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記憶を無くした者  作者: ひろろ
第2章
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20話

 

 レガネスからの報告を受け、ガイマたちは彼女が待つ場所へと集結した。


「とりあえず、街で戦っても問題ないわ」


 レガネスは淡々と言う。


「住民は全員、眠らせて安全な場所へ転移させた。今、街に残っている人影はすべて幻影よ」


 ガイマは小さく頷いた。


「そうか……。なら、あとは街の中に入り、爆破神ダーマをどうにかすれば解放できるな」


 皆を見渡し、続ける。


「手分けして探すか?」


 その言葉に、ベンが一歩前に出た。


「あの……。ガガだけは、僕がやりたい。あいつは……僕がやらないとダメなんだ」


 ガイマは一瞬ベンを見つめ、それから周囲に視線を移す。


「俺は構わない。皆はどうだ?」


 ドラが腕を組み、即座に答えた。


「問題ない。それと、三組に分かれるのが最善だと思う」


「ガイマ、私、レガネス。この三人で一組」


 レガネスは眉をひそめる。


「えー?私、もう十分頑張ったと思うんだけど。私の代わりにナミが入ればいいんじゃない?」


 ナミは即座に首を振る。


「私は、ガイマと一緒に行くつもりだったんだけど?」


 ガイマは少し考え、口を開く。


「……確かに、レガネスはかなり魔力を使っている。ナミ、今回は俺とは別行動だ」


「……ガイマがそう言うなら、分かった」


 話はまとまり、編成が決まる。


 東の入り口:ドラ、マリ、ゲイズ

 西の入り口:ミナ、ベン、ノノ

 北の入り口:ガイマ、レガネス




 最初に動いたのは、ドラたちだった。


 東門から街へと足を踏み入れ、少し進んだ先で、全員が足を止める。


 地面に突き刺さった木の看板。

 そこには乱暴な文字で、こう書かれていた。


『見せしめ』


 その背後には、木の杭に貫かれた人々の亡骸。

 いくつかは既に白骨化している。


「……ふざけんなよ」


 ゲイズが歯を食いしばり、怒りを露わにする。


「これが、人間のやることかよ!!」


 マリは耐えきれず顔を背けた。


 ドラは静かに言う。


「違う。これは暗黒神ダークの仕業よ。ダークが関わらなければ、この街はこんな地獄にならなかった。……あの時、カイマがトドメを刺せていれば」


 拳を握りしめ、呟く。


「……いや。私が瀕死の傷を負わなければ、一緒に暗黒神ダークを討てたかもしれない」


 ゲイズが眉をひそめる。


「どういうことだ?世界神カイマ様は、ダークと戦ったっていうのか?そんな話、聞いたことないぞ」


 ドラは苦く笑った。


「当然よ。その戦いを知っているのは、ただ一人――生き残った暗黒神ダークだけ」


「奴は千を超える配下と、神と呼ばれる者たちを率いてきた。……それを、カイマと私で壊滅させた」


「言えるわけがないでしょう。自分が敗北した戦いなんて」


 短い沈黙。


「……終わった話だ」


 ドラは前を向いた。


「今は、カイマの力を取り戻し、暗黒神ダークを止めないと、この世界が終わる」




 進み始めてすぐ、ドラが低く告げる。


「……囲まれている」


「分かってる」


 ゲイズも即答する。


「あの見せしめの所から、ずっと尾けられてた」


「え……?」


 マリが戸惑う間に、周囲から次々と武装した兵が姿を現す。


 その中の一人が嘲笑した。


「侵入に気づいてないとでも思ったか?ガガのマーキング反応でな、東と西に侵入者が現れたって分かってた」


 ドラは冷たく言い放つ。


「それで?爆破神ダーマはどこ?」


 一瞬、静まり返った後、兵たちは一斉に笑い出した。


「ははは!この数を見て、まだそんな口を利けるとはな!」


「ダーマ様に会えると思うなよ、チビ!」


 ドラはため息をついた。


「……相手の力量も見抜けない。本当に、程度が低い」


 背後の二人に告げる。


「ゲイズ、マリを守りなさい。私が片付ける」


 次の瞬間――。


 ドラの背中から、巨大な翼が展開され、額には竜の角が現れる。

 地面が震え、空気が軋む。


「な……竜人!?なんで、そんな化け物が……!」


「威圧感が……息が……!」


 恐怖に染まる兵たちを気にも留めず、ドラは翼を打ち鳴らし、突進した。


 鋭い爪が閃き、兵は次々と斬り裂かれ、断末魔が街に響く。


 圧倒的だった。


 マリは呆然と呟く。


「……とんでもない人たちに、助けをお願いしたのね」


 ゲイズも唾を飲み込む。


「……俺、ついて行けば強くなれるかもしれねぇ」


 やがて、最後の一人を残し、ドラはその首を掴み上げた。


「爆破神ダーマはどこ?」


「い、言う!言うから……!」


 その瞬間――。


 ドラは直感的に手を離し、後方へ跳ぶ。


 直後、掴んでいた男の首が宙を舞い、地面に転がった。


「へぇ……今のを見切るとは」


 低く、ねっとりとした声。


 少し離れた場所に立つ男。

 血に染まった鞭を手にしている。


「さすがだね。カイマ様と共に戦った竜人ドラ」


 男は笑った。


「生きていたなんて驚きだ。……それに、レジスタンスの肩を持つとは」


 と言い放つのであった。

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