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捨てられた世界  作者: 不定期投稿のアマチュア小説家
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プロローグ ~失踪〜

描きたいから描きました。

反応や評価等良かったら続きを書く予定です!

(数週間前 太平洋沖 北緯0.3°東経149.8°)


日も沈み真っ暗になった島に1隻の船が上陸する。

顔を黒い布で覆い隠した状態で島に上がった彼等は聞き馴染みのない言葉で連絡を取り合いながら木が生い茂る内陸部へと進んでいく。

船の後部からそれを見送った船番は運転席に座ればPOP調の音楽をBGMにアイスココアを入れてくつろぎ始めた。

星あかりしか頼りがない空は今日に限って暗雲がたちこめており、人間にとっては何も見えない中でまもなく雷雨が襲いかかるだろうが、船番は音楽を切りアイスココアをテーブルに置けば、スヤスヤと寝息を立て始めた。

……海中から何か巨大なものが近づいてきていることを警告するソナー音を睡眠用のASMR代わりにして。


その頃島の内部では黒い布で顔を覆い隠した人間達が布を取りつつ談笑していた。

時折混ざる下品な爆笑から話の内容は余り上品なものではないことが伺える。

『おい、ここは国際的ニュータウン、金持ち共の道楽所じゃなかったのかよ。人っ子一人の気配もしないぞ』


最後尾の男が尋ねれば、やれやれと言った様子で地図を片手に持った男が彼の元に近づき見せる。


『どうも島の所有者が大の変わり者らしくてな。お抱えの科学者と一緒に可能な限り自然を残せと御所望したらしい。』


『環境保護団体が泣いて喜びそうな話だ』


『お優しいご主人様なんだ。金目の一つや二つを盗んだって許してくれるだろうよ』


ゲラゲラと笑いながら立ち上がるリーダー格の男は両手を叩くと先導するかのように歩き出す。

深呼吸しながら気持ちを切り替えて再び黒い布を被って歩き出す彼らの正体は言わずもがな強盗団。

彼らの発言通りこの島で暮らす大富豪達の金を巻き上げに来たらしい。


『ここで上手くやれば一攫千金、俺達も大金持ちだ!しくるなよ、新入り。』


と、仲間に発破をかけようと振り返る、先輩面をする強盗の1人。

……しかし彼の後ろには誰もおらず、代わりに残されていたのはカエデの葉っぱのような…違う言葉を使うならば鳥の足跡を巨大化させたようなものだけであり、彼は首を傾げながらこの足跡を追いかけてみることにした。


『新入り〜?どこだ〜?』


入ったばかりの可愛い後輩を探そうと道をそれた彼が最後に見たものは何も無いところから突然に現れた、真っ赤に染り新鮮な血の臭い匂いが臭いほど臭う棘の生えた穴であった。


『……今のは?』


『…ジョン…か。ジョン!聞こえるか!ジョーン!!』


響く断末魔を耳にした強盗団達。

直後、その中の一人が何かに足をからめとられたかのように森の奥へと消えていく。


『こ、こんなとこいられるか!お……俺は帰る!』


『俺も!』


『お、置いて行かないでくれ!!』


口々に叫んだ彼等はいっせいに森の中へと消えていき、数秒も経たないうちに気味の悪い咆哮と断末魔が響いた


『…くそったれ!なんなんだよこの島は!』


忌々しそうに地団駄を踏むリーダー。

仲間をいくら失ったところで心が痛む訳では無いが、この島に潜む何かがいる限り強盗計画は成功しないだろう。

自分まで殺られる前にと来た道を全速力で走りだすが、途中なにかに躓いて転んでしまう。

木の根っこにしては大きく長い。何か巨大な木でもあったかと睨みつければ…根っこが動き出す。

目を擦りよく見てみれば、根っこは浮き上がり、その根元には何かの身体らしき巨大な物体。

「根っこ」ではなく「尻尾」だったらしい。

さらに雷が当たり発火した近くの木が明かりとなり巨大なしっぽの持ち主の全貌が明らかになった。

二本指の腕に鋭い歯の生えた頭。

かつてこの地球を支配した動物の中でもっとも有名で最も強い生き物、ティラノサウルスに違いない。


『ぁぁああああ…た…助けてくれぇぇぇええ!!』


恐怖に喚きながら走り出すリーダーをティラノサウルスは追いかける。

決して彼は遅くは無いのだが、ティラノサウルスはスリムさ故かその巨体からは想像もつかないほどに早く、少しでも躓けば直ぐに追いつかれてしまうに違いない。

必死に走る彼の目の前にようやく森が開け、海へと出る。

……しかしそこには彼等を運んできた船は無く、代わりに無残な姿と化した鉄くずが残るだけであった。


『な、なんだよこれ……どうなって……』


絶望に打ちひしがれる彼の背中を暑い鼻息が焼く。

振り返らずともわかる。背後に「いる」。


『くそったれ!』


ヤケクソだとばかりにリーダーは海へ飛び込もうとジャンプする。

ティラノサウルスが泳げるとは思わないし、適当な鉄くずを筏替わりにすれば陸地までたどり着くことこそ叶わなくても誰かに見つけてもらうことはできるはずである。

幸い、ティラノサウルスの顎は背中を掠め……代わりに水中から飛び出した巨大な顎がティラノサウルスごと彼を海中へと引きずり込んだ。

実は襲ってきたティラノサウルス、ティラノサウルスじゃないんですよね。

この恐竜だってわかったって方はコメント欄で教えてください

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