2. 風切
読:かざきり
いやー、中々調子が上がってきてる時での小説執筆は面白いですね。
早く物語を動かす段階に移行したい所
煌志が、ナレーターの指示に従って歩き始めてから凡そ数分。
異変は起きた。
『グルルルル...』
微かに、獣のような唸り声とゆっくり土を踏み抜く音が四方八方から聞こえるのだ。
(なんだ...?)
そう思っていると、その唸り声の正体がジリジリと姿を表した。
白銀の体毛に覆われ、鋭い牙を持ったオオカミだった。
しかも、前方に20匹は居る。
{マノカゼオオカミ、通称フェンリルです。
魔力を持った【魔獣】であり、風属性の魔法を使用してくるので注意して下さい。}
(囲まれ...た訳では無いが、これでは後方にしか逃げられないな...)
{【魔法】を駆使して抗戦するしかありません。
試しに、あの目の前のフェンリルに向かって【ファイアボール】と詠唱してみて下さい。}
(詠唱...)
すると、煌志は言われた通りに口に出してみた。
「ファイアボール」
すると...
ボォォッ!
フェンリル「グルァァァァッ!!」
フェンリルの体高程の大きさの火球が生成・発射され、フェンリルに着弾するとフェンリルは吹っ飛んで体を炎に包まれた。
(火球が... いや、何で火球で吹っ飛んだ?)
{説明は後です。 後ろから来てますよ。}
「!!」
煌志は後方を見ると、こちらに向かって飛び掛ってくるフェンリルの姿が見えた。
煌志はそれを間一髪で避けると、すかさず───
「ファイアボール!」
火球を放ち、それを着弾させた。
(いつの間に、後───)
しかし、フェンリル達は考えさせる暇も無く襲ってくる。
煌志はそれを間一髪で避け、ファイアボール発射を繰り返す。
しかし、突然フェンリル達は闇雲に襲い掛かってくるのを止めた。
そして一斉に大口を開けると、轟音と共に口内で何やらエネルギーを溜め始めた。
(何だ!?)
{【ウィンドショット】です。予備動作が長いので走り続けて下さい}
ナレーターは早口で、しかし的確に語り掛ける。
煌志は言われた通りに走り出すと、その直後に───
ヴゥゥゥゥッ!
一匹のフェンリルの口内から、薄緑色の有色透明の魔法弾が放たれた。
しかし、煌志はただ走っているだけなのにも関わらずそれを回避した。
(エイム... いや、偏差撃ちをする知能が無いのか。)「ファイアボール」
フェンリル「グヴァァァァ!!」
煌志は火球を放ち、そのフェンリルに着弾させた。炎に包まれ吹っ飛んだフェンリルは別のフェンリルに衝突しかけたが、別のフェンリルは跳んで回避し、同時に【ウィンドショット】を放った。
更に他のフェンリルも続々とウィンドショットを放ってきたが、ただ走っているだけの煌志には全て当たらない。
「ファイアボール、ファイアボール、ファイアボール、ファイアボール───」
煌志もそれに対抗し、走りながら火球を乱れ撃ってフェンリルに反撃する。
そうして着々とフェンリルの数を減らしていったが───
ヴゥゥゥゥゥゥッ!!
突然、煌志の真横─── いや、やや前にウィンドショットが放たれた。
(偏───!?)
{【マジックシールド】です!}
「マジックシールド!」
煌志がそう詠唱すると、ウィンドショットの方向に紫色有色透明のバリアが現れた!
バギャァァァッ!
ウィンドショットとマジックシールドは相殺され、ウィンドショットは消滅し、マジックシールドは粉々に砕け散った。
{相殺ですか... 通常なら受け切れる筈なのですが、出しかけなので仕方がありませんね。}
(出しかけ...?)
煌志は眉を顰めたが、その後も煌志は火球を出し続け、大勢のフェンリルを討伐する事に成功した。結局、偏差撃ちしてきたのはあのフェンリル1匹だけだった。
「ハァ... ハァ... 詠唱しながら走り回るのは、やはりきついな... どうにかならないのか?」
{お疲れ様でした。 練度が高ければ無詠唱も可能ですが、今は厳しいでしょう。}
「そう言えば、何で、火球でフェンリルは吹っ飛んだんだ...?」
{それは、全ての魔法には【魔物質】という物が纏まわれているからです。}
「魔物質...?」
{無色透明で、非常に薄い物質の事です。
これが魔法を出した本人の肌を守り、衝突した物に衝撃を与えます。
基本的に一回衝突すると消えてしまいますが、余りにも魔力が強ければ消えない場合もあります。}
「そうか... ハァ...
とにかく、行かないとな...」
{そうですね。}
一息吐くと、煌志はまた歩き出した。
このフェンリルならフォトナの大会で1位になれそう




