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93話 夢の石



コナーは落ち着くと少し恥ずかしそうに席に戻った。



「ごめんよ、少し取り乱してしまったよ。」



コナー顔を赤くする。



「とにかく! 2人とも危険な事するなら僕にも相談してよ? 危険な事をしないのが1番なんだけどさ…………。」



俺達はあんな姿のコナーを見た後だとその願いを断る事は出来なかった。



「はぁ、もう、本当に心配したんだよ?」



コナーの顔に笑顔が戻り始める。


そんな様子を見て俺はホッとした。



「まぁ、君達がこの事を約束してくれるなら今回は許すよ。だからこれからはちゃんと相談してね?」


「あぁ、約束する。」


「私も、ごめんさい、心配かけちゃって。」


「うん、いいよ、2人とも無事に帰ってきてくれただけで十分だからね。」



コナーはそう言うとにこやかに笑う。


それだけでもこのコナーという人の人柄が分かってしまう。


びっくりするほど優しい、そんな性格がひしひしと伝わってくるかのような優しい笑顔だった。



「じゃあ、君達が何をやったのか教えてくれるかな? 少なくとも色々やったんだろうけど、とりあえず僕は何も言わないから何が起こったかだけ伝えて欲しい。」


「あぁ、わかった。」



そこから俺と陽夏でダンジョンの中で起こったことを事細かに話した。


あの女の人達の事やあの機械の部屋と腕の事、そして俺達が思い出したという記憶の事も全てだ。


かなりこう話していると、かなり突拍子のないことを言っている様だが、全て事実だ。


全て俺達がこの身に体験してきた事だ。


そんな事を聞かさせてもコナーは特に驚いた様子などは見せずにただ淡々とその話を聞いて時よりメモを取りながら俺の話を聞き続けていた。



「そうかそうか、じゃあやっぱり最近ゴブリンが居なくなったのは君達があのダンジョンを無効化したからだったんだね。」


「えっ、ゴブリン居なくなったの!?」



陽夏が驚きの声をあげる。


そういえばここに来るまでの道はやけに静かだったという事を思い出した。


あれはゴブリンが居なくなったからだったのか。


よく良く考えればそりゃダンジョンが無効化されたんだから外にいるゴブリンも居なくなるに決まってるよな。



「君達が危険な行動をしたって言うのは褒められないけど、本当にありがとう。君達のお陰でここの脅威はあとウルフだけになった。これでみんなの命が救われるよ!」


「そ、そんなに大層な事をした感覚は無いんだけど…………けどまぁ、どういたしまして!」



陽夏は褒められて満更でもない様子だ。


この街を守るための一助になれたのだったらそれは良かった。



「じゃあ、次はさっき言ってた石みたいなのを視せてくれないか? そんなにいい物なら出来れば防衛者達に配りたい。」


「わかった。」



俺は鞄から石を出す。



「あぁ、不用意に触るなよ? それ触ったら使われてしまうみたいだからさ。」


「分かってるって、さっき話聞いてたからそのくらい理解してるよ! じゃあ、見てみるね…………。」



コナーがその石を見る。


するとコナーの顔は驚きと興奮が入り交じったかのようなものに変わっていく。



「これ、凄すぎるよ…………これを使うだけで特殊な魔力が出てくるみたいだ。それで? それでどうなるの?」


「お、おいコナー、結局それはどんなものなんだ?」



俺がコナーに聞くが、返事は無い。


コナーは変なトランス状態のようなものになってしまっている様だ。



「晴輝、こうなっちゃったコナーはもう構うだけ無駄よ、ちょっと待ってからじゃないとダメよ。」



陽夏が呆れ顔でそう言う。


そういえばコナーは俺と出会った時も我を忘れてよく分からない行動に出ていたよな。


まさかあの行動ってコナーにとっては結構よくある事なのか?


それはともかく、コナーはまだその石を見続けている。


はぁ、これはいよいよ時間をおかなきゃダメなようだな。


俺と陽夏はソファーに座った。


こんな状態じゃコナー話す事は不可能だろう。


俺達は今までの疲れをそこで癒すかのようにだらんと座った。


陽夏に至ってはもう寝そうだ。


そんな事をして数十分たった。


コナーはひとしきり石を見終わり、ハッとして俺達のものに駆け寄ってくる。



「ご、こめんよ! ちょっと夢中ちなっちゃってって、陽夏ちゃん寝てる!? 嘘でしょ!?」



陽夏が寝しまったことにコナーは驚いている。


しかし、陽夏は手をパタパタと動かす。



「…………おきて…………る、わ…………ぉ…………。」



起きるてるわよと言おうとしているのは分かるのだが、完全にもう意識の殆どが睡眠欲に負けてしまっている。



「まぁ、疲れたんだろ、帰ってくる時はずっと走りっぱなしだったし、寝かせてやろうぜ。」


「そうだね…………というかそう考えると晴輝君の能力ってすっごいよね、寝なくていいなんてノンストップで探索出来ちゃうもんね。」


「まぁ、そうだな。」



やはり褒められるというのは悪くない。



「それよりも、その石はどうなったんだ?」


「あぁ、大体のことは分かったよ!」



コナーは自身の胸をドンッと叩く。



「まず、名前は夢の石って言うらしいんだ。」



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