稿が遅れます。




